No.101:衝突
7月20日。
邦南野球部が3回戦敗退した日。
ピーッ!!ピーッ!!
『美月もっと走れ!!恭子も!!走らない選手は使わないぞ!!』
(はぁっ……。はぁっ……。)
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カキィィィーーーーーンッッ!!!!
(えっ……。)
『『ウオォォオオォォォオオオォォオォ!!!!!』』
(そんな…………。そんな…………。さっきまで、ほんの一瞬前まで勝ってたのに…………。)
『マジで?』
『初めて応援来たのに負けちゃったんだけど…。』
『まだ3回戦だよな?』
『『応援、ありがとうございました!!!』 』
『直っ!』
『佳奈。』
『先輩…。でも……!』
『今1番責任感じてるのはあの子。あたしたちが出る幕じゃないよ。』
(………………。)
(大丈夫……?すっごい辛いんじゃない……?)
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『『佳奈!!!』』
佳奈『はっ、はいっ!』
『今フリーのスペース空いたじゃない!なんで動かないの!?』
佳奈『すいません!』
『さっきからパスミス多いし、今のも周り見えてないしで、どうかしたの?全然集中出来てないんだけど!』
佳奈『だ、大丈夫です!次は……』
『1年生とはいえ、今年のチームの中心のアンタがそんな練習してたらダメに決まってるじゃない。自覚あるの?練習やって、野球部の応援して、その後また練習してるから疲れてるのも分かるけど、それはみんな同じなんだよ?』
『すいません!!』
『もういいよ今日は。外行って外周してきな。練習終わるまで帰ってこなくていいよ。』
『……はい。わかりました……。』
『よし、佳奈のポジションには智実入って!続けるよ!!』
ピーッ!!
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午後19時過ぎ。
村田と酒井ら1、2年生は試合後自主練習し、いつものように一緒に下校中。
酒井『負けたけど、3年生以外は明日も練習あるからな。夜更かしせずに早く寝ろよ。』
村田『…………。』
酒井『……。』
『また明日な。直政。』
村田『…………。』
酒井(結局あいつ、一言も喋らなかったな……。)
(あんな直政、初めて見た。つっても、先輩の夏の敗因に直接関わったなんてそりゃ初めてだしな……。)
村田(………………。)
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カキィィーーーンッ!
(うわ、来たし。)
(でもこれ捕って勝ちだな。やっと終わった。)
バスッ……
(─────────────!)
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(なんであんな簡単な打球を……俺の馬鹿野郎が……。)
自転車のベルの音が鳴り響く。
村田(…………?)
『はぁ……はぁ……。やっと、追い付いた……。』
村田『なんだよマジでお前。』
佳奈『はぁ……。はぁ……。何って……分かんないけど……直の姿が見えたから頑張って自転車漕いできたの……。ふぅーっ疲れた……。』
村田『質問に答えろ。何しに来た。』
佳奈『そんな怒った目で見ないでよ。私も心配なのよ。』
村田『……そんなことかよ。余計なお世話だ。』
佳奈『余計なお世話って……。心配だから話し掛けてみたのに……。』
村田『だからそれが余計なお世話って言ってんだよ。分かるよな?てか、分かれ。』
佳奈『…………。そっか。ごめん。』
村田『頼むから関わらないでくれ。ほんとにウザい。』
佳奈『……ごめんね。無神経だったね。』
村田『…………。』
(何泣きそうな顔してんだよ……。)
(俺だって泣きてえよ…………。)
村田が自転車を思いっきり漕いで佳奈の前から去る。
『…………。』
『私って、最低だな…………。』




