表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたくし悪役でしてよ  作者: しぶぬきかき
11/35

考えてみましょう 2

お読みいただきありがとうございます。お気に入り登録などもありがとうございます。今回は話の区切り上短い仕様になっております。

 

 

 ジャダン先生の仰っていた申し送り(・・・・)の件、栗色の髪の生徒の言葉、殿下の言葉。そして、屋敷さんの仰っていたこと。それらがようやく一つに纏まりましてよ。わたくし、新しい生活に浮かれすぎていましたのね。


「……わたくしではない、と言っても、今はわたくしですものね……」


 それにしても、転校させてしまっただなんて……泣きたい気分でしてよ。

 いえ、桜子。泣いている暇はなくてよ。これからは、真っ当に生きて、自分に恥じない生き方をするしかなくてよ。


 お父様、お母様にも婚約者の殿下にも恥をかかせないよう……。

 ……婚約者?


「婚約者ですって!? んまぁ! どういうことですの!?」

 

 いいえ、婚約者の意味は分かってましてよ? 落ち着くのよ、桜子。声を荒げるなど、はしたなくてよ。


 そうよ、殿下は桜子・フォン・マツリバヤシの婚約者であって、わたくしの婚約者ではなくてよ。……いえ、やっぱり、わたくしの婚約者になるのかしら?


 ああ、万祐子ちゃんがいれば、相談できましたのに! いえ、今はそれどころではなくてよ。婚約者の一人や二人で動揺している場合ではなくてよ。


「わたくしのすべきこと……」


 そうでしたわ、この世界ゲームのヒロインである、サリエさんの恋愛模様を見守るのでしたわ!


 確かサリエさんは、(プレイヤーが)いろいろな困難を乗り越えて男子生徒さんたちと結ばれていくのです。

 目を閉じれば、万祐子ちゃんがわたくしに見せてくれた、たくさんの画像が瞼に浮かびましてよ。


 殿下とサリエさんがご一緒に並んで微笑む画像。風紀委員長が目を細めてサリエさんを見つめる画像。それに、栗色の髪の生徒さんとの画像や、中島先輩との画像もありましてよ。そういえば、数学の先生とご一緒の画像もありましたわ。それと、まだ見つけていないけど隠れキャラ? がいるとか万祐子ちゃんが言っていたわ。

 あら、でもそんなにたくさんの方とお付き合いだなんて、不実ではなくて?

 いえ、違うでしょう桜子。万祐子ちゃんは、ルートがあると言っていたのではなくて?

 ……でも、数学の先生は犯罪にならないのかしら? 何か、嫌ですわね。いいえ、きっとそれで幸せになれるのならよいのではなくて?


 でも、今回サリエさんと結ばれなかった相手の方はどうなるのかしら? ゲームのように、もう一度最初から始まるのかしら? そもそもここは現実の世界なのかしら? ゲームの中なのかしら? いいえ、とてもゲームの世界とは思えなくてよ。

 考えても仕方ありませんことよ、桜子。ここでのわたくしの役割を果たすのです。


 ええと、殿下が憎たらしい桜子・フォン・マツリバヤシに嫌気が差すのでしたわね。サリエさんに嫌がらせをしていたわたくしを見付けて、それが切欠で、純粋なサリエさんに惹かれていくのでしたわ。


 風紀委員長の場合は、サリエさんに嫌がらせをしていたわたくしを見付けて、それが切欠で、純粋なサリエさんに惹かれていくのでしたわ。


 栗色の髪の生徒さんの場合は、サリエさんに嫌がらせをしていたわたくしを見付けて、それが切欠で、純粋なサリエさんに惹かれていくのでしたわ。


 数学の先生の場合は、サリエさんに嫌がらせをしていたわたくしを見付けて、それが切欠で、純粋なサリエさんに惹かれていくのでしたわ。


 中島先輩の場合は、サリエさんに嫌がらせをしていたわたくしを見付けて、そこで、純粋なサリエさんに惹かれていくのでしたわ。


 とにかく、サリエさんに嫌がらせをしていたわたくしを見付けて、それが切欠で、純粋なサリエさんに惹かれていくのでしたわ。


 まあ! わたくし、嫌がらせしかしていないのではなくて!? では、みなさんに嫌われていた、桜子・フォン・マツリバヤシのままでよい、ということかしら? でも、わたくし学園生活も楽しみたいですし……。とにかく、サリエさんに意地悪しつつ、みなさんとは仲良くなればよろしいのですことよ。


 そうですわね。まず、殿下との婚約を白紙に戻してからですわ。

 本当は一度プレイした、風紀委員長さんのルートなら得意なのですけれど、やってみないことには分かりませんものね。 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ