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女王
トリフィラの母は言った。
「王はきっとこの国を悪で満たしてしまう。貴方が私の代わりにこの国に愛と救いを与えるのよ」
トリフィラの父は言った。
「今のままでは隣国に攻められ、国が滅びてしまう。国民から金を巻上げて全て軍資金にせよ、王族、貴族、平民の区別はなく贅沢を禁ずる。皆国の為に働け。」
王は、国の存続にこだわった。
妃は、それを危ぶんだ。
王女は、それをただ見ていた。
結果、妃は王女の幼いうちに病気で亡くなり、
王は色々な人から命を狙われた。
そして王を守った騎士は死に、王は大きな怪我を負った。
怪我を負ってもなお、王は国の為に尽力し続けた。
もうやめてほしかった。ボロボロになっても何かと戦い続ける父に、それでも辛く当たる国民。
国なんてどうでもいい。皆幸せであればいいの。
トリフィラは母の意思を継ごうと決めた。
荒れ果てたこの国に、愛と救いを。