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 セラ様たちと話を纏めた次の日、何事もなく私は学校にお姉ちゃんとリンと一緒に登校した。………目の下の隈をお姉ちゃんに心配されたけど、お揃いーって誤魔化した。リンには、追求されたけど…。

 寝れなかった。

 うん、ついに脳内会議が麻痺しやがった。アイツらは経験のない事態に忘れるのか、しかし、それはセラ様に失礼という議論から始まり、最終的にどうしようとループしやがった。

 うん、答えは出ないね。

 あ、ひと悶着はあったな。リンがお姉ちゃんの絵を持って登校しようとしたら、お姉ちゃんが凄く嫌がった。でも、お父さんとお母さんに説得されて、渋々納得していた。うーん、やっぱりこの件もあるよね。

 それにしても、今日は朝からドキドキしている。セラ様が任せろって。どんな卑怯技をで無理を通すきだろう。知りたくないけどーー望んだことだから結果はきちんと見届けなければ。

 あれ、そういえば、昨日は泉さんにメールしなかった。うん、別に構わないよね。あちらからもメールがあった訳じゃないし。

 どうして、返信もあんまりなかったのに毎日メールをしていたんだろ。不思議。

 教室に入っても彼女の様子を確認しなかった気がする。

 今日は朝からココさんから、メールがちょっと恐怖を覚えるくらいあったが、想定していたから仕方ないと割りきる。……光原さんからまでメールがあるとは思わなかったけど。そして、無理が通ったんだ。


 さすが、天使様とだけ述べたい。


 うーん、と。


 どっかの教室が騒がしくて、何度か注意が飛んでいた。私は、理由を知っている。すまん。

 ーーしかし、困った事態になった。片倉さんがお昼休みに教室に来て私に話しかけてきたのだが、いつものように目を合わせられない。


「ちみっこ?具合悪い?」


 机に座って硬直する私を心配そうに頭を撫でてくる片倉さん。ち、違う。具合は悪くないんだ。

 し、視線がどうしてもくちびるにいってしまうんだけどーっ!!

 上下する喉仏とか、シャープな顎。薄いくちびる。荒れてなさそうとかー…助けて!エロ目線が発達してしまった。

 こ、怖い。


「………何、そのカード?」


 そっと、アマリリスのカードで自分の顔を隠す私。そりゃ不信に思うよね。


「か、片倉さんの為なんです。け、汚れる」


 リンよ。親友を腐の視線から守ってくれ。

 しかし、私の片倉さんの為の行動を阻害するのも片倉さんで、カードをあっさり取り上げてしまった。な、何故だ!


「やっぱり、女子って花とか好きなの?」

「ひゃう」

「……ちみっこ?ーー秋月さんってば。こっち向けーっ」


 挙動不審に身体を横に向けると片倉さんが、おーいって。手のひらをパタパタと私の視線の先で上下させる。ーーきょ、今日は勘弁してくれ。む、紫が…っちらつくんだよ!あ、片倉さんは茶目だから大丈夫か?目を合わせてみたーーうん、無理!!目じゃなく唇が気になる。


「あー、片倉さんにゃ!」


 教室から出ていたらしい泉さんが片倉さんに気づきこちらに走り寄ってくる。

 片倉さんに視線を向けると、少し困った表情をしている。あ、今日は私に用事だったんだ。


「あれーっ、アキアキ。昨日はメールくれなかったにゃ。寂しかったよー」


 あれー。それ、今する内容?同じクラスだよ。今朝するよね。今朝、挨拶もしてないや。


「ちょっと、時間がなくて」

「えーっ、どんな予定でかにゃ?」


 ……こんなに話しかけられたのって出会った時以来じゃ。

 片倉さんが困った表情を継続させる中で泉さんは続けようとしたが、突然、誰かが私の視界の後ろから頭を叩いてきた。


「アオ」


 片倉さんが軽く咎めている。いや、もっと言ってー。


「秋月」


 あ、さん付けを本格的に止めたの?

 振り向いた先の笑顔がドス黒…っ。


「ぎゃふん」


 ………え?

 私だけじゃなく、教室全体がフリーズした。しかし、ぎゃふんと突然いい放った本人は眉ひとつ動かさず、


「これで、気が済んだ?次は、アレについて訊きたいんだけど」


 ーー意味が、いやまさか。


「プライバシー侵害です!」


 私の思考を読んでいたのか。え、じゃあ、あの時近くに居たの?それとも、アディーが私の近くにいたから?


「煩いな。……あの、お綺麗なお姉さんがいないようだけど。なんで、アレだけいるの」

「……く、苦肉の策で」

「苦肉すぎる。ほら、廊下を見てみなよ。玩具にされてるーー情けない」


 ギリッと爪を噛む藤咲さん。

 片倉さんが、フットワーク軽く廊下を眺めて笑いながら、私を手招きする。

 いえ、私はあんまり見たくない光景なのでお断りしたい。

 しかし、藤咲さんがそれを許さない。ーーひいっと、私の腕を掴んで引っ張ろうとした藤咲さんに思わず、身体が硬直する。


「?秋月」


 珍しく心配そうに藤咲さんが、私を見ていて大丈夫と返そうと無理やり、笑顔を作ろうとした瞬間ー…、教室に黒い物体が飛び込んできた。


「るかーっ!!ひどい。どーして、様子見して、くれないの!?」


 さがしたーっと私に抱きついてくるエキゾチック美少女版セーラー服アディー。


「現実を見たくなくて」


 昨日のように弾かないな。うん。良かった。


「ひ、ひどい…っ、あ、アイツ等、おれを、あそび道具に」


 私の胸の辺りに顔を埋めて泣き始めるアディー。なんで侮蔑の表情をしているんだ。藤咲さん。あれ、泉さんがいつの間にか居ないや。

 アディーちゃーんっと、教室の外から五人の集まりがわざわざ迎えに来た。その中に佐々木くんが居たので、ーーひばりんと同じクラスか。お前!


「やだーっ、戻りたくない」


 グシグシと泣くアディーに面倒見の良い片倉さんがこちらに来ると、あれ?と首を傾ける。


「どこかで…」

「気のせいじゃないか」


 藤咲さん、ナイスアシスト!

 そうかな?と言いながら、アディーの頭を撫でようとする片倉さんにアディーの身体がびくりっと跳ねる。あ、カード、片倉さんが持ったままか。


「か、片倉さん、人見知りな子なんで」

「むしろ、関わんない方が身のためだ」


 はーぁっとため息を吐く藤咲さん。確かに関わらない方が身のためだけど。片倉さんが困惑してますけど。……昼休みが終わるチャイムがようやく鳴った。助かります。


「ちゃんと、説明して貰う。逃げるなよ」

「アオ、それはちょっと」


 ……愛想という仮面を全て取っ払った獰猛さでいい放ち、私に抱き着いているアディーの首根っこを掴み、私から引っ張なし、入口付近で迎えに来ていた集団にニコッと軽く微笑みーー逃がすなって投げつけた。

 それは軽い脅しでしょうか。

 皆がひいって言ってる。あの人の売りって、確か片倉さんとは違った意味の愛想の良さだった気がするんだけど。

 片倉さんは私にカードを返して、またね。と言ってから藤咲さんの後を追う。…なんの用だったんだろ?

 いや、用がなくても………しばらくは、私の目が腐ってるから来ないでください。


 放課後、マナルンとリンに一緒に帰ろうとメールしたら両方から用事があるって断られる。

 ーーなんですと。

 仕方なく自分一人で帰る準備をしていたら、隣の席の子がなにかを言いたげにしてきたけど、話しかけたら愛想笑いされたので、明日ね!と挨拶した。


 藤咲さんに見つかる前にと用心深く校門前まで歩くと、……人混みがーー。まさか、


「やっっっと、来たわね!」

「ルー、こんにちは」

「………昨日ぶりだな」


 いつもの二人組に一人(?)を足し、三人グループになって現れたココさん、光原さん………複雑そうな表情のセラ様、ブレザー姿がお似合いです。

 それにしても、どうして、みんなこんなにもフットワークが軽いんだろう。



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