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私が飲み物を用意して部屋に戻ってきたら、何故かセラ様が、出会った時の成人男性の姿になっていた。
アディーは、園児のままなのに何故だ。
「セラ様、私、男性を部屋にあげるのは抵抗を感じます!」
「るか、りんっていうやつを部屋にあげてる」
何故、知ってる。そして、ぶーっとか頬を膨らませるな。
「リン?別に私、お父さんを部屋に入れられるよ?」
「……どう繋がってるんだ。その話は」
「同じことじゃないの?」
なんでセラ様もアディーも微妙な顔をするの。
「はっ、まだベッド下に如何わしいものは置いてないから調べても無駄ですよ」
生前は二次作等、とてもじゃないが部屋に同士でもない限り、入れられなかった。そういえば、それでよく、誰かと喧嘩したような……兄?いや、兄は意外と半笑いはしたけど受けいれてたような?父母は……どうだったっけ?ーーま、いっか。
「お前は、一体我々をなんだと思っているんだ」
「え?興味ないんですか」
血管がキレそうな顔をしているセラ様。そんなまさか。18禁の存在でしょ!?
「て、天使、てーそーがいねんガッチガチ」
「そうなの?」
アディーが大きく頷く。
「そういう行為するの。無理やり、よっぽど、よわってないかぎり無理。される前に死んじゃう。伴侶、とくべつ。一回見初めるといちず?しつこい?肌すら見せたがらないやつもいる」
なんだろ。私の中のセラ様像にちょっと変更を。そして、アディーにちょっと貞操と犯罪について語らねばならんようだ。厳しい話になるが泣くなよ。かなり、聞き捨てならんことを言った貴様が悪い。
「悪魔、契約次第。るか、のぞむ?」
さて、試作品の準備でもしようかなー。最近あら塩が良い感じ。
「私だって、貞操概念は結構ガチガチだぞー」
生前プラスαの分、夢見がちだぞ!何故、怪訝な顔をするアディー。
「だって、あおいに、いっつもチューされてる…」
ーーふぎゃああああああああああああっ!?
「いつもされてない!ファーストキスはされてない!!それにアレはキスじゃない。幻聴と箸休めだ!!いぬねこいっしょ!」
「落ち着け。防音はしておいたが、落ち着け」
アディーの肩をがっくんがっくんと揺らしてしまった。あ、目を回している。
セラ様が、興奮してはーはーしている私に飲み物を飲んで落ち着けと。
「狂暴すぎる」
「乙女の一大事です」
藤咲。絶対いつかギャフンって言わせてやる!そして、誰だ。乙女って誰ってツッコミ入れた奴。確かに図々しかった。謝ろう。
そして、まだ、男性姿のセラ様。
なんの嫌がらせだ。
「はしやすめと、げんちょうです…」
思わず懇願してしまう。いやだ。共通認識はそうしてくれ。
「わかった。そうしよう。な、」
セラ様が珍しく優しい。
「話が脱線しすぎているな。相談とはなんだ」
そうだ。藤咲なんかどうでも良かった。今度、ぬいぐるみでも買ってきて藤咲って名前つけて殴る専用にしてやる。そしたら、少しは気が晴れる筈だ。
「えーと、ココさんについてなんですが、」
「お前は、光原だったり、ココだったり…どうも執着しているな」
呆れられた。だって、主人公様とヒロイン様になるかもしれないんだよ。防げるなら防ぎたいんだって。ブーブー。
セラ様にミルクティーを出して、歯を磨いちゃったので私は緑茶だ。……セラ様、市販の物は砂糖を足したりしません。アディーは知識として炭酸が好きだったような気がしたので、そっと隣に置く。何故、びくーっと身体を揺らした。
「それで、私、ほら学校違うので、あんまり様子を確認してあげられないので、セラ様に様子を定期的に見て貰えないかって」
「ふむ」
思案げなセラ様。アディーと契約してるんだから、アディーに頼めばいいのかな?
でも、藤咲さんの話だと同じ種族同士が側にいると力をあげちゃうんだっけ?
藤咲さんの産みの親なら、そうなんだろうし…。アディーじゃダメか。ココさんの不安定さがさらに不安定になるのは良くない。
「……人間が悪魔に狙われていようとも、通常それを我々天使側が救う行為を『この土地』では認められていない」
あれ?そうなんだ。あ、でも、確かにゲーム時、アディーとセラ様、お互い空気だった。ん?救わないの?じゃあ、私は?
「……お前の場合、あまりの愚行にーー思わず」
だって、知らなかったんだもん。悪魔を『この土地』から出すのが駄目って。コメカミ押さえても無駄ですよー。
「契約者の意向ならば、邪魔をする事も出来るのだがな」
なんですと!?
「よし、しましょう。契約!!」
「軽々しく言うな。だいたい悪魔とだけでなく、天使とまで契約など、前代未聞だ」
光原さんと女主人公はしてたよ!?
「あれ、でも。私と契約するとセラ様にうまみってあるんですか?」
「そんな低俗な事は求めん」
「誰かを救うのが、しごと、だから」
………天使様って大変なんだ。
そうなると、また血かー。カッターナイフとか。うう…やだ。怖い。
「何をしている」
カッターより痛くなさそうなものを机から探している最中です。
ん?なんで、セラ様、私に近寄ってきたの?まだ、切れそうなものは…。
「犬猫と同じだ」
「はあ」
こちらを向けと言われたので、素直に向く。しかし、犬猫?
「セラ様、まだ血の準備できてませんよ?」
「いいーー目を閉じろ」
はーい。と、目を閉じると、セラ様に顎を掬われる。あ、そういえば、まだ男性姿だ。やっぱり、美少女が…………………ん?
………くちびるになんかあたった?なんか甘いーーっ!?
驚いて、目をぱっちり、開けたら、セラ様が視界いっぱい?おおっ、やっぱり、おきれいなお顔で。まつげ長いですねー。紫の瞳がすんごい近いよ。はっはっはっ。
あ、離れた。
「犬猫、箸休め、幻覚。どれでもいいぞ」
なにが?
セラ様が気まずげな顔をしている。あれ、私、なんか目に水がたまり始めた。体もプルプルしてる気が……なんでだろ。よし、のうないー…
「セラだけずるい!チューした!!」
「愚か者!」
アディーがおれもって。
うん。ーーおねえちゃーん。
「こら、どこへ行くんだ。説明が終わってない!!」
「やだー。お姉ちゃんーっ!リンーっ!!」
セラ様が私の腕を掴んだ。ひぃーっ怖いよー。と振り返ったら、美少女だった。あ、…………うん。
ちょっと冷静になった。
「せ、せらさまは、ちょ、っとい、いぬっぽ……」
「よし、ベッドに座れ」
言われるままベッドに座る。アディーがおれも!と近寄ってきた瞬間、バシンッと何かに弾かれた。え?私、なんにもしてないよ。
「なんでーっ?」
アディーと私の困惑を余所にセラ様が勝手に私のスクールバッグを漁っている。あれ?説明は?……あ、そのアマリリスのカードがどうしました?
「持っていろ」
「なにそれ、やだーっ」
アディーが、リンがくれたカードに文句言ってる。でも、なんか癒される。
むしろ、本人に癒されたい。お姉ちゃんも隣室にいるのに。拷問だ。拷問過ぎる。
セラ様が、私が多少落ち着いたのを見図ると、ゴホンッと咳払いをした。
「これで、契約はなった。」
「ずるい。おれもちゅ……」
「黙れ。忘れていい。むしろ、忘れろ。お前の為に」
やばい。目から水が。セラ様が拭おうと近寄ると私が、びくりっと身体を震わせてしまうせいで、近寄れないようだ。
えーと……。うん、契約は内容をきちんと訊いてからしましょう。
ーーこれ以上何をいえと!?
うん、でも、今、私は現実逃避している場合じゃなかった。
「ええと、ブジケイヤクモナリマシタシ、ここサンノハナシにモドリマショウカ」
セラ様、心配そうに見ないで。大丈夫。ちゃんと後で脳内会議するから。
視界にセラ様が飲んでいたミルクティーがうつる。し、しばらく、ミルクティーは飲みたくない。




