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リンが荷物を一人で持ってしまったので、私とマナルンは手を繋ぐことになった。………友達だけどー。
普通繋ぐのかな?
ぼっちが長かったせいで普通の距離感がわかんなくなってきた。
「仲良いね」
にっこり。光原さん、どうも。
「テルちゃんも繋ぐ?」
「荷物があるから」
確かに重そうだ。
しかし、マナルンってすごいな。私も親しくなると、つい、あだ名でー……。んん?じゃあ、なんで泉さんは苗字で呼んでるんだろ。
いずみんとか?……いや、まだ、そんな仲じゃないからかな。うん、自分から仲良くなろうと思った初めての同級生だから慎重になってるのかな?
う~ん……?あ、ひばりんは最初からだ。
「わたし、図書館までになっちゃってごめんね」
マナルンに弟から連絡が来て、図書館まで迎えが来ているとのことだ。……ここまで迎えに来ないのは弟の都合らしい。ーー盗撮くんめ。
まあ、その分話ができるからいいか。
「そうだ。るかちゃん。うちの弟がるかちゃんの写真を勝手に撮ってたみたいでごめんね」
「え?……あー…、ネットに載せるとかじゃなければ大丈夫です」
本当はきわどい写真とか嫌だけど。マナルンがどこまで知ってるのかわからないし。
「あの子、人を撮るのがすきなの」
……黙ろう。
「いい趣味だね」
光原さん。まだ弟を知らないからそう言うんだよね。やだ。世の中皮肉でできてるっ!
「じゃあ、愛川さんを送っていきましょうか」
と、リンの号令?で、図書館まで四人で歩くけど、……あ、そういえば。光原さんにせっかく会ったんだから。聞かなきゃ。
「光原さん。ココさん、ひばりんの誕生日プレゼントで悩んでるらしいですが、どう悩んでるのか、さっぱりな内容のメール送ってくるんですけど、理由わかりますか?」
私の質問に光原さんが気まずげに視線を反らしながら、
「毎年、月夜へのプレゼントは、心美が選ばず、かずーー心美のお母さんが買ってきた物を渡してたんだけど。今年は、ルーやセラさんと一緒に買いに行きたいって……それで、ちょっと色々有って」
「………早く言わなきゃ、来ますよ。ひばりんの誕生日」
「……うーん。予定が空いてたら誘ってくれないかな?」
確かにちょっと、ココさんの性格上ハードルが高めか。光原さんも図々しいと承知しつつ頼んでくるあたり、かなり追い詰められてるのかな?
「セラ様はわかりませんよ?」
「うん。ありがとう」
おおっ、美形スマイル。……でも、今日は、あんまりときめかないのは何故だろう?
「なんでしょう。ルカに知らないうちに友達が増えてますね」
「ふふん。ぼっち返上!」
「はいはい。このままシスコンが治れば、僕の天下なのに」
「病気じゃないもん!」
ブーブーと文句を言えば、リンが、はいはいと対応してくる。ーーあれ?なんか本当にいつも通りな気がしてきた。
「るかちゃんの一番って、まるちゃんだもんねー」
マナルンが、にこにこしている。
「ふふん。綺麗で優しくて、私の女神ですからね!」
「……そんなに綺麗なの?」
なんで、リンにこそこそ訊くの。私ならいくらでもー…。
「可愛いですよ。とても」
あれー?
よくよく考えたら、どうして、リン。余裕なんだろ。
ふられたって割には、お姉ちゃんへの気持ちを隠そうともしないし…
ハッ、まさかー…、
「リン、ドエ…」
「額縁はいたいですよー」
「黙ります!」
リン殿に敬礼!と脳内会議の首脳陣が、敬礼している。
「まったく」
「仲良いね」
「退屈しませんよ」
光原さんが茶々を入れリンが肩を竦める。なんだか、仲がいい……BLは、ダメだ。友情でお願いします。
「そろそろ、図書館だから、わたし行くね」
きゃるるんってマナルンが手を振る。見えなくなるまで手を振ってくれる。ーーうん、明日からストーキングを開始しよう。
「バカな事、考えてるでしょ」
「友情とは探りあいから始まるんだ!」
「……ちょっと、家に帰ったら相談に乗りますから。自分一人で考えて突っ走るな。ルカが落ち込んでる時に考える内容は録でもない」
なんだか、耳に痛いことを言われてますが、思い当たる節のある人いますかー?はーい。おや?いましたね。誰ですか。うんうんーー私か。
「何をボーッとしてるんですか。ほら、ふらふらしない。車道ですよ。そっちは」
「う、うんー…あ」
道路の先にある車体に反射的にビクーッと体が震える。……いや、本当に反射的だった。
「どうしたの?」
三原さんが心配そうに私をのぞき込む。
「……すみません。テル。あちらから帰りましょう」
「え。別にサイレン鳴ってたり光ってなきゃ平気だよ?」
「いいから、真っ青です」
ーーあれ。こんな過剰反応するくらいパトカー苦手だったっけ?
「パトカーが苦手なの?」
「昔から小者で、権威に弱いんですよ」
その説明の仕方はどうなのかな。リン。
結局、少し遠回りになり、光原さんの家までまわってしまった。
「美容院兼自宅ですか?」
お洒落な外観の一軒家で二階が自宅なんだと指す光原さん。私、知ってたよ。
「うん。結構忙しくて」
「今度、切りに来ます」
「待ってるね。ルー……なんだか体育祭楽しみになってきた」
おや、そこで何故体育祭の話し?
リンも頷いて。
「そうですね。……しかし、うちのトップとそちらのトップは子供の行事をなんだと」
私が話についていけずきょときょとと、お二人を見上げていたら、二人がようやく私の困惑に気づいてくれたようだ。
「体育祭が近いこと知らないんですか?」
「お姉ちゃんが会議で走ってることくらいしか」
「忙しすぎると思いませんでしたか?」
「文化祭と並行に会議してるからだと」
はーぁっと、ため息をつくリン。
「帰りながら教えます。」
「……はい」
しょんぼりと光原さんに視線を向けたら苦笑された。
「いいお兄さんだね」
「はい!大好きです!!」
「その返答は零点です」
光原さんとも別れて、リンが説明もしてくれずニコニコと家路を急いでいる。……これは、やばい。
時間をかけてたっぷりと説教する気だ。
脳内会議ーっ!魔王をBGMに流すんじゃないっ!!




