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彼女の言い分 1


 始業式だった為に半日で学校が終了したので、ひばりんとお昼を食べて帰ろうという話になった。

 お姉ちゃんに相談メールをしたら、『千円までね』とお許しがでた。ファミレスの新商品が食べたいというひばりんに付き合った結果……寄り道するとこういう悲惨な目に遭うんだぜー。みんな、校則は守りたまえ。

 ヒロイン様と光原さん……相席って何さ。私、ひばりんと二人でいいよ。

 あ、私のお詫びの品はひばりんのバッグに突っ込んでおいた。かたちがーっとか女子みたいなことで騒がれたけど、いいか。


「ねえ、月夜。その女、誰?」


 忘れてやがるーッ。

 おま、自分が殴った相手忘れるのか。え?私?そ、そんな暴力女じゃないよ。……アディーくらいかな?殴られたほうが多い気がする。

 ぶすーっと私を睨むヒロイン様にお水をそそっと渡す。あ、違うよ。ぶっかけられたいとかのフリじゃないよ。


「……」


 ひばりんが超無視してるーッ。どうした、可愛くないよ。その反応、良くないよ!

 ドリンクバーも注文した所だし。よし、私、珈琲を持ってこよう。立ち上がったら、何故か光原さんまで立ち上がった。


「心美は紅茶だよね。月夜は…」

「俺も一緒に行くから」


 じゃあ、私は座り直そうかな。


「?秋月は行かないの」

「ルーって、前に珈琲飲んでたよね。それでいい?」


 お二人様、私に気を使わないでください!!ヒロイン様、にらまないで。違うよ。別に私が貴女の位置になりたい訳じゃなく適度な距離をと思いましてねえ。ええ、光原さんは引き離しに掛かってますが。あれ?それだとやっぱり、私が悪いのか?


「テル。ルーって何」

「秋月さんにルーって呼んでって言われたから。可愛いよね。ルー」


 やだ。親しくないから八割お世辞でもこんな美形に可愛いって言われたらニマニマするぜ。ーーヒロイン様さえ居なければ。


「ああ、返す物があるから」


 |主人公様≪光原さん≫がどんどこ私を不幸にするーッ。

 やめて、あなた様が何か行動するたびにヒロイン様の殺意が私に向かってくる。何、気づいてないの?

 隣に般若がいるのに気づいてないんだ。光原さん。


「……なんで、貴女がそんなにテルと月夜と親しいわけ?」


 私、ヒロイン様と居残り。

 だってさー、男子二人ともドリンク取ってくる雰囲気で、私は自分の分は自分でーとかでいい訳よ?

 それだと三人一緒に行ってヒロイン様だけ残って……彼女の目から見たら媚びてるように見えるんじゃないだろうか。私が平穏でいれる一番の解決策はひろいんーー葛西心美が女王様を辞めて飲み物くらい一緒に取りに行ってくれれば。

 なんで、私を睨む。こ、こわい。


「で、なんで」


 あの二人のスペックを思い浮かべる。ーーうん、ヒロイン様さえ居なければ、モテ男人生が。リア充滅べー…じゃなかった。

 ひばりんはまだまた、友達と一緒にいるのが楽しい子なようだし。光原さんは、ゲーム時代から微妙に高スペックを誇っていた。運動神経も頭も良くて、どこで学んだのかマナーも完璧だった。顔だって前髪切った程度であんなに美形に……そんな光原さんを振るヒロイン様って一体?

 いや、うん。ひばりん、かわいいけど。あの必死に男の子してる感じがして、女の子はか弱いから守ってあげたい!みたいな所があって、生前プラスαな私にはつい、お姉さん……は、サバ読みすぎか。親戚の子供が私になついてくれてる気がして、お母さんになったらあんな子欲しい!とか思うんだろうな気分だ。

 うん、同い年だとあんな子が彼氏だったら青春って感じがするんだろうなー。


「ぼーっとしてないで、答えなさい!」


 いきなりテーブルをバンッと叩かれたので、びっくりした。

 あれ?ぼーっとしてた?


「心美!秋月に絡むなよ」


 ひばりんがすぐ戻ってきた。あれ?飲み物は?


「だって、この子が無視するからっ!!」

「だからって」

「あ、自己紹介忘れてました。秋月ルカです」


 ………え?なんで、そんな人死にが出そうな眼で睨むのヒロイン様。


「~~葛西心美よ!」


 いや、だって、ひばりんと心美さんの罵りあいの腰を折ろうとしたら、自己紹介くらいかなって。

 座り直した心美さんの元に光原さんが紅茶を持って戻ってきた。……飲み物って女子力に関係するんだろうか?

 ふと疑問。

 私の前に珈琲を置いて戻っていく光原さん。ひばりんはここに居着くらしい。

 私の隣に座るひばりんが気に食わないのか、ジーッと睨み続けている。……見つめてる?


「ね、ねえ、月夜」

「なに」


 やだ。ひばりんの声音が聞いた事ないくらいに冷たい。ーー光原さんが戻ってきて、ひばりんの前にオレンジジュースと自分は、珈琲だ。うん、カフェイン愛好家でしょうか。いい店知ってるよ?


「もうすぐ誕生日でしょ。三人でどこかに行かない?」

「いかない」


 ーーなんだろ。ひばりんが頑なだ。どうした。一応愛想は売っておけって。……光原さんに視線を向けたら、私の視線に気づいて頭を振る。知らないところで何か有ったのかな?それなら、なんで相談してくれなかったんだろう。


「で、でも、毎年三人で…」

「今年は予定があるから」


 ほう。予定とな。

 私の目は輝いた。確か、9月15日。

 ………敬老の日として休みだね。なんだよ。ひばりん。家族との絆を深める気だね。うんうん。私もその日は家族サービスに明け暮れるよ。私、いつもより家事頑張る。生前、お部屋がゴミにうずくまった日々とはもうお別れを告げてるんだから。ご飯だって作っちゃうぜ。

 あ、誕生日プレゼントはいつ渡そうかなー。


「その、予定ってなによ」


 はっ、いけない。またぼーっとしていた。なんか最近、ぼーっとすること多いな。夢うつつ?……なんか、良くないな。

 ひばりんが、心美さんを睨んだまま、何か自分のスクールバッグから取り出す。あれ?さっき、隠したもんだよね。どうして、今出すの?


「秋月から誕生日プレゼントとして貰った」


 はい?


「それで、誕生日にデートの約束したんだ!!だから、その日は、心美ともテル兄とも一緒にいれない!!」


 無理があるって。その設定!!


「ひばりん!?」


 待ちたまえ。君、まだ、引き返せるぞ。

 ほら、私にも予定が。ーーないな。

 でも。待て。ううんと、私にとっておいしいのか?心美さんがあんまりしつこい性格じゃなければ、心変りが…?


「デート?月夜とルーが?」

「ち、ちがいます!お出かけ。そう、おでかけ、え?出かけるの?」


 自問自答。おおう、ここで、光原さんにガン見された。やばい。敵認定されるのは非常においしくない気がするっ。どうしよう。


「…ぅ…」


 う?


「ひっく…」


 ヒロイン様が泣いてる。ーー喜怒哀楽がはっきりしていて、過激な性格だからすぐ噛みついて、何か悪いことがあると、他人のせい。

 これ、かわいそうだって、ひばりんが謝ってくれるの待ちかな?

 しかし、もしかしたら、かわいそうな自分アピールじゃなく、本当にかなしいのかもと私がハンカチをそーっと差し出すとパッシンと、手を叩かれた。


「貴女の同情なんかいらないわ!!」


 あ、判断しづらい。


「心美!」

「ルー、大丈夫?」


 そして、どうして皆して私に向く。

 真っ赤な顔で、もう帰ると叫ぶ心美さんに一緒に立ち上がり着いて行こうとする光原さんに私はハッとしてしまった。


「待って。お二人とも」

「何よ!!」


 ぎろっと睨まれた。が、私は顔色を青くし、


「注文、もう、してますよね…」


 ヒロイン様はデザートだけだから、まだいいが、光原さんの分までは食べきれない。そして、なにより支払いが、


「あ~、オレ残るよ」

「~~勝手にして」


 ふんっと、ひとり去っていくヒロイン様。

 悪いことをした。しかし、支払いが難しいのも確かだ。私の財布の中身はいま、千円しか入ってない。千円までよって、お姉ちゃんに釘刺されるまでもなかった。

 しかし、気まずい空気の中誰も何も言わずに食事をする苦行って。ひばりんめ。出汁に使いやがって覚えてろ。


 そんな苦行も終了すると、私は、解散を宣言して、ひばりんを置いて帰ることにした。

 怒ってるの?とかごめんとか聞こえたが、今日はもう無視。ちょっと、相談もなしになんんでも解決できる思われたら困るな。どうすればいいんだろ?あ、光原さんにヘアピン返して貰ってない。


 次の日にそんなモヤモヤした気持ちと女難が続いたまま、普通の授業をこなし、マナルンが見てる気がして手を振ったのに逃げられた。泉さんはメールは普通なのに学校では話すなオーラ。下校時間になって、ひばりんがじーっと私を見ているが、何故話しかけない。やだ。そんな子に育てた覚えはないぞ。

 なんだか、ぼっちに戻った気がしてケッてなった。

 お姉ちゃんは今日も忙しいんだって。


 校門前がなんだかひとが多い気がする。男の割合が高い様な。なんだ?ーーげっ。後ろを振り返る。ひばりんは他の友達に捕まっていていない。うん、引き戻して忠告を。


「ちょっと、いつまで待たせるのよ!!」


 え、誰に話しかけてる?


「貴女よ。貴女!」

「え、わたし?」


 当たり前じゃないと怒鳴られた。え、待ち合わせする様な仲じゃないよ。


「行くわよ」

「え、はい??」


 混乱したまま腕を引かれた。えーどこ、どこに連れてかれるのかな?


 誰かー、私の骨を拾ってくださーい。


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