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 ご飯半分は片倉さんに食べてもらった。ーーじゃあ、ラーメンと餃子は食べたのかよっ。ダイエットはどうした!?と言う声が聞こえた。

 きっと空耳だ。

 ふ、私はきちんと地味に夏休み中図書館に通っていた女だ。問題ない。……あ、予定がなかったんだよねって。そんな俯いて泣いてくれるんだね。……え?ざまあ?ーーどうして、そんなフェイントをかけてきたっ!?


 お、お腹がキツイ。


 片倉さんは、プラス二百円を出してラーメンは大盛りにご飯は炒飯と変貌を遂げた品をぺろっと食べてしまった。


「美味しかったね」

「ひゃい」


 お腹いっぱーい食べてーとも言わずに私が無言で炒飯の皿に足していった白飯を無言で食べたり、餃子を二個ほど押し付けたのも無言で食べていた。……アニキ!

 そういえば、ラーメン店に入る前に片倉さんが私と手を繋いでいた件は、いきなり魂を飛ばしたようにボーッとなった私の前で手を振ってみても猫騙しをしてみても、一切無反応だったらしく、手を引いて店まで連れてきてくれていたらしい。


 お世話をかけました。


 しかし、あの台詞と笑顔は反則気味なのでそろそろ審判に抗議に行かなければ……審判って誰だ。


「しかし、今日も暑いね。海かプールに行ったりした?」


 日射しが確かに刺すようだ。うーん。今日は日傘を持ってきてない。……お姉ちゃんが用意してくれてなかったからです。私だけだと、そんなもんなんだと軽く落ち込む。


「いえ、ひばりんに悪魔のお告げのせいにして行かないといったので」

「祭りは?」

「リンと言う護衛が居なかったので」

「…………お盆は?」

「熱出しました」


 あれー、こうして羅列していくと、私の夏休みって。……図書館とともにあったね!


「おかげ様で宿題に関しては心配ご無用です!」

「……」


 何故、頭を撫でるんですか。無言は痛いです。

 は、夏と言えばーー。


「ひまわりヘアピンが返ってきてないッ」


 あれ、お気に入りなのに。……あ、よくよく考えたら光原さんにも謝んなきゃいけなかった。倒れたあとの記憶が吹っ飛んでいる。夏だから恋しよう!作戦も始動してなかった。

 あの方については何故、こんなにやるぞー詐欺ばかりになるんだ。まさか、主人公様に対する何か余計なイベント拒否というバグでも起きているんじゃ。あ、その前に。


「片倉さん、ごめんなさい!」

「うん。わかってるから」



 おしまい。









 ーーじゃなくて!私は噛みついた。だって、おかしいじゃないか。


「どうして、藤咲さんといい、引き際が潔いんですか!?私なら、ふ、証拠があるってんなら出してみなって」

「証拠?……あれ、えーと美術館の一件の謝罪でしょ。それなら、アオから理由を訊いてるから、その…女の子って、大変だね」


 何故、赤くなったんですか片倉さん。

 そして、どんな説明をした藤咲。訊いて否定したほうが良い気がするのに片倉さんの口からは聞きたくない内容な気がする。

 がっかりしたくないし。……どうして、がっかりしたくないんだろ?


「ああ、ほら。ここが雲雀が好きな系統の店だよ」

「えーと…、ストリート系?」

「動きやすい服が好きなんだよ。スポーツ用品とかの店に入ると一日中眺めてたりするから。スケボーとかスノボとか滑る協議がすきなんだよ。」


 そこにスキーが入っていれば、スキーが好きーって…よし、私と君の間に必要なのは暴力じゃない。話し合いだ。だから、その握った拳はおろした前。はははっ…ごめんなさい。

 しかし、


「ほう。運動少年ですか。……ちっ」

「ちみっこは見る限り、運動できなさそうだもんね」


 確かに出来ないが、ばれるものなんだな。

 店に入ると、綺麗なお姉さんがいらっしゃいませー。と、何故、ファッション系統の店の店員は顔が異常に良いんだ。採用ポイントはそこかっ!?いや、ときどき個性的ファッションな人もいるからやはりセンスか?

 なかなか失礼な事を考えながら店員さんを眺めていたら、片倉さんに帽子を被せられた。


「んん?」

「キャスケットとか誕生日プレゼントに良いんじゃない?」


 ーー確かに!すごい。こんなに簡単にはプレゼントが決まったと感動すると、片倉さんが困った顔をした。


「あの、ね。候補のひとつとしてだよ?」

「え、これでいいんじゃ」


 リンの誕生日プレゼントも三分で決める女に何を言ってるんだろうか。

 お姉ちゃんの場合は、3ヶ月前からリサーチを始める。だって、資金面が!ついでに今年のお姉ちゃんとリンの誕生日は過ぎている。

 あの二人は六月生まれだ。しかも誕生日が並んでいるので、やはり運命のカプなんだとしか言えない。

 ん?あれ、そんなおいしいイベントなのにイベントがなかったような、プレゼント交換をつつがなくして終わったような、うち誕生日祝い大してしないんだよな……お姉ちゃんとリンのは盛大にしてもいいじゃないか。しょんぼり。


「……じゃあ、買うのはキャスケットとして。どれ?」

「ニットで」

「…なんで?」

「可愛いからです!」


 私の力説にいまいち賛同してくれない片倉さん。


「あ、あと、ハンカチも欲しいので、えらんで」

「それは自分で選びなさい」


 きっちり拒否された。な、何故だ。

 片倉さんから離れて商品を眺める……あ、このガラガラな靴下ひばりんに似合いそうだ。このユニークマスコットの靴下あげたら微妙な、


「何かお探しでしょうか」


 ーー店員さんに捕まった。


「あ、いえ。ともだちに……」


 愛想の良い店員さんに笑み返そうとしたが、一瞬、声がつかえる。


「どうしました?」

「あ~、ちょっと苦手な」

「ああ、商品の匂いとかですか。たまにありますよね。匂いに癖のあるのが。あちらに休憩できる場所が」


 本当に愛想の良い店員さんに微苦笑していると、片倉さんがこちらに血相を変えてやってくる。


「大丈夫?」

「あ、はい。いつもはこんな感じなので」


 サイレンの音がどんどん大きくなってきたが、そんなに心配して貰うほどじゃないとヘラーっと笑って見せると店員さんが、片倉さんに座れる場所へを教え、去っていく。おお、余計なお世話までしない引き際を知っているタイプなのか。


「耳を塞いで置けば大丈夫ですよ?」

「でも、前は」

「あれ、特殊ケースです」


 片倉さんの過剰反応の理由がわかっている分、誘導されるまま店側が用意していた椅子に座る。サイレンは一時的に大きく鳴っていたがどこかで、車線変更があったのかどんどんと離れていき、ようやく一息つける。


「……治らないんだ」

「そうですね。理由がわからないので」


 多分、生前のトラウマゆえなのだろうが積極的に知りたくないことなので、私は今のところ放置を決め込んでいる。

 だって、…サイレンが嫌いってさー。うん、ーー完璧に犯罪者の反応だよねと私は思っている。だから、こわいっ。知りたくない。何をやったの?っていうか、あの時口走った内容から推察して、碌でもことをやらかしている可能性が…。脳内会議ーっ結論は?ーーはい。君子危うきに近寄らず。君子もこんな時に使われたくないよね。という結論に至った。

 私が少し血の気の引いた顔をしたせいか帰る?と訊ねられたが、せっかくなので、ひばりんへのハンカチの詫びの品。靴下セット(秋月ルカセンス)、誕生日プレゼントのニットキャスケット(大半片倉さんセンス)を購入した。あれ?ハンカチを素直に購入するはずが……?まあいいか。


「どっちが喜ばれるか勝負ですね。片倉さん」

「いや、オレは別に用意するから。勝負しないでいいからね。オレが選んだとか言わないで」


 何故か、念を押された。残念だ。


「二時半か。秋月さん、他に予定がないなら。オレにつきあわない?」

「あ、はい」


 反射的に返事をした私ににこっと微笑む片倉さん。

 なんとなく黒い笑みなのは気のせいだろうか。



 私は、すっかり失念していた。片倉さんは、リンと藤咲さんの親友で被害者ではないんだということを。


「ようこそ、神光高校、室内プールへ。さ、五時までだからいそご」


 完璧な不法侵入をやってのけた片倉さんに戦慄した。そして、ここにいる時点で同罪だが、えーと、情状酌量の余地を求めてもよかろうか。



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