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 お姉ちゃんの後ろに見える怒りのマングースが赤いマントを羽織ってるように見える。え?スーパーマングースって表示が見える!?レベルアップするのそこなの。


「あ、アンタの妹が生意気だから、キョーイクしてやろうかと」

「いりません」


 ミユミユ、撃沈。

 はい、取り巻きたちも、ニコニコ笑顔の姉に罵詈雑言を浴びせるが、お姉ちゃん、「そうですかー」「まあまあ」「大変ですね」……流してる。


 これが女子力?


 無理だ。絶対、身に付かないよ。

 私のことを忘れたかのようにお姉ちゃんに食って掛かる三人。うん、姦しいって言うんだっけ?

 ボーッと、捕まれた髪を整えていたら、例の謎の効果音が聴こえた。ほら、きゃるるんっ。


「るかちゃん、大丈夫ー?」

「あ、どうも。愛川センパイ」


 ロリッ子、愛川センパイがビデオカメラを持って現れた。うん、助っ人に呼んだのこの人。

 アドレス交換が役に立つ日がこんなに早く来るとは、世の中わかんないな。しかし、学校にビデオカメラって…。


「あれですか。またハ虫類連れてきて撮影会ですか?」


 前科があるので訊いてみる。しかし、あっさり否定された。


「うぅん、メール貰ってから、お爺様の部下に持ってきてもらっちゃった。ボイスレコーダーもあるしぃ。目撃者もあっちやこちらに用意したから、証拠能力はばつぐんだよー」


 そう言って指した方向に雑木林の物陰にスーツを着た男。木の影に以下略。……全然気づかなかった。怖い。


「あ、便利に頼りましたけど、ご不快ですよね。でも、ありがとうございました」


センパイほど、今回の呼び出しで頼るべき人はいなかった。でも、あまりにずうずしく好意に胡坐をかいたことだからと謝罪する。

 私より、小さいから少し見上げる形になる愛川センパイが何故か、え?と目を見開いた。


「わ、わたし、おともだちに頼って、もらえて嬉しいよ?」

「はい?」


 私が、不思議になって首を傾げたら、愛川センパイが、さらに目を見開いて、みるみると大きな瞳に涙を滲ませていく。あー、なんかまた、甘ったるい声が聞こえてくる。




『そうだね。私たち友達だもんね。マナさん!』




 ……うんうん。ないわー。

 もうちょっと、私の心を揺さぶるウィットにとんだギャグでも囁いてみやがれ。


「お、ともだちじゃないの?」

「はい。少なくとも今は違うんじゃないですか?」


 話も対してしたことないし、メールも返信に困る内容を送ってこられたり、私は愛川センパイのメール十通に一回の返信とかだったもんな。

 これで、友達だもんね。って、本当に助けにきてくれた愛川センパイに失礼だな。うん。

 じんわりと、涙が滲む瞳の愛川センパイに私は言いたいことがあるので、言葉を続ける。


「あと、数日で夏休みですね」

「う、うん」

「遊びに誘ってください。受験生を誘うのは気が引けるので」

「………え?」


 さらに目を見開いた。あれ、これ以上は見開いたら目玉が落ちるんじゃ?


「えーと、あと勉強優先なら図書館に通う予定なので、遭遇率は高いと思います」


 やだ。なんかナンパみたいで恥ずかしくなってきた。きゃっ。……やばい、自分のぶりっ子で吐きそうだ。


「わ、私を攻略したいのなら、夏休みがチャンスだぜ!愛川センパイ」


 ーー私は、何様だ!?

 ち、違うんだ。青春ラブコメみたいな台詞しか出てこなかったけど、依存とかしない、ゆっくりした友情を育もうぜ!的な?……あ、あれ。やだ。自分の脳みそがあの甘ったるい声より、甘い考え方してる!!


「るかちゃん!」

「おねえちゃーんっ!証拠の品が揃ったから、そろそろ撤収しようよ!!」



 愛川センパイのキラキラした瞳を向けられ背中からぶわっと、嫌な汗が大量に流れ落ちる。怖い。自分のぼっち歴が怖い。

 生前は同士が多かった。同じ趣味の集まりに参加してたが、今生ってお姉ちゃんとリンにばっかり、かまけてた。……私、対人スキルが劣化してる!

 み、磨こう。ひばりんにも付き合って貰って、対人スキルをあげよう。

 大声をあげてお姉ちゃんに走りよる私をお姉ちゃんは、しっかりと抱き締めてくれた。


「しょ、証拠って…」


 ミユミユが、私の手にあるカメラにあんぐりしている。いやー、『かよわいふり』に個性をいれてみたから、殿に褒めてもらえるかな?


「えーと、脅し用?」

「最低だね!アンタ!!」


 あ、やべ。何にも考えずに喋んなって言われてたけど、つい、うっかり。

 そして、ミユミユめ。自分を棚上げしやがったな。


「バカな。不満があるから相手に暴力を振るっていいとかそういう事をしているから、私に不満を持たれて弱味を握ったろうとか思われるんだ。自業自得!底辺同士だ。諦めろ」


 胸を張って、えっへんと威張ったらお姉ちゃんが私に近寄ってきて頭を撫で撫でしてくれた。笑顔なので、一切どんな気持ちでなのかわかんない。愛川センパイは何故か私と恋人繋ぎをしてくる。…い、意味がわかんないや。


「ウリなんかしてるくせに!」


 般若のような形相で、私を睨み付けてくるミユミユ。……私は、へらーっと笑い返す。


「私が、いつ、何時、何曜日。地球が何回廻ったときにウリなんかしましたかー。明確な証拠はありますか」


 にこっと、お父さんの腹立つ口癖を真似してみる。お母さんと喧嘩するとよく口走っていた。なんて子供っぽい父親なんだ。ちょっと評価が下がった。

 グッと詰まるミユミユご一行。さて、このまま野に放つと復讐とか考えそうだな。どうやって、戦意を削ごう。などと鬼畜な事を思案していると、


「あれ、みんな。何してるの?」


 おお、男子禁制、女人の園に何か妖怪。藤咲さん。あ、間違った何か用かい?

 ミユミユご一行の血の気が一気に下がった。やれやれ、発覚した時の覚悟がないなら最初からするなよ。

 私たちを一通り眺めて、目を細めて、にっこりと異性にウケの良さそうな笑顔を浮かべる藤咲さんにミユミユの取り巻きが頬を赤くしている…その隙にお姉ちゃんが耳打ちしてくる。


「葵先輩が、ルカが連れていかれた事を教えてくれたの」


 なるほど。どおりでタイミングがいい。そして、状況わかったうえで入ってきてくれたのか。ふむ。お芝居に付き合ってくれるかな?


「藤咲さん、先輩達が怖いんです」

「えっ?」


 私の言葉にギョッとするミユミユご一行と、笑顔を取り払い、まさかマジで告げ口する気かと咎めるような眼を向けてくる藤咲さん。はっはっはっ。まさか。この件をうやむやにしようとしているだけだ。


「私が、部活とか委員会に入ってない事、怒るんですよ。しかも、剣道部に入れとかひどい。お姉ちゃんにまで告げ口するんですよ!私、どうせなら、お姉ちゃんと一緒がいいのに」


 驚愕に眼を見開くミユミユを確認。くふふ…、お前の事は最初っから知ってたぜ的なアピールだ。


「え、…ああ。日比谷さんたちは部活頑張ってるからね」


なるほど、取り巻きも同じ部活か。


「え~、るかちゃんは、私と同じ部に入ろうよ。生物部。」


絶対お断りだ。


「マルさんは何部でしたっけ?」

「美術部です」

「秋月さん。絵心は?」

「へのへのもへじ」

「……部活は必須じゃないから、大丈夫だよ。ね、日比谷さん、松村さん、根津さん。やりたくない後輩を無理にひっぱらない方がお互いのためじゃないかな?ほら、大事になるかもしれないだろ。警察沙汰とか」


  にっこり、ミユミユ達に脅しをかける藤咲さんに私は、苦笑する。いやいや、そのセリフは、余計なお世話だ。俯いてはいるが、あれは、私に不満を確実に溜めたな。察しのよさそうなのは、藤咲さんに気付かれているのもわかっている。

ふむ。面倒くさい。うやむやにするのに失敗したようだ。問題をこじらせに来たのかな。とも考えたが、お姉ちゃんと愛川センパイは、明らかにほっとしている。んん?なんで~、後ろ暗いことした人間は正しいことでも無理やり自分を押さえつけられると反発するんだけどな。

明らかな温度差に私は、口元がひくつく。駄目だ。この空気じゃ、ミユミユ押さえつけ作戦続行不可能だな。

藤咲さんに連れられ、ミユミユ一行が去っていくが、しっかり私に暗い怒りを向けてくる。うん、恨まれた。

ん~、残念。まあ、『かよわいふり』を少しは覚えたからいいか。


「証拠品は、どうするの?」

「んーと、殿に預ける予定」


頼っていいと一応言っていたので、バックアップをパソコン室を借りて家のパソコンに送り、カードのほうは、殿に預けるのと今日の報告を行いに保健室に三人で訪れるとでかい雷が落ちた。


「だれが、他人を蹴落とす方法の幅を拡げろと言ったんだ!?その頭は飾りか!!」



淑女への道とともにか弱い女の道が遠いこと知った。


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