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地味な台風の目。1

 --悪いことをした。反省はしている。


「今日の帰りは、部活を休むので『一緒に帰りましょう』ね?」


 リンの迫力笑顔。


「私も、早く話し合いを終わらせるから『一緒に帰りましょう』」


 姉の後ろに怒りのマングースが見えました。シャーって。マングースはシャーっと鳴くのでしょうか。知りません。ただのイメージです。


「……はい」


 大好きな二人に腕を組まれ、おど…いいえ、下校デートに誘われて断るなんて男が廃るぜ!おっとつあん!!あ、私、女ですけど。

 結局酔いが醒めずにふらふらしていた私を帰すに帰せなかったらしい神取と早すぎる朝食を食べてから朝帰りをする結果になった今日、お父さんは私を送ってきた太刀川さんに玄関先で私を奪い取るように抱き上げ、太刀川さんに笑顔で『今度、太刀川の所の上司に話がある。逃げるなよ。ーーと言っておけ』と、言っていた。目が座っていて怖かった。

 お母さんは、私に『きょ、今日は学校休む?』と泣きそうな顔で言ったが、私が休んだら誰かも休みそうなので却下した。何故、泣きそうなんだ。私は絶対にこのうちから出てかんぞ。むしろ、泣くより怒ってほしい。

 そして、三人で学校へ登校して上記のやり取りの後、ようやく教室に入ると…、クラスの皆様、化け物でも見る目は止めて。

 うん、もとから浮いてるのが、さらに浮いてる気になる。ロールスロイスに乗ったおっさんについていく中学生って怖いよねー。ごめん。変な同級生で。関わんなきゃ無害だよー。


「秋月!」


 私がいそいそと机にバッグの中身を入れていたら、ひばりんが血相を変えて教室に入ってきた。あれ?なんで、私の教室を知っているんだろう。

 ドカドカと遠慮なく、私に近寄ってくる雲雀に謝らなければならない事があった。


「ごめん。ひば「大丈夫だったか!?」」


 ガシッと肩を掴まれ、びっくり。


「なんか、あのおっさんに脅されてるのか。俺で良かったら相談に乗るから」


 必死に私を心配してくれているひばりんに私は、おおっ、と感嘆した。

 あのヤがつきそうな若頭風な神取を前にしたのに私の相談に乗るとな。恩を売るとこういう時、親身になって貰えるのかと生前でなかった展開に少し、感動した。ーーが、誤解を解いておかなければなと。私は、にっこり微笑み返す。……なんで、赤くなる。


「あの人、私の血族」


 あえて、生物学的父とは言わなかった。私もさすがに学ぶよ。……っていうより、お姉ちゃんに釘を刺されただけだが。生物学的な父とか絶対に言うなとお姉ちゃんが珍しく私に念を押してきたので、私もいつもより慎重に言葉を選ぶ。しかし、全部嘘をつくとどうして会いに来たのか疑問が出てくるので、仕方なく適当に濁すことにした。


「え?親戚とか何か?」


 それより、近い。


「うーんと、会社経営してるんだけど子供が(私しか)居なくて、(私が実の子だから)私に継がないかって打診に来たの。(真っ黒だから)断った」


 我ながら余計な事実を隠すことに成功した気になる。ふぃーっ息を吐く。周りも気になっているらしく、聞き耳をたてている。


「……大したことじゃないんだな」


 真剣な目で確認。ひばりん、ごめん。君をちょっとうざく感じていた事実は確かにあったが、たかだか一度の恩義に対してここまでしてくれる熱い男だったなんて。私、間違ってた。

 熱い男のウザさくらい心頭滅却でどうにかするよ!私、ひばりんを大事にする。よし、歩み寄ろう!


「ありがとう、ひばりん。私、心配されるのも嬉しいけど、怖がらないでくれた事が一番、嬉しい。あのおっさん、見た目怖いから。」

「いや、怖がられてる理由は秋月がロールスロイスなんて高級車蹴ったせいだと思うぞ」


 なんだと!?

 せっかくの本音も台無しな気分だ。ひばりんの冷静な指摘になるほど、自分の行いか。とも納得できた。そりゃ、怖いわな。


「そっかー。そりゃ、自業自得だね」


 くるっとクラスの同級生達を見れば、皆視線を逸らした。か、かなしい…。


「なあ、今日の放課後、一緒に帰らないか?なんか、目を離すと心配なんだよ。秋月って」

「今日?……んーと、お姉ちゃんとリンも一緒だし。塾もいいなら、四人で帰る?」


 何故そこで、ぐっと詰まる。あ、まさか。


「塾の日ならそっちが優先だからな」

「えー…」

「ダメダメ。色々気を使う時期なんだから。そっち優先だ。愛を友情に変えるんだ!」


 何故、そこで物凄く傷ついた顔をする。

 ヒロイン様の愛が怖いって言ってたじゃんか。どうにかしようって気が足りない。


「最近、心美の気持ちがわかってきた…」

「それは大変だ。物凄く重いよ。大事なのはおもいはおもいでも思いやりと距離感だ。愛が重たくても悟らせない心意気。さあ、ホームルームが始まる時間になるから、自分の教室に帰りたまえ」


 がっくりと肩を落とし、自分の教室に戻っていく雲雀。私は、やりきったと満足していると、突然、担任の先生が教室に入ってきた。え、まだ時間早いよ!?


「秋月さん!」


 あ、やべ。昨日のことか。なんか、ヤバかったのか!?

 つかつかとヒールなのに猛スピードで、私に近寄ってくる女教師に昨日、それで苦労した私は、若干尊敬の念を送る。


「素晴らしいわ!」


 超近距離に近寄られ、ガシッとまた肩を掴まれる。なに、流行ってんの?これ。


「そうよね。愛が重たくても悟らせない。素晴らしいわ!言って聞かせないと!!」


 満足げにひとり、うんうんと頷く担任に私も反射的にカクカクと頷き返す。

 なに、怖いんですけど。


「秋月さんのおかげで、光明が見えたわ!」


 嬉しそうに満面の笑みを浮かべる新人教諭の卯佐島先生ーー通称うさちゃんになんだがーーに嫌な予感はしたが、私は黙った。

 私に関わらなきゃ良いんだ。

 あ、雲雀にハンカチの事謝るの忘れてた。回収の目処もないからやっぱり、弁償かな?



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