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文化祭

 

 真意を問おうにもくすくす笑いながら腕からすり抜け走り去った泉さんとそれを追いかけて走った片倉さん。……捕まえられなかったと謝罪のメールがあった。するりと人ごみに消えたらしい。泉さんの『欠落者』の能力か。

 

 私は不安から校門前でお姉ちゃんにべったりと張る事にした。

 『華藤林之助』を私が心から拒否していることと、……お姉ちゃんの気持ちが奴に傾かない為の防御策だ。『秋月ルカ』はお父さんから貰えなかったものを求めて、『華藤林之助』に甘えていた。あとは、お姉ちゃんへの対抗心だ。

 お姉ちゃんの気持ちを無視はしたくないけれど、でも、リンの気持ちも尊重したい。……あれ?


 そこまで考えて何か違和感を感じた。

 私が優先している事項はお姉ちゃんだ。



 ナノニドウシタノ?



 

 


「ルカ、文化祭を見て回らなくていいの?」

「……いいの」



 入場券があれば他校生でも入れるのだ。……泉さんが奴に渡していないとは限らない。

 邪魔をしなければ。



「秋月妹、正直邪魔だからあっちに行きなさい」



 私が邪魔物扱い!



「殿ひどい!」


 実行委員会の担当は保険医の殿だった。



「看板を持って若い男が通るたびに振り上げてるお前は酷くないのか。誰だ、凶器を与えたのは」



 生徒会だよー。

 交代の時間になったら一緒に回ろうねって、校門前から追い出された。

 雅さんに連絡を入れたけど、出会ってはしまう可能性があるのか。

 ふらふらと対策を考えても何も思い付かないで校門前をじーっと人垣とか気にしないで見張ると、見覚えのある水色の髪の子供がー…っ。



「狐様!?」



 驚きで追い出された校門前に突進すると、狐様はきょとんとした表情でこちらを向いた。何故一人。


「小鳥」

「違います」



 即の否定に狐様は頷き、じーっと逸らすことを許さんとばかりに見つめてきた。



「ならば我の名もわかるな?」

「……ご、ゴン様」



 名前を言っただけでこの敗北感。

 良い名前だよー。でも、神様の名前ってもっと神々しいと思うの。しかも、狐にゴンって不吉だと思うよー。

 しかし、嬉しそうな神様にそんなこと言えない。



「うむ。気軽にゴンと呼べ」



 無 理 だ よ !

 きらきらわくわくと輝くお目めは大変可愛らしいが、あなた様の正体を知ってる私が、気軽に名前を呼べるかーー呼べないよ!



「ルカ、知り合いの子?券はあるのかな?」



 お姉ちゃんがこちらに来た。



「ある」



 ほら、と着物から券を出し誇らしげな狐……ゴン様。



「どどどうやって!?」

「雅が出来る筈だと言うので色々実験した結果だ。遵か俊平に聞け」



 雅さん!

 秘密裏か。私には内緒か。泣くぞ。



「遵も後から来る。構っても良いのだぞ」



 きらきらと期待している瞳に私は、疲れた気分になったが、実行委員会の皆様は大変秀麗な狐様に興味津々だ。



「かわいい!なに、お人形みたい!?」

「肌ももちもちーっ!」

「誰の親戚!?え、俊平……?天久って、会長!?」

「どうしよう、ショタっけなんてなかったのに…っ」



 大変カオスです。

 私は内心青ざめながら、ゴン様を撫でまわす実行委員の方々を見守る。ふ、不敬じゃないよね。




「皆、落ち着いて…えーと…お名前は?」

「ゴンだ」

「じゃあ、ゴンくん、一緒に来た人は?」

「お前、名は?」

「え?……秋月丸代だよ。ルカのお姉ちゃんなの」



 しゃがみこんで目線を合わせるお姉ちゃん。

 ゴン様がお姉ちゃんをジッと見つめ、次に私を見上げた。



「出会いは避けられぬが、我はここに丸代が居る間は留まる。良いか?」

「はい!」



 力強く頷き返すと、ゴン様はそのままお姉ちゃんと手を繋いで実行委員の皆様に構われ倒されている。……の、望んだことだから、良いんだよね?



 私は、そっと会長を探す旅に出る。




 ーー燕尾服を着たリンと遭遇した。



 とりあえず携帯で一枚写真を撮る事にする。ぱしゃり。

 リンに無言でチョップされた。



「な、何故だ!」

「逆に聞きます。なんで無言で撮った」

「ダメって言われそうだったから!」

「わかってるなら消しなさい」

「だが断る!」



 ふふん、と胸を張ってやった。



「秋月…と、もどき」



 会長が私たちの姿を確認して、こちらに歩いてきた。



「天久、いい加減、僕をもどき呼ばわりやめてください」

「部活の件でお前がコレを注意しに行こうとしたら絡んできたからだろう」

「注意の仕方ってわかります?」

「ハッ、鋼のメンタルだったぞ」

「親しくない相手にまでそうだとは知らなかったので」



 リンが頭を押さえている。……二枚目も撮っていいのだろうか。



「秋月、看板を凶器使用しているとクレームがきたぞ」

「ちょっと物理で潰そうかと思う相手が。あとき…ゴン様が校門前でお手伝いしております」



 私の報告に会長は腕を組み、そっと遠くを眺めた。



「………現実を見たくない」

「わざわざセラとアディーに血を分けてもらったのですから直視しましょう」



 私の契約天使と悪魔が勝手に献血を求められていた件について!



「何をしたんですか?」

「藤堂の発案だったのだが、二つの血を混ぜ『契約書』に一文を書き加えた。ゴン様に害意がなければ、神気にあてられないように出来る事がわかった。ただし、時間制限があるようだ。文が消えたら効力がなくなる」



 なんで、リンがそんな発想になったのかと見上げたら、リンが私に耳打ちをした。「例の転生の件は天久には?」と……まだなので、首を横に振る。リンは頷いて。



「雅が『この土地』を『天使と悪魔の楽園』と言ったので」



 それ以上の説明はしないんだね。私が会長を見上げたら、リンには説明した事がわかったらしく少し複雑そうにしている。……荒唐無稽でも信じてくれるだろうか。

 転生に関しては信じてくれそうな気がするけど、ゲームに酷似している件はどうだろう。

 そして、会長に伝えられない事実がある。……よし、雅さんに任せよう。

 それにしても『天久ルート』でゴン様が神光に通える理由はこれか。でも、そうなると実験しなければわからなかったのだから、ゴン様は知らなかったこととなる。なら『契約書』は、その時天久家になかった可能性も出てくる。盗まれたのか、何らかの理由があるのか。

 ふむ。


「まあ、今回ゴン様が来たのは桜田が念にをいれて、もう一つ実験したいと言うからだ。ーーところで保護者面」

「天久、喧嘩売ってますか?」



 天久家の双子とリンは相性が良くないようだ。



「冗談だ。藤堂、お前、校長に無理を言われたらしいな」

「……留学の代償がここまで響くとは」

「ネット社会とは恐ろしいな。入場券を持っていない奴等が無理に入ろうとしてーー」



 何か額を押さえて目を閉じている。どうした会長。



「倒れたらしい」

「ゴン様のせいでしょうか?」

「違うと思いたい……倒れた後はふらふら起き上がってどこかへ行ったらしいが」



 天匙七不思議として語られない事を祈ろう。



「高性能な防犯が出来る訳ですね!」

「うちの神を便利道具扱いするな」



 あ、やめてください。頭を押さえないでください。



「不敬なのでしませんよ」



 そうだ。リンが居るなら泉さんの件を相談……、そう思って口を開こうとした瞬間、


『ダメ』


 ……否定された。

 とことん、リンを関わらせたくないような『私』に困惑する。あの場には片倉さんが居たから秘密にできないことだと思う。なのにどうして、ダメなんだろう。



「ところで、お前関係でクレームがもう一件来ているのだが」

「まだ何もしておりませぬ!」

「いや、看板で叩こうとしたろう」



 それは反論できない。



「お前が作ったゴミ箱がゴミ箱の役割を果たしていない」

「へ?」

「……貢がれてるぞ」




 会長に言われた場所の私のゴミ箱の設置場所に行くと、何故か佐々木くんがゴミ箱に何かを置いている様子が見えた。



「……何してるの、佐々木くん」

「うわ!あ、…はは」



 気まずそうに走り去っていく佐々木くん。

 ゴミ箱なのに数々のまだ温かいたこ焼きや焼きそば、焼き鳥……開けていない缶ジュースが…。



「……」



 私は無言で自作のゴミ箱を持ち上げ、撤去することにした。

 そして、女王への貢ぎ物云々の看板を設置しないでくれ。先生!



「ゴミはゴミ箱にーっ!ポイ捨て厳禁!!」



 ゴミ箱と看板二つは意外と大荷物を抱えたまま廊下を歩くと、やはり道行く人たちの邪魔になってしまう。保健室か職員室に預かって貰うまで頑張らねば。



「ルー!」



 ぶんぶん腕を回して深託のブレザー姿のココさん達が私に駆け寄ってきた。券は?と聞いたら、セラ様と光原さんはリンからで、ココさんはマナルンかららしい。……私、すっかり忘れてた。


「月夜からも貰ったからママとおばさまにあげたの。仲直りできたの」


 嬉しそうなココさん……そっと、万葉さんの思惑を飲み込む。説明できないもどかしさ。そして、万葉さん、来るのかー。

 それにしても、ココさんがひまわりヘアピンを着けてるのが気になる。どうしたの?


「久しぶり、ルー」



 は、光原さんだ。弱々しく微笑む光原さんをジーッと見つめる。……目元が長谷部さんに似てる気がする。長谷部さんのことは言えない。

 先に光原さんのお母さんを狙う天使をどうにかしなければ、と決意を込めてセラ様を見上げたら、呆れた表情をしている。どうしたの?



「お前は何を持っているんだ」



 貸せと看板とゴミ箱を持ってくれるセラ様から、光原さんがゴミ箱を奪い取った。



「おい」

「セラは女の子なんだから、重いものは任せてよ」



 にこっと、例え弱っていても男気を見せる光原さん。セラ様、表情がひきつっていますよ。仕方ないじゃないか。絶世の美少女姿なのですから。

 ココさんがそんな二人を複雑そうに見つめた後、私にニコッと微笑む。



「ルーのクラスって何するの?」



 やだ。私の表情がひきつっちゃう!



「遵が天匙は部活で催しをするって言ってたから、……ルー、風紀委員なの?」

「はい。限定職ですが」



 腕章に気づいてくれた光原さん。



「……お片付け係と書いてあるネームプレートはなんだ」

「雅さんがわざわざ作ったのにと無表情に悲しげな声を出したので」



 私の他にも気のよわ……いい人は両方着けて歩いている。頑張れ。ものすごく。



「じゃあ、ルーは催し参加しないの」



 残念そうなココさんに申し訳なく思ったがこればかりは仕方ない。

 ゴミ箱を職員室に預けたら、待機中の先生に貢ぎ物をどうするんだ?と聞かれ、私が困っているとセラ様がなにか思案したあと、



「これとこれ以外は大丈夫だ」



 先生にこの二点は捨てろと念を押していた。……なんだろ?

 ココさん達と案内の地図を広げて見ると、ココさんが手芸部の貸衣装に異常に興味を示したので一緒にいく。



「だいたい、休日に学生服ってないと思わない?」

「遵や他の生徒会メンバーも賛成したからね……体育祭で、ちょっとオイタがあったらしいから」



 煙草の件かなー。ゴン様、ちゃんとあーたんに教えたんだ。




「天匙の文化祭に行くなら制服で行けと云う注意事項があったのだ。……他校で羽目を外さないように抑止効果を狙ったものらしい」



 セラ様の説明に頷く。ーーそれにしても、あーたん、ナイス。奴を探しやすくなった。

 しかし、貸衣装たくさんあるなー。全部作ったのかな?



「うちらが作ったのはこれで、こっちはいろんな人に貰ったり貸して貰った物だから大事にしてね」

「はーい」



 説明を求めたら、部員の人が丁寧に教えてくれた。

 ……ココさんが私が着ているセーラー服に興味を示している。貸衣装屋にはない。ならば、私は何を着るべきだろうか……。



「ルー、どう?セーラー服!」

「可愛いです!ココさん!!」



 私のセーラー服に着替えたココさん。……ココさんがミニスカになったのは身長差のせいだ。けっして足は短くな……短くないといいなー……。

 な、泣かない。ウェストを詰めたのは仕方ないと思う。ココさん、細すぎる。



「ルーの恐竜のパジャマ、可愛いよ」



 がおー!と顔を出せる恐竜のパジャマにすっぽりと身を包む。……何故このチョイス。選んだのはココさんです。



「躊躇いもなく着るからだろ」



 セラ様は紫のチャイナ服・男物だ。……似合うよ。チャイナドレスが肌の露出の多い奴ばっかだったので却下されたのは残念だけど。これも瞳の色に合わせてと、ココさんチョイスだ。光原さんは、某アイドル育成ゲームのステージ衣装らしい。

 ……似合うよ。似合いすぎて引くよ。



「じゃあ、今日一日借りるわね!」

「はい、四時までには返却お願いしまーす」



 代金券を支払い、外に出る。……私、この怪獣パジャマで一日過ごすのか。ふ、任せろ。



「がおーっ!」

「吠えるな」


 ココさんが写真を撮ろうとせがむので、通りがかりの見知った風紀委員に頼む。ーーおい、頼んだカメラの他、私の姿を携帯で撮ってどこに流した!

 光原さんまで私を撮るんじゃない!!

 看板を持って皆と歩くと途中で、ひばりんと遭遇した。



「あ、秋月…っ」



 笑いたければ笑うがよい。顔を真っ赤にして震えるんじゃない。



「~~っ!」

「あばたもえくぼか。ひばりん」



 セラ様があきれ返った表情で、ひばりんの震える背を叩いている。落ち着けって事か。



「ルーの可愛らしさを遺憾なく発揮できてると思うの」

「可愛いよね」



 ココさんと光原さんが誉め殺しだ!



「本質にもあっているみたいだからな」



 皆心に怪物を宿しているんだよ。ほら、パジャマのおめめがクリッとしていて可愛らしかろう。

 ……いいの。光原さんとココさんが楽しそうで何よりです。

 ゴミが溜まっているゴミ箱を発見したので私は、片付ける為に四人と離れた。ひばりんはいろんな部活に助っ人として入っているらしく忙しそうだ。……演劇部の兵士Aを演じるから見に来てもいいと言われた。お礼にバスケ部のお化け屋敷に誘い返したら、光原さん以外の反応が芳しくなかった。かなり出来が良いと聞いたので、批評をしたくて誘ったのだが…。



「ゴミをぽい捨て呪われろー。分別しながらのゴミ捨てに感謝しますー!」



 鼻唄混じりにお片付けをしていたら、がおーっ!と副会長のお姉様が通りかかって吠えたので、私も真似してがおーっ!と吠え返す。

 ……私は何をしているのだろう。

 正気に戻ると恥ずかしい。

 しかし、ゴミってなにげに重い。……あ、もうひとつの箱も満杯だ。


 調子に乗って作った袋三つ分を持って焼却炉に向かう。


 重い。



「おい」

「あ、会長」



 廊下でゴミ袋を引きずって歩いていたら、会長が不機嫌な表情でこちらに早足で近寄ってくる。

 あ、アイアンクローはやめてください!



「『ポイ捨て呪われろー』だとか『感謝ー』とか何の宗教だとクレームが入ったぞ!?お前だな」

「何故!?」



 断定されている。

 確かに鼻歌で歌った覚えはあるけど、浸透するのが速すぎる。

 はっ!副会長!!



「覚えはありますが、冤罪です!」

「……はあ」



 手を離してくれた。

 そのまま無言でゴミ袋を二つと看板を持ってくれる会長。



「重いですよ」

「だからだろう。行くぞ」



 ……焼却炉の前にゴミを置くとお仕事は終了だ。



「ありがとうございました」

「いや、……大荷物になったら人を呼べ」

「はい」



 こくりと頷くと会長が私の姿に呆れている。



「……桜田か?」

「友人と貸衣装の模擬店で」



 脱力しながら雅さんの名前を口にする会長に雅さんが会長の中でどんな評価なのか俄然気になる。



「今日はよく会長と遭遇しますね!」

「遭遇している訳ではなく、お前がどこに居るのかメールが頻繁に入る」



 どうして、そんな余計な真似を!



「秋月は生徒会の傘下だと思われているんだろう」



 やだ、否定できない。

 会長の後ろを歩くと、隣を歩けと言われたので隣を歩く。……ちょっと会長の足が速いので小走りぎみだ。

 外にも屋台があるので、美味しそうな匂いに立ち止まっては、会長の背中を見失いそうになり走っている。



「どこに行くんですか?」

「見回りだ」

「私、一緒に歩く意味は」

「面倒を起こさない為だ」



 看板を確保して歩く。

 小さな子供たちが私を指して、がおーっ!と吠えるので吠え返す。

 顔を隠せる衣装にすれば良かった。

 誰かが私の服の裾を引っ張っている。

 機械的に顔を下に向けると涙目なボブヘアーの少女が…。



「が、がおー?」

「ま゛ま゛ぁ」

「会長!迷子です!!」



 泣き始めた少女にハンカチを渡そうとしたがなかった……。セーラー服の中だよ!

 会長が貸してはいるけど……ハンカチを借りずに泣くばかりだ。会長が困惑している。



「か、会長、ハンカチを貸してください」

「だから、貸してるだろ」

「いえ、私にー…」

「何してんだ。俊平」



 のほほんと、棒付き飴を舐めながら現れたあーたんが、ちょっと退けとばかりに私達を退かせ、少女の視線に合わせてしゃがむ。



「ま゛ま゛あーっ!」

「はいはい。ママじゃなくて悪かったな。……ほら、泣くな泣くな」



 ポンポン背中を軽く叩くあーたん。ハンカチを取りだし涙を拭ってあげている。そう、これがしたかったんだよ!

 だんだん大泣きを止め、ポロポロとなんとか泣くのを堪えようとする少女を抱き上げるあーたん。



「ほーら、泣き止めー。泣き止んだら、そこの俺と同じ顔した兄ちゃんがご褒美に飴くれるぞー」



 あーたんの言葉にまじまじと会長を大きな瞳で見つめる少女に会長がしぶしぶ眼鏡を外すと、あーたんと会長を交互に見比べ驚きの声をあげる。



「ほんとだ!」

「だろ?よし、泣き止んだな。ほら、俊平、ご褒美」



 にこっと催促するあーたんに会長がポケットから数種類の飴を出すと、少女は必死に何を貰おうか吟味しているようだ。



「迷子は職員室だ」

「そうか。……俺は遵って言うけど、お前は?」

「のどか」

「そうか。のどかは、誰に連れてってほしい?」

「同じかおのふたりーっ」



 あ、会長が気分を害したようだけど、あーたんはへらっと笑い、そーかそーかって。



「じゃあ、行こうぜ俊平」

「お前だけで良いだろ」

「バッカだな。かわいい女とデートが出来るんだぜ。喜べって。じゃあな、選ばれなかったチ………珍獣」

「が、がお!」



 あーたんが私の頭をひとなでしてから会長とともに行ってしまった………。誰だ!今のは!?

 いや、あーたんは子供とお年寄りには優しいんだった。

 ……しかし、私にも優しいのは解せないぞ。




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