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6


 狐様の参加に分家が静まり返っている。

 戸惑っている狐様をあーたんは手を離さず何かヒソヒソと話している。



 さて、どうする。



 秋月ルカ。いまだに会長の策がわかりません!

 どうしようかな。会長の策って『どんな馬鹿かを思い出せ』だから、……あ、ダメだ。リンとセラ様とお父さんしか思い出せない。恐怖を伴った記憶が優先されるものねー。……私の恐怖ランク上位はリンとセラ様っとお父さんかー。はっ!マングース様は!?

 あ、……うんうん。

 お姉ちゃんは優しいもんね!部屋に設置されている時計を見たら夕飯の時間すぎそ………ガタガタガタ。


「小鳥、突然震えはじめてどうしたのだ」


 あーたんの姿をした狐様かな?が怪訝そうに声をかけてきた。


「ま、マングース様のお怒りを感じます」

「……小鳥は我の参加に否はないようだ」


 ぎゃふん。どこでそんな結論に!ーーと、思ったら皆様の視線が私に集中していた。

 あれ?マングース様の事を考えてたら、話の流れについていってなかったの?


「まんぐー……『お狐様』と同じような存在なのだろうか」

「彼女は『お狐様』以外の神に恩を売ったのだろう?」

「怒りを感じると言っていたぞ。まさか、我々を…」


 分家から多大な誤解が生じているらしい。訂正はしないでおこう。疑心暗鬼って桜田先輩が言ってたから、利用できそう?

 ふむー。

 会長の策もあるけど、ルール上一回限りだし、あと二回は私が頑張るのか。ふむふむ……なんかおかしくない?

 狐様ーっ、参加するなら狐様も頑張ってよーと視線を送ったら、きょとんってしてる。ブーブー。


「では、勝負を再開しましょう」


 狐様に敬意を払う政人さんに私は思わず志鶴さんに目を向けてしまう。ーー『鶴』がすべき事なんだけどね。

 ……と、思った瞬間、脳内会議から否が飛ぶ。よ


『狐様の望む『鶴』の形は違うと思うから、しないんじゃなく出来ないんじゃない?』


 む。


『あーたんの接し方が良いんでしょー?』

『お面を貰って嬉しくなってお鶴さんって人についてきちゃったんだもん』


 そうだっけ?

 たまに私が覚えてないことを知ってるというかない発想するよね。


『でも、なんであんな素直じゃないのー?』

『立場的に小難しい屁理屈並べて側に居たら拗らせたとか!』

『『契約書』通りにしないといけないからじゃない?』


 きゃっきゃうふふって、脳内会議、大変楽しそうですね。

 しかし、そう考えるとー…、勝負に関係なくない!?



『『『え、志鶴さんの事気になったでしょ?』』』



 確かに不用意に思考をー…っ、何か双子と狐様が私に呆れている。


「……忙しないようだな」


 どうもー、脳内会議と私です。


「小鳥さん、もしや『お狐様』の参加には否があるのかな?」


 政人さんが私に訊ねてきたが、会長の策と関係あるなら否は言えないし。


「いえ、むしろ、狐様が参加なさらなかった現状がおかしいのでは?」


 だって、『契約書』欲しいの狐様だもん。

 それなのにずっと座ってるとかズルいぞ。

 私もそろそろ珈琲タイム所望だ!お腹も空いてきたんだぞ!!と意思を持って手を繋いでる二人を睨んだら、片方は苦々しい表情をし、もう片方は……、なんかぎょっとした表情をして目を逸らした?……なんでー。あ、目つき悪かった?


「貴様の仕業か」


 苦々しい表情をした方がなんでか桜田先輩をねめつけた。

 先輩は、無表情だけど私に視線向けひとつ頷く。


「楽をなさっていたのは確かでしょう」

「……」

「それとも、小鳥(・・)に力でもあると勘違いなさったのでしょうか。それでは、分家と同じです。鳥は、鳥です。籠に閉じ込められれば終わりだ。貴方様のように」


 饒舌な先輩に違和感を感じる。ちらっと私に視線を送ってくるし、ふむふむ。なんでしょうか?


「………」


 私の視線に桜田先輩の無表情が少し、ひきつったものになったのは気のせいかな?


「ふふ」


 彩さんが口許を袖に隠して笑ってる。どうした。


 しかし、なにか頭がまわらないなー。邪魔されてる?と、万葉さんに視線を向けたら、必死に慌てた顔で首を横に振っている。……私以外からの視線も集まってるせいみたいだ。


『子供だもん。眠いんだよ』


 脳内会議よ。まだ、ご飯も食べてないぞ。


『あーたん、わかんないね』

『そういえば、あーたんといったら『呪い』だよね』


 なんだと!?

 私は、あーたんに『祝福』を授けたんだぞ!?


『まあまあ、ピッタリなお呪いがあるじゃない』


 お前ら!他人事だとおも………私だった!!


「小鳥さん?」

「あ、お気になさらずどうぞ」


 クルッと彩さんと一緒に後ろを向いて、呼ばれたら振り替える。……わかんないなー。

 ジーッと一人一人眺めてみる。

 左側だけ不自然に動かない。狐様かな?……うーん……。わからん。さっきだってあーたんぽいって思って選んだら、会長だったし。

 む、私ったら慎重になってるのか。




『『『お呪いはーっ!!』』』




 脳内会議ーっ!まじ怒られるぞ。

 脳内会議と遊んでいたら、彩さんは「わかりましたわ」と、早々に決まったようだ。なんだと!?

 ふふん、と私に視線を送る彩さん。……なんやねん。


「貴女はやっぱり普通の子供よ」


 もう一度なんだと!?

 やっぱり、普通の子だと!?ーーなんたる褒め言葉。戦慄いてしまう。秋月ルカ、感激で泣いちゃう!!

 これは期待に応えねば。是非、呪おう天久家!

 


「……小鳥さんはどうかね?」


 政人さんの問いにスクッと立ち上がる。ふふん。まずは右からーっ!


「だ、」

「「「だ?」」」


 ビシィッ!!と右を指しちょっと驚いた顔をする誰か。……ん?会長っぽいと感じた。あ、やっぱり、会長だ。指されて反射的に手をアイアンクロー気味にさせている。


「だ・れ・に」


 とん・とん・とん、と指を動かしていく。

 真ん中が腕を組んで未確認生物を見る目だ。私の奇行に慣れてない狐様かな?左側は、もう動かないという設定を無視して地面に手を着いて震えている。

 あれー?あーたんっぽくなかったにあーたん?

 しかし、私はそんな卑怯なことはしないぞ。ちゃんと神様の意見を聞こう。そう、天久家の神は狐様だ!


「しようかな!」


 ビシィッ!と真ん中で止まった。

 そうすると彩さんがふぅ…っと吐息を吐き、右の会長が安堵したように……ん?終わってないよ。まだ神様の意見を聞いてないよー。大事なことだから二回言おう天久家の神は狐様だからね!



きつね()さまのいうとおり!!」



 続けた私についに会長様が無言で近づこうとしてきたのを多分、狐様が肩を抑えた。

 指した先は、左。


「政人さん、決まりました!左です!!」

「………………そのようだね」


 たっぷりの沈黙の中、若干ひきつった表情の政人さん。


「では、理由ですね!」

「いや、見ていたから問題はないよ」


 軽い拒否にがっかりした。なんだ。したかったのに。心ですれば良かった。しょんぼり。と座り直す。


「彩は」

「二番目の方ですわ」


 ん?

 彩さんの言葉に私が首を傾げる。私のお呪いのおかげで皆ぼろが出てたのになんで真ん中?ーー真ん中……あ!!


「理由は」

「雅さんがヒントをくださったので……残念ながら、本当に伝えたかった相手には伝わらなかったようですが」


 うふふ、と悪女っぽい笑みを浮かべる彩さんに先輩が眉間に皺を寄せた。


「天久家という籠に閉じ込められている…中の方が『お狐様』だと解釈して宜しいのですわよね?このような策の露見なんて勝負を焦ったのかしら」


 クスクスと嘲笑う彩さんと変化を解く狐様とすまなさそうに私と双子を見る桜田先輩。端っこのあーたんも会長も悔しそうだ。

 ん?

 あれ、ボーッとしていたせいでルール変更聞いてなかったのかな?


「あの、政人さん」

「……理由なら聞かなくても」


 政人さんが引き気味だ。何故だ。しかし、訊くこと訊かないと。


「ルール変更したんですか?」

「……どういう」

「いつから、当てる相手が狐様になったんですか?私、狐様の参加しか認めてないですよ」


 皆様が絶句した。

 なに?あ、そういえば、リンに神様を優先するのは当たり前って聞いていたね。んー、仕方ないのかな。次から気を付けよう。と私がふむふむと一人納得しかかっていたら、あははっと万葉さんが一人で大笑いし始めた。


「やだわー、お腹いたい」


 ひぃーひぃー笑う悪魔様。どうした。


「もう、み、みんな真面目に企んでるのに小鳥ちゃんに台無しにされてかわいそー」


 馬鹿な。私も真面目に考えているのに。

 どうして、会長とあーたん、ボキボキと指を鳴らしているの!?しかし、私の頭の中が大変だ。

 はい!!と脳内会議が主張を始めだしている。大変うるさい。


『彩さんの策略わかったよー』

『はいはい!あれだよ。あーたんばっかり指摘してた理由!!』

『あーたんを動きづらくして会長を動かしてたの!』


 ドヤーッとばかりに脳内会議。


『指摘されたあーたんは動くのを止めて』

『会長はフォローのつもりであーたんの真似を始めたから』

『だから、あーたんっぽいって本体が釣られたのは会長になるんだねー。彩さん、恐るべし。でもほんとかどうかまだ確信はないけど、もういいよね!』


 やったね!お仕事終了ーっとハイタッチして帰っていく脳内会議。……どこに帰るんだろうか。


「小鳥ちゃん、またボーッとしてちゃだめよ」

「あ、はい」


 万葉さんに促されて頭を上げて状況を確認すると殺気が室内にさらに満ちてるようだ。


「……それで、小鳥さんはどうしたいのだね」

「はあ、お互いに不備があったと云うことでこの勝負はお互い様ということで引き分けですね」


 あ、勝負のルール不備なら私開き直るよー。



「「小鳥!!」」


 あ、あれ、あーたんと会長に非難された。あ、悪女らしくなかったからかな?

 そそっと座り直すと、真ん中の狐様が「違うぞ」って頭を抱えている。ふむ、


「それともこのままルール不備のまま、誰か私が納得する理由を語って彩さんの勝ちに持っていけるんですか?ーーこの勝負、引き分け以外どう納めればいいのですか?」


 こてん、と心底わからないと首を傾げたら室内がシィン…と静まった。ふむーっ。反論はないね。あ、彩さんが顔が真っ赤で必死に体温を下げようと手をパタパタしている。


「彩さん、アイスロン持ってきましょうか?」

「煩いわよ!?」


 上品さをかなぐり捨てている。自信満々だったのに間違えて恥ずかしかったのかな?


「えーと、天久家を籠と称して…」

「黙りなさい」


 彩さんの推理を反復したら、近くにいたせいで頬を引っ張られた。ぼ、暴力反対!……桜田先輩の姿がない。どこ行ったんだろうか。ナイスミスリードだとお礼を目でしようと思ったのに。


「どこまで図太いの」

「いにゃーっ!?」


 フーッ!と興奮気味の彩さんに今度は頬を思いっきり持ち上げられているせいで上手く喋れませんが、まさか、策略か!?


「彩、止めなさい。……小鳥さん、本当に引き分けで良いのだね?」

「ひゃい」


 ようやく解放された。まったく、暴力何も生まないぞ。なので、あーたんと会長も殺気を放つのは止めなさい。赤くなったであろう頬を撫でながら、考えを纏め口にする。


「でも、一歩引く代わりにルールをさらに足させてください」

「……」


 まだ何かあるのかとばかりに眉を潜める政人さん。何か私、行動するたびに不信感を煽ってるねー。真剣だよ。


「狐様も俊平さんも遵さんの真似がお得意ですので、お二人は真似っこしてください」

「なっ」


 彩さんの動揺した姿にえへーっと笑うと皆様がさらにどん引いてる。

 何故。仕方ない。人前に慣れてない狐様に激を飛ばして空気を変えよう。


「狐様ーっ、一人学芸会の成果を発揮する」

「黙れ」


 会長が突進してきてアイアンクローを!誰も止めてくれない。志鶴さんも政人さんまで!!


「お前は本当に馬鹿なのか!?」


 コメカミにめり込んでる!?天久家は皆怒りっぽすぎる。しかし、私は心が広い。


「任せてください!ようやく、かいちょー……に策を講じております!!」

「……メッキが剥がれてる」


 危うく会長と言いかけて、快調という言い回しに私のアドリブの鋭さに会長が半眼だ!しかし、めっきが剥がれているだと!?この悪女のふりをした三下の集中力はそろそろ限界だったということか。


「ふ、お遊びはこの辺にして、そろそろ私も本気を出すべきですね。ーーふご!?」


 無言でアイアンクローの指に力が籠もっている。どうしてだ。頑張るって言ってるのに。後、あーたんが「俺の分も残しておけ」とな!?


「俊平。小鳥の頭が潰れる」

「お気になさらず、『お狐様』」


 気にして!!



「政人、ルールを纏めろ」

「……あのままにして宜しいのでしょうか」

「……俊平も妹が出来たようで嬉しいのだろう」



 狐様が投げた!

 そーっと、私と会長から視線を外す狐様。

 おーいっ、一応年上設定で居るって忘れてない?そして、会長を義理兄にするわけにはいかん。私のお義兄様はリンだけだ。会長がお姉ちゃんの素晴らしさに気づいて惚れた場合、速やかな処理をしなければ。



「月のない、うらみち……」

もどき(藤堂)の敵になるつもりはないぞ」



 やだ。以心伝心ですか。会長。これでアイアンクローを解いてくれたら最高なのに。



 ギリギリと、会長が私コメカミをシメている最中に選ぶ相手は狐様で三人ともあーたんの真似をすることになった。あーたんがあーたんの真似って何だろう。疲れてきたのかその辺がぞんざいになってきている。

 彩さんが何か反抗したが、私には政人さんから言質を取っていることがあるので。



「彩さん、狐様を退屈にさせないんでしょ?」



 睨まれた。だって、そうでもしないと狐様は参加出来ないってわかっているもんね!それに彩さんの策に付き合う義理はないもん。



「愚かだと思えば、何故あのように政人のあげ足を取れるんだ」​

「本性が読めない」

「やはり、悪魔では?」



 ヒソヒソと、やっぱり分家の疑心暗鬼がひどい。……あれ、そういえば、狐様の力が他の神様のおかげで相殺されてるなら、もしかして、万葉さんが何かしてる?


「もうそろそろ、止めてあげたらいかが?」


 彩さんが止めに入ってくれた。遅いよ!!


「もう少し、念入りにしないと次いつふざけるか」


 真剣なのに。どうして、ふざけてる前提なのか。私には理解できません。


「……どこで、見つけてきたのかしら?」

「勝手にちょろちょろしていた」


 お姉ちゃんとリンの側をね!


「俊平さん、言っておきますが、わたくしもおじい様も本家と『お狐様』を心配しているのですよ」


 やだ。懐柔作戦か。会長がようやく手を離してくれた。そして、もの凄く嫌そうな顔で彩さんを見ている。


「この期に及んで」

「真実を知ったら、俊平さんは誰を信じていいかわからなくなるからーー、だから、わたくしが『支えて差し上げます』」


 彩さんの甘い声にゾーっと背筋が凍る。直感が邪魔しろって言ってる。駄目だ。藤咲さんのことを抜いてもこの場で家族に対して不信感を植え付けられるとか、


 ーー後悔を『この場』でさせては駄目だ。


 神様、仏様、アディーにセラ様と何故か『祝福』を祈りつつ、会長の腰にタックルをしてしまった。私と一緒に倒れこむ会長。なんか、リゴーンリゴーンって音が響く。


 あ、ゲーム時の『天使の祝福』の音だ。ただ、私に押し倒された会長は殺し屋のような目で睨んでるけどね。



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