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 牧師から聞いてわかった情報。

 『欠落者』は『この土地』が産み出す『悪魔候補』。何故、そんな事をするか。ーー不明?いや、牧師が『この土地』が淋しがってると言っていた。

 『命題』について、やっぱり不明。私も『欠落者』候補だった。……発想を変えようーー私が、じゃなく『秋月ルカ』が『手に入れたかったモノ』。………リン?『悪魔end』で望んだ形じゃなくても、手に入れていたけど?家族愛?ゲーム時でも、お姉ちゃんは一生懸命、『秋月ルカ』と仲良くしようとしていたのに?

 お父さんもお母さんも優しいのに?

 むーっ、とりあえず保留にしよう。

 天使が『感謝』が足りない。うん、……それでも、弱っていたり、罪人だったりは『この土地』は受け入れていて、元気になったら出ていけと……悪魔には、この理屈は当てはまらないらしい。

 『欠落者』の『加護』は、天使から受けれず『この土地』からに受けることになる。

 そして、『夢』については『破滅』を得意とする悪魔が扱うモノで、『if』の世界をリアルに見せつける。……私は、いつの間にか万葉さん(悪魔)に能力を扱われていたらしい。あ、解く方法教えてもらってないや。

 あれ、アディーと契約してるのに無視?他の獲物狙っていいの?

 ぼーっと考えを纏めながら、抱き寄せられた瞬間に足を痛めたかもと片倉さんに謝られお詫びに背負われ、神取のいる駐車場に歩く。ーー牧師が、最後に私の熱と痛みが一気に出たのは、色々な人外に出会ったことの他に藤咲さん親子と『お狐様』の能力を万葉さん(悪魔)が、解いたせいらしい。

 『お狐様』は私と話す予定だから肉体の痛みを緩和しててくれたんだってー。


 へー。しかし、万葉さん、私を心配するような事言ってたくせに何してくれてんだよ!!と、怒りが沸いたが、「あれ以上、歩き回ったら大変だと判断されたんでしょうねー。面白い珍獣を見つけたから元気になってから遊びたいわ。だそうです」 ……ココさんのメールの内容が恐怖に変わった瞬間だった。

 しかし、『選定』もまだ終わってないのか。

 片倉さんに『夢』の事を聞いて良いんだろうか?

 私の事、『ルカ』って言った。……『生きてた』って、なんだろ?片倉さんのルートに『秋月ルカ』が関わったモノなんてあったっけ?


「片倉さん、」

「なに?」

「『夢』について聞いても良いでしょうか」


 ……立ち止まった。ひくりって、変な吃逆上げたね。


「あ、あんまり……」

「私の事、『ルカ』って言いましたよね?」


 立ち止まって考えてる。背中越しだから、顔も見えない。

 あ、歩きだしたね。足早に歩いて、駐車場に来た。神取がニコッと手を振ってる。やっほー。

 片倉さんが私を助手席に下ろしてくれた。そして、意を決したように神取に頼んだ。


「すみません。おじさん、ちょっと、秋月さんと二人っきりにしてくれませんか?」

「ん、ああ。わかったよ」


 君なら大丈夫だろうって、神取が笑顔で太鼓判を押したら、片倉さんが固まった。ど、どうしたの?

 息を吸ってー吐いてーを繰り返す片倉さんになんだろ、懐かしい気が……そういえば、『お兄ちゃん』も、浮気現場を彼女に見られ、言い訳する時こんな仕草してたなー。そして、うまく言い訳できずに殴られてた。浮気って誤解だったのに。

 話を聞いてあげてって思ったもんさ。

 その彼女さん、怒りぽかっ……なんか思い出したら不愉快な気持ちになった。やめよう。


「ええっと…秋月さんは珈琲が好きなんだよね?」

「はい」


 これは、生前の『私』がカフェイン中毒だったせいで、生前の記憶がある以上嗜好が記憶に引っ張られているようだ。……ご飯も最初は偏食だったし。

 片倉さんがふーっと息を吐き、


「『夢』の中の話だけど、オレには付き合っている人がいて…」


 む、…………いや、『夢』だった。むかむかしても……なんで、ムカムカしてるんだろ?

 不思議。


「その…、あまりいい付き合い方じゃなくて」

「付き合い方に良い悪いってあるんですか?」


 私ったら、なんで責めるような聞き方したーっ!?自分の口を慌てて塞ぐ。おかしい。片倉さんが固まってる。も、申し訳ない。ちょっと、情緒不安定で。

 いつもだよー。うん、そうだねー。賛同!よし、黙ろう。

 私が黙って、ジーッと片倉さんを見つめたら、誤魔化すのも限界があるよねって、諦めたらしく頭を垂れた。


「……ごめん。『夢』の内容、淫夢に近いんだ」


 ーーいんむって、どーいう意味だっけ?

 私の頭が情報処理を拒否したらしい。



「秋月さん?おーい。」



 硬直した私に片倉さんが慌てて、目の前で手を叩く。はっ。ま、まさか!片倉さんはまだ中学生だよ。そんな子に18禁の内容を延々と夢で見させ続けていただと!?許さん!!

 どこの悪魔だ、説教だ!!


「軽いのだから、ライト?な感じの、えーと…事後っぽい所から、始まって」

「フニャーーーっ!!」


 止めて。片倉さんは心の清涼剤なのに!これが、天久兄……じゃなかった。あーたんだったら殴ってる!!凄い精神攻撃だ。敵(?)もやりやがるぜ。


「………聞かない?」


 正直、片倉さんも困ってるようだが、自分の奇行の理由を説明はしたいらしい。そして、どんなものか私も知りたい。


「いいえ、キカセテクダサイ」

「もの凄い涙目だよ」


 出来る限りぼかしてくださいって頼んだら、ハハッとから笑う片倉さん。


「まあ、……うん、なんて言うか。高校3年のオレに身体だけの付き合いの人が出来るんだけど」

「……」


 お口にガムテープが欲しい。しかし、片倉さんが高校3年の時って、ゲームの時期だ。


「オレはその人が好きで好きで仕方なくて、でも、『彼女』は、オレの他にも相手がいるんだ」


 『夢』の話だ。我慢しろーっ。ん、でも、これって。


「そして、最悪のパターンでフラれる。『彼女』は結婚していた兄貴を寝取って、うちを滅茶苦茶にした後に『達也のいい子ちゃんヅラがムカついたのー』って、綺麗に笑って去っていくんだ」


 ゲームで片倉さんを攻略した事がなかったけど、攻略本で流し読みした片倉さんの『悪魔ルート』シナリオに似ている。確か最終的に『主人公を殺人犯に仕立てあげる』っぽい事が書いてた気がする。……ん、やっぱり、『秋月ルカ』が、入る要素が…… 。


「そのあとにーー秋月さんによく似た子が……『ルカ』が失意の中にいるオレをずっと慰めてくれていたんだ」


 あれ、……どうしてだろ。チクチクと胸が痛む。


「そ、その『夢』はいつから…」

「え……と、リアルになったのは泉さんと話すようになってからかな?『夢』自体は、……あれ、いつからだろう?夏休み前かな?ーーそれで」

「それで?」

「『ルカ』にずっと、側に居てほしいって頼んだんだ。ーー笑って、次の日『ルカ』は死んだんだ。殺されたっていう、オレに『彼女』が殺したっていう証拠だという物を『ルカ』の友人が持ってくる。それが泉さんにまた似てて。ーー『夢』なのに馬鹿みたいに……」



 黙ってしまった。

 うん、間違いなく『悪魔ルート』だ。そして、私、自嘲気味に笑う片倉さんに傷ついてる。どうしてだろう。どうしてか、何か気づきたくないや。

 思考を変えよう。しかし、夏休み前から『夢』を見ていた?片倉さんに悪魔が接触する機会なんて……藤咲さんは常に側に居るしな。積極的に傷つけたい訳じゃないよね……悪魔ーー悪魔ねえ……。



 アディー?


 あれ、あの頃弱ってなかった?ヘラヘラ薄笑いはしてたけど。弱ってたよね?

 力の供給が『契約』している私からしか出来なくなっていた筈。

 うん、セラ様もそう言っていた。ん、供給は出来なかったけど、能力を使うことが出来ないとは言ってなかったような。あれでしょ、飢餓状態だから、点滴しか受け付けられなくなったけど、能力を使うのは別問題だよねって。……まさか、だよね。

 そして、片倉さんが感情の整理が下手になった時期もアディーが学校に通うようになってからじゃないか?


「片倉さん、『ルカ』って紅茶が好きなんですか?」

「え、うん……ごめん」


 なぜ、謝るのでしょうか。別に構いませんよ。そっくりじゃなく、私だって『秋月ルカ』だもん。さきほど悪女認定受けてきたばっかりだぜ。

 でも、『秋月ルカ』って紅茶好きだったっけ?何度もプレイしてる筈なのに覚えがないぞ。

 うーん、コンビニで貰ったジュースの種類まで覚えてないな。でも、生徒会室から紅茶を貰うようになったのは覚えている。アディーが一番符合する。


 あ、頭痛くなってきた。


 そうだ。あの子、『この土地』と同調とか魔界に帰りたがってたのに一体何してんだ。いや、まだ、アディーだと決まった訳じゃないな。ただ、牧師が手順が滅茶苦茶って言ってたから可能性は高いや。あの子、最初、能力の扱い方下手すぎだった。


「えーと、秋月さん」

「はい」

「怒ってない?」

「どうしてですか?」


 普通に疑問だ。片倉さんは、私を気にしてくれたり守ってくれてたりの理由が『夢』に出てくる『秋月ルカ』が好きだったとかでも、問題はない。ん、でもそれだと時期がおかしい?

 んん?でも、そうだよ。最初から『妹』に欲しいって言われてたんだし。うん、大丈夫。こんなかっこいい人に愛でて貰っているんだ。どうして、文句があろう。文句なんかないよ。……文句なんかないってば。むー。


「そう?」

「はい」


 そのまま、沈黙が流れ、神取が戻ってくると片倉さんが、一人で帰るって。正直有難かった。気まずかったもんね。

 私が、『るぅ』と『ふじさき』を両方抱き上げていたら、目が据わっていると神取に指摘される。……多分、アディーへの怒りだ。間違いない。


「彼氏と喧嘩したのか?」

「違うもん」

「そうかい。ルカは、リン君以外なら彼みたいな誠実なタイプが好きだろ」

「違うもん」

「リン君は、昴に似てるから。好きなんじゃないかと思ってたけどね」

「リンの話じゃない」

「そう言えば、私が親権さえ持てば、昴もルカと結婚できたのかな」


 とんでもない冗談に思わず、神取に『るぅ』か『ふじさき』を投げつけようかと思ってしまった。が、途中でその手が止まる。ん?なんか引っかかった。



「お父さんと私って、書類上どうなってるの?」

「そうだね。戸籍の父の欄は昴になっているね。私は認知していないし」

「じゃあ、法律上結婚できないよ」



 神取の動きが止まった。なんで、私を見るの?



「ええっと、ルカは昴と結婚したいとか?」

「なんで?お父さんはお父さんだよ」



 というより、その話を振ってきたの神取じゃん。何を真剣に捉えてるんだ。


「一度、書類上で親子になると無理だと聞いた様な……いや、裏道があるか調べてみるか?」

「だから、お父さんはお父さんだって」


 何故、思案するんだ。


「もう、いいから、前に寄ったことがある雑貨屋に行って。用があるから」

「…あながち女王様というあだ名も間違っていないんじゃないかい。ルカ」


 何故、神取がそのあだ名を知っているんだ。太刀川さんだな。


 しかしなー。『秋月ルカ』がもし、お父さんに対して恋愛感情を向けていたとして、それだとあの『ズルイ』って声が勘だけど『秋月ルカ』だと思うから当てはまらなくなっちゃうんだよな。なんだろ。『命題』って。そして、どうしてか『この土地』って、『悪魔』のほうに優しいような。……んー、なんか違うな。藤咲さんに………なんだろ。会いたくないや。

 とりあえず、アディーに片倉さんに何かしてないか聞いてみよう。セラ様への報告もかねて。

 あ、そう言えば元気になったらお別れなんだ。どうしよう。力を使って貰ってもう少し先延ばして貰いたいな。やだな。お別れとか。私が生きてるうちはここに居ればいいのに。むーん。

 神取も今年中に居なくなっちゃうんだ。ーーさみしい。



「そういえば、旅行は?」

「すまない。誘っておいてなんだが纏まった休みが取れそうになくてね。ルカがそんなに楽しみにしてくれたとは思わなかったよ」

「……夕飯は?」

「それまでには帰す約束なんだよ」


 なんだ。もっと早く言ってくれたら……、でも教会に行くのは今日で良かったんだよね。うん。


「ルカは、本当にわかりやすいね。お茶をするくらいの時間は残っているよ」

「うん!!ーーじゃなかった。えーっと、してあげてもいいわ」


 ふふんって胸を張ったら、誰の真似?って。ココさんだよ?


 そして、行った雑貨屋が何故か閉まっていた。


「旅行の為、しばらく、お休み?」


 あ、歌う牧師が確か体育祭で『あの方』の登場に、すごく『感謝』していた天使達が居たって。……元気になったから、外に出たの?やっぱり、店員さん、天使なのかな?


 夕飯を食べ終わって、お風呂にもお母さんの協力の元シャワーだけ浴び、私が自室に呼んだセラ様とアディーは不機嫌な顔をしていた。反省はしてるんだってば。

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