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≠LOVE〜恋愛拒否の私が、男子クラスにぶち込まれました。〜  作者: 花咲美羽


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2/4

隣の居眠りにゃーこは天使でした。

「入っていいぞ」


担任・高宮晃が言う。


「押忍!」


気合いを入れて返事をする女子高生に、担任教師は少し呆れていた。


「……まあ、いいか」


そう、心の声が漏れる先生。


教室の中に入ると、そこは美男子集団の集まりだった。


(顔面、皆強し)


そう思い、目が割れそうになる。

しかし、慌てて頬を叩く。


皆が驚いたようにこちらを見る。


「大丈夫?」


(冷静になれ。ここは美少年じゃない。

野郎クラスだ!!)


先生の隣に立つ。


山田花子は、謎キャラを自分の中に作ろうとしていた。


「あれが例の山田花子さん?」

「どう考えてもそうでしょ?」

「意外と可愛くね?」

「女はみんな可愛いだろ?」


生徒たちから美声が聞こえるが、目がやられるので一旦無視する。


(てか、おい、待てよ。

今日、入学式ちゃうんか?

なんだか私だけ転校してきたみたいになってないか?

……なってるよな?

まあ、いっか)


「皆、仲良くするように」


「はーい」


(返事して偉い!)


「じゃあ、好きな席に座れ」


「え……」


(嘘だろ!?お前が決めておけよ!!)


そう思っても言えないのが、山田花子である。


(届かない思いは心のポケットに入れておこう。

無難なやつ〜。メガネの隣でいいや)


「じゃあ、ここで」


そう決めたが――先生が言った。


「あ! ここは桃瀬の席だからダメだな!」


(おいーー!じゃあ先に言っておけよ〜!)


『もう一度選び直してね』


(はあ!?せっかく選んだのに!!

なんか乙女ゲーの最初のニュートラルルートみたいじゃねーかよ!

あのヒョロメガネ男子の気持ちにもなれよ!!

可哀想だろうが!!

てか、選択肢少なすぎだろ!

好きな席って言って三択かよ!

王子様系・無口系・俺様系って感じだな……

もういい。無難な無口そうなやつにする)


「じゃあ、あそこで」


窓際一番後ろ、無言男子の隣にした。


「了解! じゃあ、あそこに座って」


「はーい」


(無口なやつは、話さなければ好感度は上がらないだろう)


「では、教科書を開け!!」


(おいおいおい!!

なんで入学初日に勉強なんだよ!

私の教科書、もらってねーぞ!

……はっ!これは!!

机寄せからの教科書見せイベントでは!?

……最高かよ。

でもな!対象が私じゃ話は違うんだよ!!

……一応、無言男を見て考えるか)


隣を見ると、無言男は空を見ていた。


(アオハルかよ……こりゃ無理だな。

今日くらいは乗り切れるだろ)


「そうだった。山田の教科書はまだ届いてなかったな」


(なんで私だけ教科書がないんじゃあ!!

訴えるぞ!!)


「まいったな」


(まいらなくていいです、先生)


「おい、星影」


(星影!?めっちゃ二次元ちっくな苗字!!誰だ!?)


「何ですか?」


(お前かよ!!)


「お前の教科書、山田と一緒に見てやれ」


(え……先生、私そんなこと頼んでいません)


「分かったか?星影?」


返事なし。


(先生、返事がないんで多分大丈夫です。

なので私を話題にあげないで……)


目を細め、天を拝む気持ちでそう思っていると、

隣から机をくっつけ、教科書を見せてきた。


(世の女性型はここで好感度が上がるであろう。

でも!!私はそうはいかない!!)


これはもう無難に――


「あざーす(ありがとうございます)」


(どうだ。女の子の「あざーす」。

ちゃんとありがとうも言えない女なんて好きになっちゃいけないって

小学校の時習ったもんね。ね!)


そう思いながら男を見ると、後ろ姿ではあるが、

ハートマークに「きゅん」が見えた。


(やめろ!!

なんで私がきゅんとしてるんだよ!!

ちょろすぎじゃない?

色々と心配だわ。悪い大人に引っかかるなよ、まじで)


「俺、星影。星影ほしかげ そら


……


(なんやねんその紹介。

少女漫画でしか許されんやつやろ。

あとこっち見ろや。名前中二病にすんぞ)


「私は山田花子です。よろしく」


と、サイレントで自己紹介していると、

ナイスタイミングで担任が二人を注意した。


「おーい。そこ、ちゃんと聞けー」


(やばっ!リア充に見えてしまっては危ない。

冷静にいこう!)


「おねがいしゃす!」


小声で早口のように言い終えた。


「花子?」

「そうです」

「じゃあ、“なこ”」


(すげぇ。短時間で可愛いニックネーム誕生した。)


「なこ?」

「やまだはなこの“なこ”。なんか可愛いじゃん」


(なんだその笑顔!やめい!本当にやめい!!)


照れを隠し、感謝を三文字で伝えた。


「あざす」


「寝るから起こして」

「え!?」


(嘘だろ……

肩を枕にするな!!

そこは机を枕にするのが有名な眠り方だろうが……

寝顔、可愛い……)


近づいてきた先生に――


「先生!」

「なんだ?」

「help me!」

「いいじゃないか?

開始三十分でこんなにも仲良くなってるんだから」


そう言う担任教師に、机を叩きながら訴える。


「どこら辺が仲良く見えるって言うんですか!!」


「机をくっつけて、お前の肩で男が熟睡してるところとか」


「じゃあ!教科書を持って来い!」


「まあ、焦るな焦るな!」


誤魔化す高宮であった。


(ぶっ飛ばすぞ!こら!)


「あとで起こしておけよ〜!」


(お前が注意しろや!!

てかこれ、結構肩重い。

きつい。しんどい。

でもめっちゃいい匂いがする。

いい男って感じ。

アイドルみたいな匂い。

……アイドル嗅いだことないけど)


――数分後。


「昼になりましたけども〜、もしも〜し」

「うん〜」

「食べさせて」

「するか!」


そこからというと、ずっとついてくるようになったとさ。

めでたしめでたし。


「めでたくねーわ。

おい、ここは禁制の女便所だ。入ってくんな!」


教室の外では、こちらを見てイケメンを拝む女子たち。


(私もあなた方と授業やカフェでお茶を……

抽選に当たらなければ普通の生活ができたというのに……)


悲しみに溺れる花子の隣では、美少年が寝ていた。


(……いや、待てよ。

こんな時って

『あんただけずるいのよ!!ブスのくせに!!』

『花組のみんなを独り占めなんて許されないんだからね!!』

とか言われるやつじゃ……?)


女子たちを見ると、目が合った瞬間――

なぜか拝まれていた。


「見て見て!!あそこ尊いわよ!!」

「本当ですわ!!」


(え?なんでそうなるの……女子わからん)


星影が起きそうだったので声をかける。


「あの……起きていただけたら、とてもとても幸いなのですが……」

「……ん?……無理」

「無理……」


(なんで?)


「いい匂い」


(今、いい匂いって言った?

私?聞き間違い?)


――数分後。

星影はなぜか花子の後をついてくるようになった。


移動教室はまだしも、職員室まで。


「星影さん!そこ女子トイレ!!」

「待って。俺も行く」

「来んなぁぁ!!」


花子の顔は鬼瓦だった。


「顔面が良くてもここは立ち入り禁止じゃあああ!!!!」


廊下に響く声。静まり返る空気。


用を済ませて出ると、猫のように待っていた。


(私はこの猫の飼い主ですか?)


「星影くん」

「何?」

「猫に似てるって言われたことない?」

「ないけど」

「へ〜」


そう言いながら髪を撫でてしまい、

我に返って手を引くと、逆に掴まれた。


「やめちゃうの?」

「授業始まるから帰るよ」


教室に戻り、昼ごはんも無事に終える。


すると――


「なこ」

「……え?」


突然、隣から名前を呼ばれた。


「その顔も可愛いね」


「……っ!!」


(やめろ!真顔で言うな!!)


「あっそ!」


誤魔化すように言う。


「俺のことも特別な名前で呼んで」


「え……」


(今決めるの!?)


「じゃあ……にゃーこ、とか?」

「……にゃーこ?」


首を傾げる。


「嫌なら今まで通り星影くんで」

「いいよ。にゃーこ。気に入った」


顔がいい。

辛い。


夕焼けの中で、

星影――いや、“にゃーこ”の目が、少しだけ笑った気がした。


(やば……

ちょっと、キュンとかいらんのよ!!)


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