山田花子はキラキラランデブーがお好みじゃない
「はい、君はここに行ってね」
上級生に案内をされ、笑顔で返事をする。
「はい」
女は、ある教室のドアの前で待たされている。
(私は至って冷静だ。こんなところに配属されたからと言っても、私は当然冷静でなのである。
そうここ(教室)が私以外男だらけだとしても!!私は揉めたりしない。そう冷静だからだ!!)
数分前のこと…女は事務室の窓を叩く。
「はい、どうしましたか?あ!新入生の方ですね!」
と言いながら事務員は窓を開け、新入生である女に挨拶をする。
「ご入学おめでとうございます!
教室に行きたいんですか?分かりずらいですよね?
今地図をもって」
「あの!」
「はい?何か?」
「何かじゃあありませんよ!なんなんですか!
これは!!」
怒りがこもった声の女はクラス表の画面を見せた。
不思議そうに事務員はクラス表を見た。
「ん〜?どれどれ〜」
表を見た事務員は表情が明るくなり話し出した。
「あっ!おめでとうございます!」
「ありがとうございます…じゃなくて!これだと私!どう見ても!!男子クラスに名前入っちゃってますけども、ど〜〜〜考えてもおかしいですよね!?」
「いえいえ、そんなことはないですよ(笑)」
「あ?(怒)」
「これは今年からできた”ときめきハッピーエンジョイJKライフ〜!!クラス”です!!」
「はあ??ダサっ」
「ダサ?」
「誰がそんなクラス!入りたいわけがないでしょうが!なんせ!ここは頭のいいエリート高校なんですからっ!」
「チチチ、お客さん」
「お客さん?」
「今の女子高生はふっつーの恋なんてもう飽きちゃってんのよ!お嬢様になりたいゆうてんねん!」
「本当か?」
※事務員個人の解釈で話しています。
「こちらの壁に注目!」
「ああ、はいはい」
事務員に壁に注目と言われ、壁を見る。
「今の時代は」
BGM “ドドン”とし、スライドが出ており、表示された文字が現れた。
「逆ハーレム時代というわけなのですよ!」
馬鹿でかい声量で女に宣言してきた。
「逆ハーレム?」
「そう!女子の9割はイケメンが好きです!」
「ブサイク好きもいると思うけど?」
「現女子高生の夢は、”私!一度はクラスみんなに告白されたーい!””イケメンに囲まれて授業受けたーい!”なんですよ!」
「それ、あなたの感想ですよね?
全校生徒そう願ってい」
「と言われても」
(さ、遮られた…)
「皆様の願いを叶えることは非常に難しい!と言うことで1人だけにチャンス与える抽選会を開催し見事あなたが当たったと言うことになります〜おめでとうございます〜!フ〜!」
(はあ?抽選で当たった?私が?)
理解をしたくても盛り上がっている事務員がうるさく集中できない。
「うるさい!
なんでボリュームデカくなったんだよ!」
「すみません」
女に言われ冷静さを取り戻す事務員。
その事務員に自分を怒りを表すように言う。
「私は、こっちは恋なんかしに来てないんですよ!
真剣に学びに来てんだよ!
お願いですから、私を別クラスにしてください!」
「それは受理できません」
「はあ!?なんで!?(怒)」
「それはもう、決まってしまったことですので」
笑顔で言われ、イライラがおさまらない女。
しかし、イライラを表に出さないと心に留め話す。
「で、でも今日初日だし数日すればそんなこともあったっけ?へ?みたいになるから大丈夫だよ!ね?」
「ん〜そうなんと言われても無理ですね〜」
「なんでだよ!」
「それは!こちらをご覧ください!」
スマホを渡された。
「何これ?」
事務員が流した動画を2人で見る。
「皆様、ご入学、誠におめでとうございます!!
校長の南で〜す!!イエイ!!」
馬鹿っぽい年寄りのジジ様登場で主人公の女はドン引きしていた。
「え?これが校長?」
「はい、校長の南寿造です」
「へー」
「本校は今年で100周年!!こっちもおめでたです!!みんなでパチパチ〜!!と言うことで、みんなが気になっているあれを発表します!!
100周年を記念し、みんなの夢を実現しました〜!!流石にみんなとはならなかったのですが、要望の多かったものを実現しました〜!!
題して、”ときめきハッピーエンジョイJKライフ〜!!クラス”で〜す!!通称もいろいろと話し合いをし花の男子がいるということで花組にしました〜!!
イエイ〜〜〜!!!」
動画の中でアホみたいに盛り上がる校長を見て、全身で冷める女。
「何度聞いても変だな…ハッピーエンジョイJKライフ」
「ときめきをお忘れですよ!」
自分がこんな気持ちなのに変わらず明るい事務員に腹が立つ女。
「ウザっ……」
心の声が少しずつ漏れてきていた。
「その花組に決まったのは!……
山田花子さんで〜〜す!!」
中学校の卒アルの自分の顔と名前が紹介された。
勝手に個人情報を流出させられた。
(あ……終わった。)
思わず頭を抱えた。
「あの……」
「はい」
「個人情報の侵害で学校を訴えてもいいですか?」
「それは、無理ですね?」
「どうしてですか?」
「受験の時に見なかったのですか?ここ」
書類を出してきた。
「特別クラスになった場合個人情報を一部流す可能性があります。ご了承よろしくお願い致します…」
「ねぇ?書いてあったでしょ?」
(そーですねー。書いてありますねー。)
事務員は明るく丁寧に説明してくれたが、今の彼女にはそれがただ苛立たしく感じられるだけだった。
「小さくて読んでないわ!!!!!」
紙をくしゃくしゃしてぶん投げた。
「これ要望が多かったんでしょ!じゃあ、私じゃなくても!」
「しかし、今ご覧いただいた通り、すでに全国に動画が出回っておりますので、今さら削除は難しいかと」
「それでも普通がいい!!端の端っこ!本当超絶片隅でいいから!!
お願いしやす!!マジでお願いしゃす!!!!!」
女の心にはまだ希望は消えていなかった。
「無理ですね」
女の希望は、即答であっさり打ち砕かれた。
「……え?」
くしゃくしゃにした紙を広げもう一度見せてきた。
読み上げると……
「また特別クラスになった場合、いかなる理由であっても他のクラスに変更はできません…クソが!!」
また紙をくしゃくしゃにして投げた。
「分かっていただけたようでよかったです」
事務員が笑顔でそう言った。
(うん)
「おいおいおい!こっちは人生かかってんだぞ!
こら!こっちはな、他の女とは違ってな、男だらけの学校に通うために来たんじゃあねーんだぞ!!
勉強しにきてんだよ!!女がみんな恋愛したいと思ったら大間違いなんだぞ!!分かってんのか!!
こら!!聞いてんのか?おい!こら!」
※ちゃんと揉めました。
WIN 事務員
今更ながら、事務員と揉めていた女。山田花子15歳。
恋愛拒否人間 歴15年。
どうしてそんな女がここ桜ノ宮高校に入ってしまったのか話していこう。
それは半年前の進路相談の時のこと。
「あなたにいい学校持ってきたわよ〜」
私の中学3年間担任を務めた北野彩子。
先月27歳になった女である。
先月の誕生日で彼氏からプロポーズはなかったそうだ。この女は、どこかの有名な情熱ある先生とは反対で毎日ヘラヘラしている適当女であった。
理解していたはずなのに、私はあの話を聞いて食いついてしまったのだった。
「馬鹿なことを言わないでくださいな。先生。
私は、この東大進学率80%の青葉女子高等学校に入るために何時間勉強に費やした思っているんですか。
死ぬ気で中学校受験をしたというのに高校受験なんかしませんよ」
「あなた奨学金借りているんでしょ」
ぎくっとしたが、苦笑いを浮かべ返事をした。
「それが?何か?」
「学年トップは奨学金免除」
「なんですと!!!!」
先生が持ってきたポスターに食い付けになった。本当に高校のポスターに書かれていた文字それは…
「東大入学率100%だと!!」
「あなたなら目を引くと思ったのよ。だってあなた恋愛したくないから勉強しますっていうくせに学年上位にはなりたくないとか言っているじゃない」
「だってそれは」
(目立って目をつけられは困るからな)
「ガリ勉しかいない恋愛ゼロの学校なんてあなたにぴったりの学校じゃない!!」
そう、先生は笑顔で言った。
「はい!!行きます!!」
そして、流れに沿うように普通に受験をし合格した。
事務室から出た花子は職員室に向かった。
「騙しやがってあのババア!!一生恨んでやる!!」
怒りに燃えながら職員室に向かっている途中、教室から生徒が見えた。
(イチャイチャカップル。それはいるか。
女子校なら何も考えず勉強に専念できるのにな〜。
メガネ付けている人おらず、キラキラいけ男女。
私がメガネをかけて〜。)
職員室に到着。
「遅かったな。俺が担任の高宮晃だ」
(クールニコチンガーイ。
需要、特定層にめちゃありそう。)
「おっす」
「なんでこちらを見ない」
イライラが募り、目を合わせる気になれなかった。
「見たら、喧嘩を売りそうで」
「喧嘩? なんのことだ?」
彼には分からないであろう。
これは花子だけの事情だ。
そっぽを見ながら、先生に話す。
「こちらのことなので気にしないで下さい」
「そうか。じゃあ行くぞ」
「はい」
職員室を出て、パッピーロード(他のクラスがある場所)を通りデットロードを通ると到着。
花クラス?違う野獣クラスだろ……
私は恋愛拒否人間15年。
東大進学100%の学園だって言うから来たのに。
なのに──ここは「恋愛義務教育」かよ。
主人公である山田花子の目は完全に死んでいた。
「人生、詰んだ……」




