俺から見た桜(海斗side)
海斗目線のお話で独白です。会話らしい会話はしていません。
桜との一番古い記憶は桜が転んで怪我して泣いた時の記憶。俺達は公園で滑り台やブランコとかで遊んでいたけど突然何を思ったのか桜が走り出して盛大に転んでいた。
「うえ~んー!!いたいよーー!」
「だいじょうぶか!?さくら!いま、おじさんとおばさんをよぶからな!」
そういって俺は桜の両親を呼びに行こうとしたのだけれども最初から見ていたのか二人とも桜に駆け寄って桜の事を慰めたり手当てをしていた。
手当てが終わったかと思えば桜の母親が俺のところに近づいてきて気づいたら頬を叩かれていた。
「何できちんと桜を見ていなかったの!?海斗君の方が桜より数ヶ月お兄さんなのよ!きちんと桜の面倒をみなさい!」
その後も何か騒いでいたけれど詳しいことは覚えていない。
それから桜は俺に対して色々な事を言ってくるようになった。
「そっちのケーキの方がおいしそうだからそっちちょうだい!」
「この荷物重いから持ってて。落とさないでよ。」
俺はそんな桜に何度も文句を言った。当然だ、当時の俺は小学生と言えどもきちんと物事の良し悪しがわかっていたつもりだったから。でも、俺が文句を言う度に桜の奴は必ずあの言葉を言った。
「言うこと聞かないとお母さんとお父さんに海斗にいじめられたって言うから。」
そのやり取りが何回も続き、気づけば俺は桜の言いなりになっていた。俺の親父もお袋も桜の味方だった。何でも親父の家系は女性が産まれにくい家系らしくそんな中産まれてきた桜はまさにお姫様らしい。お袋はお袋で、桜の母親と幼馴染みでずっと仲が良かったみたいだから余計に桜の事が可愛かったらしい。俺は桜の事が嫌いになった。だけどそんなことがバレれば何か言われるに違いない。俺は必死に自分の気持ちに蓋をして桜の言うことを聞いて桜の事が大切だと自分に思い込ませながら優しい従兄として接していたらそれが当たり前の事になり俺は俺を見失っていた。
中学生になったある日、親父が一日行方不明になった事があった。何処に行っていたのかと尋ねるとパラレルワールドに行ってたらしい。
そんな世界が存在するわけがない、親父の奴、何処かで頭を打ったんじゃねぇか?それから親父は今まで通り桜を甘やかしつつもパラレルワールドの桜の話を俺によくするようになった。
「パラレルワールドで会った桜ちゃんは今にも壊れそうな程に悲しい女の子だった。もしお前がパラレルワールドに行ったり、彼方の桜ちゃんが来ることがあったらとびきり優しくして甘やかすんだよ。」
俺は俺の家族や親戚全員がぶっ飛んでると思った。皆して桜、桜って。女に産まれたからってなんだよ!俺の事もみてくれ!俺の心の蓋にヒビが入ったような音がした。
大学になると同時に桜と同居することが決まった。俺は嫌だったが、そんなこと言えば子供の時と同じことになると思って喜んだふりをして喜んで桜の面倒を見る従兄を演じていた。
そしてある日、俺の気持ちを変える日が来たんだ。
「あ~…やっとツアー公演終わったぁ…早く帰らねぇと文句言われるな。優しい従兄を演じねぇと」
そう言いながら仕事から家に帰り笑顔という仮面を被って桜と話し、いつも通りご機嫌取りとして喜ばせようと桜の部屋に入ったけど桜の様子が可笑しかった。
こいつは誰だ…?桜の奴演技しているのか…?嫌
だが、いつも親戚の前でしているようなそんな演技しているようには見えない。どうやら本気で戸惑って俺の事を怖がっているみたいだ。桜(仮)を落ち着かせて話を聞いてみるとどうやら今目の前にいる桜は昔から親父が言っていたパラレルワールドの桜らしい。
世界を跨ぐだけでこんなにも性格が違うのか。目の前にいる桜はびくびくしていて俺を怒らせないように言葉を選びながらも作り笑いをしているようだった。
昔、親父が言ってた意味が良くわかった気がした。目の前の桜は少し衝撃を与えるだけで壊れそうな人間だった。俺が手を握りしめると余計に怖がって手の震えが酷くなっていた。それから桜は鏡で自分の姿を確認しぶつぶつ言ってるのを見ていると昔、親父が言っていたパラレルワールドという言葉が浮かんだ。案の定この桜はパラレルワールドの桜だった。
俺の知ってる桜とは違う、優しくて、笑顔という名の仮面を被りながら話して俺の顔色を伺う目の前の桜の事がいつの間にか好きになったみたいだ。不思議だよな。姿や声は俺が嫌いな従妹と同じなのに性格が少し違うだけで好きになるとか。
俺はこの桜を元の世界には帰さない。俺をこんな気持ちにさせた責任をとって貰うぜ桜。
最初の海斗sideの海斗の声は優しい従兄を演じている海斗の台詞でした。
最初の方の海斗との矛盾があまりないように書いたつもりですが、あまりにも杜撰だと感じられたら申し訳ございません。




