30 将来、三人で暮らそう!
[ 本郷 尚樹・尚の場合]
「尚君、時間、大丈夫?もう少し、いられる?」
ナミちゃんが.そう聞いてきた。
「ああ、そのつもりだよ。
できたら泊まりたいくらいだよ」
「ハハハッ!それは家族じゃないと無理みたいね」
「僕達だって家族みたいなもんでしょ!
ヨッシーファミリーだよ!」
「そうだね!私、想ってるんだけど、
将来三人で一緒に暮らさない?」
「いいね!いいよ。それ!
ヨッシーも絶対、賛成するよ。
起きたら話そうよ!」
「そだねー!ヨッシー!
いつか一緒に暮らそうねー…」
ナミちゃんが枕元に寄り添って話しかけた。
「フフッ。よく寝てるよ。
うん?ちょっと待って!」
ナミちゃんが不審顔で
ヨッシーの鼻先に自分の頬を寄せた。
そして叫んだ。
「尚君!息してないよっ!」
「えっ!嘘だろっ!」
「嘘なんか言わないよっ!」
ナミちゃんは、もう泣きだしている。
そして両手の平でヨッシーの頬に触れた。
「あっ!冷たい!
頬っぺた、こんなに冷たくなってる。
ヨッシー!ヨッシー!やだよ!嘘でしょ!
そんなのないよ!ヨッシーーッ!」
「先生呼んでくる!動かしちゃだめだっ!」
ナースセンターに向かった。
脚から血の気が引いていくように感覚がうすれていく。
「ヨッシーが死ぬなんて、ありえない。
そんな事、あり得ない…」
ナースセンターから医師を呼んでもらった。
僕は急いで病室に戻った。
ナミちゃんは、ヨッシーにしがみついて
泣きながら話しかけている。
「ヨッシー!ヨッシー!
一緒に暮らすんだよ。私達。
尚君と三人で!
だから死んだらだめだよ!
死なないで!お願い!ヨッシー!
ヨッシーー!」
応えは、無かった。
ただ、一瞬微笑んだ気がしたが気のせいだろう。
医師と看護師がやってきた。
僕はナミちゃんをヨッシーから引き剥がした。
本当にそれほどの力で抱きついていた。
ナミちゃんは振り向きざま
僕に抱きついて号泣した。
僕も泣いていた。
医師がペンシル型ライトでヨッシーの瞳孔検査をした。
その後、脈を測り。僕達に告げた。
「○時○分、ご臨終です。」
医師は、病室から出て行った。
看護師が死亡処置を始めた。
僕達はこの事実を受け止められず呆然としていた。
ほんの数分前まで生きていたのだ。
会話をしたのだ。冗談を言い合ったのだ。
それが、何故?何故なんだ?
彼女が何故、死ななくては、ならなかったんだ。
何も悪い事などしていないのに…
みんなの心配ばかりして、お節介をやいて…
あんな、お人好し…あんなイイ娘が…
何故、死ななくては、ならなかったのか?
わからない。わからない。
病院から両親に連絡がいき、直ぐに駆けつけて来た。僕達は、お悔やみを言い、病院をあとにした。
二人共、家に帰る気がしなかった。
一人になるのが怖かった。
バラバラになりたくなかった。
それで馴染みのラブホに泊まる事にした。
抱き合って寝た。
でも中々眠りにつけなかった。
ナミちゃんは、泣きながら…
ずっとヨッシーの名前を呼んでいた。
続く




