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13 尚樹!君を100%みとめるよ!

 尚樹は、どんな気持ちで女の子の姿で突然、私達の前に現れたのか。プライベートで事前に披露しても良かったのに、こんな公共の場で全てをさらけ出して私達に何を訴えたかったのだろう?

 尚樹の心中を思うと居た堪れなかった。

尚樹はミニワンピースの裾を掴んで膝に着く程、身体をかがめている。

 全てを覆い隠そうとしているのだろう。そして泣いている。

 私は尚樹の手を両手で握った。冷たく血の気が失せている。人は感情だけで体温さへ変わってしまうのか!


「尚樹...その姿が、君の本来の姿なのか?」


尚樹は、黙ったまま、うなずいた。


「本当の姿で、私達と接したかったのか?」


「うっうううう!」


尚樹は嗚咽を上げて泣きだした。ナミも一緒に泣いている。彼女の顔も涙でグショグショだ。


「何も心配する事は、ないよ。私達は100パーセント受け入れるよ。なぁ、ナミ。」


ナミが大きくうなづいた。瞳が潤んで言葉に詰まっている。


「何も、わだかまりなんかないよ。だって私なんてレズだよ。自慢する訳じゃ無いけど、菜美子なんかねぇ...」


「ああ〜!まだダメー!それは、いつか、私が話す!だから今はやめて!」


 ナミが大袈裟なくらい両手を振った


「わかった!わかったよ!ナミ。なあ、尚樹。どっちでもいいよ。君が男だろうが女だろうがどんな格好してても、尚樹は尚樹のままだ。

 

 それ以上でもそれ以下でもない。


 問題はここだよ。ここ!ハート。

ハートで繋がってないと何も始まらないよ。

 話さなくてもいいんだよ。君の瞳を見て私は決める。

そして君を選んだんだ。そうして、ここにいる。 

君とナミだけだよ。一緒にいるの。

 他の誰でもない。尚樹とナミだけだ。」


気がついたら私の頬もビッショリ濡れていた。


涙が勝手に流れていた。


尚樹も顔を上げて私の瞳をじっと見つめ泣いている。


ナミは相変わらずグショグショで涙か鼻水か、わからなくなっていた。



          続く

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