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4.ルナスタシア

バーンの旅は、予期せぬ出会いと戦いに満ちていた。幼馴染のトワイライト、その忠実な騎士リヒティア、そして謎多きハーフエルフのエルフィナ。一行はルナスタシアの治める城へと向かう。そこで待ち受けるのは、いったい……

 バーンの提案によりルナスタシアの治める出城に向かうトワイライトたち。遠くから争うような音が聞こえてきた。近づくと柄の悪い男が吠えていた。

「お前らの城主もエヴァンス王家の血族なんだろ?さっさと差し出せば、お前らは見逃してやってもいいんだぜ?」

「おいおい、聞き捨てならねぇなぁ。」

 状況も見極めずにバーンは柄の悪い男に声を掛けた。

「なんだぁ手前ぇらは?」

 柄の悪い男がバーンを睨み返してきた。

「俺たちよりも、お前らだ。エヴァンス王家を目の敵にするって事は反乱軍って認識でいいんだよな?」

 バーンにそう言われた男は薄笑いを浮かべていた。

「反乱軍?俺たちは革命軍なんだよ!……なんだ、見たことあると思ったら後ろにいるのはトワイライト姫……いや、指名手配のトワイライトじゃねぇか?こいつは、いいとこで会ったな。こっちに来て…うわっ!」

 トワイライトに近づこうとした男をリヒティアが制する前にバーンが弾き飛ばしていた。

「リティ、エル、トワを頼む!」

 そう言ってバーンは男たちと対峙したのだが、それを聞いたトワイライトは顕かに不機嫌そうだった。

「……トワイライト様?」

「……リティ?エル?お二人とも、いつの間にバーンにそんな呼び方をされる仲に?」

 そんな様子のトワイライトを見て、エルフィナがクスッと笑って口を開いた。

「トワイライト様、今は戦闘中。バーンさんはリヒティアさんの名前も私の名前も略されただけです。そう妬かずとも大丈夫ですよ。」

「そそそ、そうです!リティなんて今、初めて呼ばれましたから!」

 冷静に答えたエルフィナに対してリヒティアは動揺していた。

「そ、そうですね。えぇ、妬いてなんていませんから!」

 一方のトワイライトも動揺していた。こんな会話をしている余裕があるのも、全てはバーンが男たちを圧倒していたからに他ならない。

「今、貴様バーンとか呼ばれてたな?貴様が転移者を消しちまう怪しげな技を使う男か?」

 男たちはバーンを取り囲むように身構えていた。

「確かに俺がバーンだ。転移者は消してるんじゃなくて送り返してるだけだけどな。」

 それを聞いた柄の悪い男たちは急に余裕を見せてきた。

「なら怖れる事ぁねぇ!俺たちは転移者じゃないからなっ!貴様の首を獲れば出世も間違いねぇぜっ!」

 反乱軍を仕切っているのが転移者であれば、その天敵であるバーンを倒せば出世出来ると云うのは理解出来なくもない。ただ、それはバーンを倒せればの話である。男たちが一斉にバーンに斬り掛かった。

「バーンッ!」

 思わず飛び出そうとしたリヒティアをエルフィナが留めた。

「貴女はトワイライト様に仕える身でしょう?私情で持ち場を離れるものではありません。」

「しかし……」

 騎士団長としてはエルフィナの言っている事が正しいと頭では理解していても心配するなというのも無理な話であった。そんなリヒティアにトワイライトが優しく声を掛けた。

「心配しなくても大丈夫ですよ。バーンは強いですから。」

 するとエルフィナも後を続けた。

「貴女が来るまで、バーンはほぼ1人であの黒き竜の相手をしていたのですよ。この程度の相手に後れを取る事はないでしょう。」

 実際、2人の言う通りバーンは剣を抜く事なく、男達を叩き伏せていた。おそらく抜剣していれば斬り伏せていたであろう。男達はバーンが助けたルナスタシアの家臣によって捕らえられた。

「トワイライト様、御家来のお陰で助かりました。」

「バーンは家来ではなくて、幼馴染です!それよりもルナスタシア様にはお会い出来ますか?」

 バーンを家来と呼ばれてトワイライトは速攻で否定した。状況的に見れば家来と間違われても無理はなかったのだが、トワイライトは少し不機嫌そうだった。

「こ、これは失礼いたしました。御案内いたします。」

 バーンたちはルナスタシアの居城へと案内された。

「バーン!」

 バーンの顔を見るなりルナスタシアは玉座から立ち上がった。

「よぉルナ、元気そうだな。」

「貴様、如何にトワイライト様の幼馴染といえどルナスタシア様を……」

 気軽に手を振ったバーンに対してルナスタシアの家臣が食って掛かった。、

「よいっ!バーンは妾にとっても幼馴染だ。」

「はっ……」

 ルナスタシアの家臣が引き下がった後にトワイライトが不満そうに口を開いた。

「ルナスタシア様、私よりも先にバーンですか?」

「あ、あぁトワイライト様……お久しゅうございます。」

 2人の様子を見ていたエルフィナがクスリと笑って視線をリヒティアに向けた。

「な、何故私を見るっ!?」

 エルフィナの視線に気づいたリヒティアが顔を赤くしていた。

「……確か、エヴァンス王国騎士団長のリヒティアでしたね。それと……そちらの方は妖精族エルフ !?」

「お見苦しい所をお見せしも、申し訳ございません。」

 リヒティアは慌てて頭を下げたがエルフィナは平然としていた。

「お初に御目に掛かります。私はエルフィナ・シルヴァ。この世界の人間と召喚された妖精の間に生まれたハーフエルフにございます。故にこの世界の方と召喚者の争いを放ってもおけずトワイライト様御一行と行動を共にさせていただいております。」

 エルフィナは優雅に一礼をした。

ルナスタシアとの再会は、トワイライトにとって喜びと同時に、複雑な感情をもたらした。一方、リヒティアとエルフィナもまた、それぞれの胸に秘めた想いを抱えながら、新たな局面へと進んでいく。

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