プロローグ
突然だが俺は一人で学食に来ている。小遣いに余裕ができたから、今日は奮発してラーメンを頼もうと思う。
何で一人で来たのかと言うと、別に友達がいないわけじゃない。いつも一緒に食べている周を連れてくるとラーメンを奪われかねない。折角のラーメンだ。誰にもやってなるものか!
学食のおばちゃんに挨拶すると何も言わずにいつものライスMと味噌汁を準備している。
「おばちゃん、今日はラーメンを」
「もっと早く言いなさい。もう準備しちゃったじゃないの!」
挨拶だけで準備するおばちゃんに、文句の一つでも言ってやろうと思ったが、必死に心の中にとどめる。。
「はいよ、ラーメン」
おばちゃんは面倒臭そうに渡してくる。今、指をわざと入れたよね?
おばちゃんの妨害を乗り越えて空いている席に座った。この時間は混んでいるので、席に座るのにも一苦労だ。
「なんですの、ここのメニューは。私にこんなにも簡素なものを出すだなんて」
後ろで文句を言っている奴を振り返って見てみる。そこには漆黒でつやのある髪の長い女子が二人の女子を連れて座っていた。二人のショートカットの女子たちは鏡を見ているかのように同じ顔をしていた。
周りの子たちも十分可愛いが、中でも長い髪の女子は格別だ。その娘を見惚れているであろう男子の中には、彼女連れの奴までいる。まあ、顔だけならかなりいいとは思うが、性格があれじゃあね。
「ん、んぐ。どうして、こんなものを食べられましょう。平気で食べている皆さんが信じられませんわ!」
そんなこと言ったらおばちゃんの逆鱗に触れちまうぜ。ほら、3、2、1……。え、何もない? おばちゃんを見てみるとこっちを睨みながら拳を壁にぶつけている。
「やべ、せっかくのラーメンが伸びちまう」
こんな奴のことを気にしたせいで、久しぶりのラーメンをまずくしたくない。さっそく、いただき……。
ぽちゃん。
ラーメンの中に何かが落ちた……、これは消しゴム?
どこからどう見ても有名な某消しゴムだ。なんで?
消しゴムが飛んできた方を見ると、さっきのお嬢様気取りの女がいる。
「何してくれんだよ、三か月ぶりのラーメンだったんだぞ!」
消しゴムには大量の消しカスが付着していたらしく、水面に広がっている。これじゃあ、もう食えない。
「私は知りません。それに、私は食べ物の中に消しゴムなど入れません」
「消しゴムが飛んできた方向にはお前たちしかいなかったんだ。そんな嘘には騙されない。弁償しろ!」
いくら文句を言っても、女は知らないの一点張りだった。
俺たちが騒いでいるので、周りの奴らの注目を集めている。見せもんじゃねえぞ、コラ!
「生憎、お金は持ち歩いてませんわ」
「じゃあ、お前が食ったのをどうやって払ったんだよ!」
この学食はカフェテリア形式であり、お金は食べ物を受け取ったあと、食べる前に払う。だから、無銭飲食は出来ないしかし、こいつはお金を持ってないという。
俺は頭が痛くなってきた。
「知りませんわ! 気分を害されました。ミキさん、マキさん行きますわよ」
その女は取り巻きの二人を連れて行ってしまった。
そこに残された、俺と消しゴム入りラーメン。
「気分を害されたのはどっちだ!」
この作品は以前に短編として書いたものです。
面白いと感じていただけるかわかりませんが読んで感想を書いていただけると幸いです。




