第96話 報酬
あの撮影から一週間ほど過ぎた頃、ボクの自宅に一つの荷物が届いた。
「何か通販で注文したっけ?」
届いたのはなかなかのサイズの段ボール。しかも地味に重い。
「えっと送り主は...京子さん!」
内容物は衣服と書かれているけど...どういう事なの?
「と、とりあえず開けてみようかな」
段ボールを開封すると一通の手紙とたくさんの服が入っていた。
服を見る前に手紙に目を通してみると驚きの内容が書かれていた。
◇◇◇
ゆうき君、先日は助かったわ。ありがとう。
あれから私も忙しくてお給料を渡しそびれたままになっていたわね、ごめんなさいね?
事務所とかの関係でお金は渡せないようだったので、あなたに似合いそうな服をいくつか見繕っておいたわ。もしサイズとかに不備が出てきたら遠慮なく言ってちょうだいね?
改めてこないだはありがとう。あ!そうそう、こないだヒナが「もしよかったらまた一緒にお仕事しようね!」て言っていたの。もしその気があれば連絡頂戴ね。
P.S.雑誌の発売日は二日後になったわ。サンプルも一緒に同梱しておいたから受け取って頂戴。
◇◇◇
「気にしなくていいのに...」
手紙を読み終わったボクはそう言葉をこぼした。
貰った手紙を封筒にしまおうとした時にまた別の文字が目に入った。
『多分ゆうき君のことだから気にしなくて良いと言ってくれるんだろうけど、「正当な労働には正当な報酬を」だからね』
どうやらボクの考えは読まれていたようだ。ひょっとして京子さんはエスパーなんじゃ...
ひとまず服も確認してみる。
カジュアルめな服がいくつも入っており、どれもボク好み。流石は京子さんだ。
いくつか確認していくうちに異変に気が付く。
「なんか段々可愛くなってない?」
男物のカッコよさとはまた違って...なんて言うのだろう?女性的なカッコよさを持つデザインの服がちらほらと出てきた。
「あ、これはシャツだ」
気のせいだと思っていたその違和感は確信に変わった瞬間である。
男性用のシャツは右側にボタンが付いているのに、このシャツは左側にある。つまりそれは女性用のシャツであるということだ。
「ボク男なのに...」
少し沈んだ気持ちになるも、最近見た記事で女性が男性用に作られた服を着るという事が増えてきたという内容のものを思い出した。その逆も然り。
嬉しいのか悲しいのかわからないが、ボクはそんなに男らしい体型をしていないので多分違和感なく着る事が出来るだろう。
(多分京子さんもそれを見越して送って来たんだろうなぁ~)
◇◇◇
その日の夜に開いた雑談配信で今日あった出来事について話していた。
『...ってことがあったんだよね~』
【コメント】
:マジ!?
:じゃあ、その雑誌手元にあるの?
:すげー
『雑誌?うん、ボクの手元にあるよ~』
:てかそんなに詳しく言っていいの?
:身バレ大丈夫?
『大丈夫だと思うよ、だって一体いくつの雑誌があると思っているのさー』
そう言って笑うゆいは二日後、全国の書店からファッション系の雑誌が消えることを知らない。
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