第99話 なんかまた呼び出されちゃいました
あれからしばらく経ち、学校が夏休みに入ったとある日、どの学校でもおなじみの宿題の山に向き合おうとしていたボクに一本のメールが届いた。
夏休み中の配信やイベントについて話すことがあるから事務所まで来てほしいという内容だった。
そのメールを確認するや否や、あの山から逃避するように事務所へと向かったのだった。
◇◇◇
「いつもの部屋で待っていると伝言を預かっております」
まだ夏が始まったばかりというのに遠慮なく降り注ぐ猛烈な日差しに耐えながら事務所に着いたボクはエントランスで受付の人からそう言われた。
この事務所の中で一番訪れた場所は何故か社長室なのだ。
別に何かをやってしまったから呼び出されたということでもないのに、なぜか毎回社長室に呼ばれる。
もっと別の場所は無いのかと思うところはあるけど、言われた通りに社長室に向かう。
ややあって、社長室に着いたボク。ノックをすると父さんが生返事で「入ってこーい」というので中に入る。すると神妙な顔でディスプレイを眺める父さんの姿があった。
「うーむ」
珍しい光景だったので思わず声をかけてしまう。
「父さん?どうかしたの?」
「んー?少し待っててくれ。今いいところなんだ」
そう言われてしまったのでおとなしく待つこと数分後。父さんは食い入るように見ていたディスプレイから離れて背もたれに体重を預けた。
「負けたー」
「負けた?」
思っていたこととは違うことを口にした父さんにそう聞き返した。
「いやぁ~父さんの出身校が甲子園出れそうだったんだが...決勝で負けた」
「そ、そっか...残念だったね」
なんでも、昔は甲子園にならないとテレビなどで試合を放送しなかったが、最近では県大会の模様も準々決勝からではあるが、ネットや地元テレビによって中継されるようになってきたらしい。
「家で見てくださいよ、家で」
呆れながら入ってくる六条さんと草薙さん。
「リアルタイムで観なきゃダメだろ?こういうヤツは」
「まあ言わんとすることは分からんでもないですが ...社長室で見るのはちょっと宜しくないのでは?」
「うっ」
鋭くツッコミを入れる草薙さんに何も言えなくなってしまう父さん。
最初こそは異色に見えたその光景は今や安心すら感じるようになった。
「多分そこは慣れちゃダメなところだぞ」
「え!?」
「顔に書いてあった」
さっきまで冷たい目で父さんを見ていた六条さんが真逆の眼差しでそう言ってきた。
そうして雑談をしていると、莉奈さんと茜さんが到着する。
各々挨拶を終えたタイミングで仕切る声が聞こえてくる。
「よし、全員揃ったところで...始めようか」
と、何処かのアニメで見たことのあるようなポーズをとった父さんが言った。
夏のセカプロ会議が今、始まろうとしている。
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