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希望の種はとってもおいしいです

・・・・信じてるから。



キンダル歴 203年2月12日


「ライル、ライル・カーティス!!いつまで寝てるつもりですか?もうよちよち歩きの赤ん坊ではないのですよ!」


 うん?あれ、僕寝てたのかな。いけね!ミレー先生の授業中だった!


 ライル・カーティスは目を覚ます。

 カーティス男爵家の3男として生を受けたライルは今年で3歳。アリアナ聖王国ではしっかりと言語を理解できるようになる3歳児から貴族教育が始まる。

 基本的に1人の貴族の子供に対し、全ての教養を教える貴教師1人が充てられ、その貴教師から13歳までみっちりと貴族社会とは何たるかを叩き込まれ、14歳から17歳までの間を聖王国学園で過ごすこととなる。

 貴教師もその性質上、貴族がなる職業として一般的なものである。長男ではない教養に優れた貴族の子息達の就職先としてアリアナ聖王国ではごく一般的な職業だ。

 貴教師は聖王国独自の制度と呼ばれていて、雇用形態は国家公務員として各貴族家に派遣される形を取っている。


 「全く、ライルさんはいつも私の授業なんて聞かずに寝ることばっかり!そんな事では立派な貴族にはなれませんよ?」


 そんなこと言われたってねむいんだもん。

 だいたい3歳から勉強なんて早すぎるって母さまも言ってたし。

 

 ライルが寝ぼけ眼を擦ると、手に何か持ってることに気がついた。


 ん。あれ?なんか僕持ってる。

 すごいピカピカしてて綺麗だなあ。

 そういえばこの前見せてもらった隣の国のお菓子に似てる!あめ?って言ったっけ!

 美味しいのかな!!


 ライルは手に持っていたきらきら光る物を口に含む。途端、あまりの美味しさに口角が上がり叫んでしまう。


 「なにこれうまーーーい!!!」


 「ライル!何を食べたんですか!?授業中ですよ!今すぐ口から出しなさい!!」


 ミレー先生が僕のそばまで来て半ば無理矢理に口を開き口の中を見る。


 「何も入ってないじゃないですか。貴方は何を食べたというのですか?」


 あれ。何食べたんだっけ、美味しかったことはよく覚えてるけど、忘れちゃった!

 

 「忘れました!!」


 満面の笑みでライルは何を食べたのかを忘れたとミレー先生に告げる。ミレー先生は呆れ顔で、軽くライルの頭を叩いた後、教壇まで戻って行き、何事も無かったかのように授業を再開する。


 ピコーン

 名称「希望の種」をライル・カーティスが取得、適応するスキルを1つ取得可能。・・・・全知全能内より全知を付与・・・・容量が足りません。全知内参照スキル検索を付与・・・・成功。全知参照のためサーバー3892645329に接続。メッセージを受信、再生します。



 あれ?ぼく授業を受けてたんじゃなかったっけ?

 ここはどこ???先生は???


 気がつくとライルは無機質な部屋の中に居た。

 目の前には背の高い。父親より少し若いくらいの青年だ。

 

 家の人に似てる気がするし、親戚さんかなぁ?


 「ライル。無事に巻き戻ることができたようで何よりだ。俺はライル・カーティス、未来、違う未来から来た君自身だ。」


 「どういう事ですか?未来の僕ってことですか?」


 未来から来たと言うライルは頭を掻きながら難しそうな顔をしてしまう。


 「そりゃそうだよな、3歳の俺に違う未来とか何だとか言ったってしょうがないよなぁでも言っとかなきゃいかんし」


 「ここはどこですか?僕は授業中でしたよね?僕はここから出られますか?」


 訳の分からないライル(3歳)はどうしたら良いのか分からず泣きそうな顔で違う未来から来たという自分自身に問い詰める。

 あまりの不安そうな顔に未来ライルも焦ってアタフタし出すが深呼吸をして改めてライル(3歳)に向き直る。


 「安心しろ。もうすぐ元の場所に戻る。俺はお前に伝えなきゃならんことがあるんだ、光の粒を食べただろう?」


 「美味しいのは食べたよ!なんだか忘れちゃったけどね!」


 「あれはこの国にまだたくさん落ちてる。この家にもまだ落ちてるかもな」


 「あの美味しいのまた食べられるの!?」


 「そうだライル。全部の光の粒を見つけて食べるんだ!そうしたら立派な魔法使いにだってなれるぞ!」


 「立派な魔法使い!わかった!いっぱい見つけて食べるね!」


 未来から来たライルは少し切なそうな顔をしながら、キラキラした目で魔法使いを夢見るライル(3歳)の頭を撫でながら笑う。


 「願わくばその純粋なままの俺で居て欲しいんだけどな・・・いいかライル。聖王国を信じるな、色んなものを調べろ、自分でしっかりと未来を決めるんだ。他人に委ねるんじゃない」


 「そんないっぱい覚えられないよ!もう一回言ってよ!」


 「大丈夫だ、今は聞いてるだけでいい」


 視界がぼやけてきて、目の前の未来の僕が消えていく。それはとても悲しいようなことに思えてきて、僕は未来の僕のもとへと走ろうとする。


 「まって!行かないでよ!どうしていなくなっちゃうの!もっとお話を聞かせてよ!」


 「ライル。お前の思い通りには世の中進まないんだよ。何があってもめげずに突き進む強い男になれ、そして幸せになるんだ」


 幼いライルは何故か止まらない涙を必死に堪えながら、未来から来たというライルを追い続け・・・


 「ライル・カーティス!!また寝ているんですか!全くどうして貴方は!他の同い年の子はこんなに授業中寝ませんよ!」


 気がつけば元の教室。どうやらライルはまた眠ってしまっていたようだ。


 「あれ?未来の僕は?」


 「何をお馬鹿な事を言っているのですか!今は算数のお時間です!この問題を解きなさい!」


 この時ミレーは気づいてしまう。今日持ってきた教本が、3歳児用のものではなく、聖王国学園入学前試験の過去問題集だった事を。

 通りでライルがよく寝る訳だ。訳がわからないものを教えられていればそりゃ眠くもなるだろう。


 ライルは黒板に書いてある数式を解こうとする。

が、なんて書いてあるのかすらもほとんど分からないのでよーく目を凝らすと、、、


 ・・・解答 2m58cm34mm


 「うぇぇええ!!」


 突然目の前に答えが浮かんできて、びっくりしたライルは思わず叫んでしまう。


 これって答えを教えてくれてるのかなあ?

 あのおいしいのを食べたから出来るようになったのかも!


 「ライルさん申し訳ありません・・・教科書を間違えて・・・」


 あまりにも難しい問題でライルが混乱してしまったのではないかと心配してしまうミレー先生をよそにライルは自信満々で叫ぶ


 「答えは2m58cm34mmです!」


 「え?・・・正解です・・・え?」


 ミレー先生は混乱する。

 あれ?やっぱりこれが3歳用の教本だったかしら・・・でも、過去問ってデカデカと書いてあるし、なんで私間違えたのかしら。昨日飲みすぎたからね、二日酔いで授業なんてやるもんじゃないわね、それにしても正解?たまたま?たまたまがないようにキリの悪い数字になるようにしてるのが入学前試験の特徴なのにたまたまで当てられるかしら?

え??え??なんか目眩が。


 「ミレー先生!!」


 ミレー先生が倒れた事で今日の授業は終了してしまうのだった。

 

プロローグと最初の方だけやたら何だかありそうだなって感じで進みますけど、基本は日常です。

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