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プロローグ 全知全能

 「逃げて!お願いだから!あなたは生きて!ライル!逃げて!!」

 どうしてこうなったのか。全てを知っている気でいた僕はその実何も知らなかったのだろう。


 なんだ。僕を必死に逃がそうとしてくれている彼女は最初から彼女だったんじゃないか。


 どうして分かっていると思い、『騙されている』だなんて考えもせずに最初から決めつけて自分の世界を固定してしまっていたんだ。


 嗚呼憎い。横でイヤらしくニヤついている異形の化け物の事が心の底から憎くてたまらない。

 千切って丸めて、この世で1番不幸な奴にしてやりたいくらいに憎い。

 

 同じくらい自分が憎い。自分の力を十全に使って対策さえしていれば、目の前の命を救えたのに。


 「人は驕る。力があるのにも関わらず驕るだなんてなんて哀れなのでしょうか、勿体ない。本当に勿体無い」


 異形の化け物は両手を目の前で組むように僕の方を向きご高説を説いてきやがる。もう一つ生やした手で、キラナを少しずつ握り潰しながら。


 骨が折れる音が聞こえる。何かが滴る音が聞こえる。叫び声は聞こえない、ただ僕の名前をか細い声で呻きながら、逃げてと言ってる、こんな状況なのになんて健気なんだ。


 キラナの事を、僕はコイツに騙されて、疑う事もせずに心の汚い女だと思っていただなんて、何て馬鹿なのだろう。


 後悔するのはもうやめておこう、騙されていたとはいえ僕の全知全能は本当なのだから。

 

 特殊権限保持者による管理権限行為の行使を検知

 行使内容「一般一種権限保持者による一般三種権限保持者への攻撃行為並びにアリアナ聖王国への支配的行為の中止」


 ・・この申請は管理権限システムの自動処理により否決されました。


 特殊権限保持者による否決理由の照会

 

 照会結果 

 対応者 管理権限窓口 吉川博人

 「〇〇様、この申請に関しては、既に未来が確定している事項であるため、一般三種権限保持者への攻撃行為の中止はできません。しかしアリアナ聖王国への支配行為の中止に関しては対応可能になりますので、改めて分けての申請をお願い致します」


 特殊権限保持者による管理権限窓口への問い合わせを受信

 「吉川様、この度はご対応ありがとうございます。しかしながら前者の申請の方が優先度が高いので、前者の申請を優先する場合実現可能な範囲での行使内容はどの様なものになるかを教えて頂けませんでしょうか。よろしくお願い致します」

 


 対応者 管理権限窓口 吉川博人

 「〇〇様、この申請に関しては、既に未来が確定している事項であるため、一般三種権限保持者への攻撃行為の中止はできません。しかしアリアナ聖王国への支配行為の中止に関しては対応可能になりますので、改めて分けての申請をお願い致します。


追伸 以上は窓口の立場上の定型文でのご返信になるますが、その方が助かるのであれば自分がどうなってもいいとまでお考えのようですので、特殊権限・世界コード3892645329内スキル全知全能の一時剥奪を条件に時間の巻き戻しを申請する事をお勧めいたします。しかし時間の巻き戻しはシステム上未だ欠陥が多い機能ですので公に認められてはおりません。巻き戻し後の不都合等に関しては一切の責任を負うことができませんので予めご了承ください」


 特殊権限者による時間巻き戻しが行使されました

 これより全システムの巻き戻しを行います

 特殊権限者の権利並びにスキル「全知全能」を一時停止します

 時間巻き戻し後の時間は特殊権限者の誕生10分前とし、再起動します


 ああよかった、これで何とか。このクソッタレな現実から逃げられる。

 やり直す事だって出来るんだ、良かった。


 尚全ての記憶はリセットされます。


 「待て、それじゃあただのやり直しじゃ・・・」


 ここで僕の意識は遠くへ消えてしまう

 舐めるなよ。

 僕は全知全能だ、人の身にして神に近い存在だ。

 2度も同じ轍を踏ませるだなんて有り得ない。

 

 手に光る粒を生み出し、歪みながら巻き戻ろうとする空間の起点に向かい放り投げる。


 記憶が無くったって、全知全能が無くったって、2度も同じ失敗はしないだろ?


 「これで僕の・・・俺の勝ちだ」

書く事を続けられるか心配です

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