おばぁちゃん
黄色い少女は目覚めるとすぐに状況を確認し過度な拷問も必要なく従順な姿勢を示した。
「にゃはははは!一対一でお兄さんに勝てる気がしないねー!」
そう明るく言うとペラペラと聞いたことに素直に答え始めた。理由を後から聞くと、おばぁちゃんとやらはどんな情報を駆使しても勝てる訳ないかららしい。大した理由だ。
腹いせに拷問してやろうかと思ったが意味のないことをする必要はないと思い直した。
「まずは仲間の数を聞こう。お前らは五人でこの村を飛び回っているのか?」
「そうだよー。おばぁちゃんは部屋に篭りっぱだからジャンヌ達が見回りしてるんだ。」
ジャンヌというのかこの少女は。自己紹介を忘れていた。まぁいいか。
「ということは今のところ残り三人か…。」
少女達を全員倒すことは無理なことではないだろう。
「ふっふっふっ。ジャンヌ達はもう四人捕まえてるから四対ニだね!」
耳を疑うことをジャンヌは宣った。
「お前らは四人も捕まえているのか?彼らは無事なのか?」
「大丈夫だよ!双子の人と、蛇みたいな人と、リンクさんだよね!おばぁちゃんがちゃんと見張ってるよ!」
とりあえず一安心だ。ナイトのように燃えカスになっている訳ではないのだな。聞いた話だと後、生存確認が出来ていないのはヴァンだけか。
「しかし何故生け捕りにしてるんだ?」
それは自分に対する問いでもあった。それに気づき少し虚無感に襲われた。
「おばぁちゃんは元々貴方達と同じ世界の住人らしくて出来るだけ穏便に貴方達を返そうとしてるみたいだよー。」
でも貴方達はわざわざなんで此処に来るのー?邪気を孕まない声で彼女は尋ねた。情報は絞られているようだな。いやそんなことよりも。
おばぁちゃんが俺たちと同じ世界の住人…?
「あ!でもルーちゃんは別だよー。ルーちゃんは貴方達を見つけた途端すぐに焼肉にしようとするから気をつけてね!」
おそらく俺の右手とナイトを燃やした赤い魔女だろうか。
一度得た情報を飲み込む。この世界に元々いた住人がおばぁちゃんの正体らしい。おばぁちゃんが今回のボスならば俺達はその人物を殺さなくてはならないだろう。
もしや帰還者のことか。いや違う。俺の知っている人物な気がする。そう陰気な性質の直感が囁いた。
突如家の外から拡声器に乗ったような大きな声が聞こえた。
「ジャンヌーー!!ベールーー!!居たら返事してーー!!」
まずい!慌ててジャンヌの口を塞ごうとしたが間に合わない。
「はーーーーい!!!!」
にやりと笑うとジャンヌは部屋を軋ませるほどの大きな声を目の前の少女は年相応と言った顔つきで発した。




