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修羅道  作者: サムライソード
邪悪な魔女の箱庭
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エイソウカンナ

<バウンティミッション>邪悪な魔女の箱庭 参加者七名 難易度B


ミッションを確認して愕然とする。なんだ。何が起こっているんだ。頭が強く叩かれたように揺れ思考が纏まらない。


「バウンティミッション…?」


思わず口から溢れた疑問が溢れ出る。そうだ。俺たちが挑むのは帰還ミッションのはずだ。ちゃんと確認もした。すり替えられたのか?誰が?何の為に?


いくら考えても答えは出ない。無理矢理平静を取り戻そうと辺りを見回した。辺りは寂れた村のようだった。中世、西洋の寒村。空は晴天だ。冷たい風が土埃を巻き上げている。家はいくつもあるが不思議と人通りは無かった。


俺はどうやら道の真ん中に立っていたらしい。周囲に仲間は居ない。しかし参加者は六人と記載されている為この世界にいるのは間違いないだろう。


まずは仲間との合流が先決だ。出来るだけ村の中心部を目指して歩く。ボスがいる可能性も高いがこれはBランクミッション。俺抜きで奴らがボスと遭遇したら間違いなくすり潰されるだろう。


最善策は村の中心部にスポーンした味方が居た場合を考えてそれの救出だ。


付近の建物は石造で蔦が生い茂っていた。管理する者がいないのか。石畳の上を足で握りながら歩いていると前世を思い出す。俺の前世の街並みとどことなく似ていた。


ゴシック調というのだろうか。遠くにどデカい建物が見える。硬質なレンガで作られた四角い建物。しかし内部はアーチや空洞をあしらっているようでどこかに人が入り込める柔らかさもあった。よく見ると帽子のように小さい三角の突起が上を向いて聳えていた。二、三個乗せられているようだ。


あそこにボスがいるのか?とりあえずそこぐらいしか目星はつかない。はやる気持ちと不安な気持ちが混ぜあいまずいスープを飲んだ後のような吐き気を感じる。


迷いを振り払うように曲がりくねった道を進んでいくと道の端に焼死体が転がっていた。黒焦げの細い炭のようになった遺体からは顔が判別できなく仲間の遺体かどうかは分からなかった。


Bランク。その重みを実感した。触れた炭は風に乗って飛んでいく。飛んでいった炭の先に少女が居た。


リンクでもツウィンズのどちらかでもない。とんがり帽子に黒を基調としたドレスを着ていた。魔女はこいつだ。雷切を抜く。


魔女が幼なげな手に小さな杖を握っていた。


「貴様が今回の討伐対象で間違いないな?」


初めての人型なので一応確認する。しかし意思の疎通は今までのミッションで出来たことがなかったのでダメ元の問いかけではあった。


「えと…。討伐対象?っていうのは分からないけど私はあなたを焼いて殺す為におばぁちゃんに言われて来ました!」


無邪気な声で朗らかに告げる。どす黒い言葉と表情が合っていない。しかしこれで確定だ。雷切を構える。


少女は笑顔を崩さず杖を振った。


「エイソウカンナ!」


全方位から嫌な予感がした。その場から距離を取ろうと瞬歩でバックステップで距離を取ったが避けられない。反射的に源力を体に纏った。


甲高い音が周囲に響き渡り体が軋む。全身に圧迫感を強く感じた。身動きが取れない。箱に閉じ込められてその上から重石を乗せられたような重圧を受ける。


「がぁぁ!!!」


声にならない声を上げ雷切を振るうと体を取り囲む重力は消え去った。源力で体を守っていなかったら確実に肉の塊となっていただろう。


少女は首を傾げた。こいつは強い。児戯のような仕草で容赦なく命を刈り取る攻撃を放ってきた。殺さなければ。俺の体が肉塊となる前に。







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