源力
脇差を振り抜く。響くはずの轟音が聞こえない。おや?
もう一度振り抜くが空絶がでない。呆然とする俺にウェポンが巨大な斧を構えて走り込んでくる。慌てて両手で防ぐが巨大な圧力に吹き飛ばされた。
起き上がろうとするが長いレイピアを首に向けられた。
ウェポンがレイピアをしまい、手を伸ばしてくる。
「理由。分かるか。」
手を掴み起き上がる。
「見当つかない。」
手放した軍刀をウェポンが拾いに行く。
「源力。切れた。良い。武器。」
コンリョク?初耳の言葉だ。彼の言葉をまとめると源力がこの世界には漂っており、スキルを発動する際には源力が必要らしい。あまりに連発した際、源力が切れてしまったそうだ。
体に源力が備わっているのだろうか。意識したが全く捉えられない。
「上級。源力。使う。」
そう言うと彼は軍刀を地面に突き刺し、柄を上から押さえて巨大な斧で叩き折った。
「何をする!!」
「寿命。」
買い替え。行くぞ。そう言って俺から脇差を奪い、彼の背中の装備の一つにした。
末恐ろしいやつだ。弟子から武器を巻き取るか普通。スタスタと裏庭から去る。
長身のウェポンの後をついていく。丸腰で歩くのは三ヶ月ぶりだ。途中隙を見て逃げ出そうとしたがウェポンを撒くとは出来なかった。
諦めて歩いていると、でかい広場についた。スタジアムのように中央を取り囲み長椅子が並べてあった。
夜が更けてきた。周囲には人が疎らに座っている。
中央の松明に突如火が灯った。巨大なホログラムが表示される。
「システム。台。捧げる。ここ。来る。」
台とは等価交換の台のことだろうか。
沢山の商品が表示される。価格はどうやら変動制らしくホログラムに表示された値段はつり上がっていくものもあった。
「アイテム。台。ここ。変換。ポイント。望んだもの。」
分かりづらいやつだ。等価交換の台で望んだものはここを挟んでポイントにされ望んだものに変換されるらしい。
「台。効率悪い。ここ。アイテム。探す。一番。」
効率が悪い分、台ではこの世界に存在しないいわゆる外の世界の物も手に入るらしい。それを求めて人は台に物を捧げる。
「欲しいもの。望め。」
欲しいもの。新しい武器だ。もちろん刀。
割れた酒瓶、聖書、果ては人間までここで取引されたのだろう。