ウェポン
あのパラディンに次ぐ男がこの派閥のリーダーなのか。累計獲得ポイントをみるパラディンが7万。キリガヤが5万。ファザーも5万。そこから下は2万台だった。3人が飛び抜けている。
10000pでこの世界から脱出出来ることを考えると、見知った顔でランキングが埋まっても当然だろう。
「私達の目標はミッションクリアとナンバーズの独占だ。」
「2万もポイントをもっているのならさっさと次の階層に行けよ。」
オフィサーは眼鏡を磨きながら答える。
「次の階層への条件は明確ではない。噂では10万ポイント必要だとか、100ポイントでもいけるなど様々だ。」
ドクターと名乗った白衣の男が続けた。
「キーミッションがあるのではないかと私達は睨んでいる。」
お前も早く戦力になれ。眼鏡をかけながらオフィサーが言う。死んでもなるか。
「裏庭。そこで修練。来い。オーガ。」
ウェポンが長い黒髪を揺らして立った。不気味な男だ。
「3人は残ってくれ。少なくなったメンバーの今後の作戦を伝える。」
オフィサー達はナンバーズのみの会議を始めた。腰を上げてウェポンの後についていく。
裏庭に出た。そこそこの広さはあったが審査場ほどではなかった。
「ここ。蘇り。ない。傷。ドクター。治す。嫌なら。避けろ。」
ぼそぼそとウェポンが言う。あぁ審査場に戻りたい。だがオフィサーの言うことは全て合っている。強くなりたければすべてを喰らわなければならない。
俺の目的は使命を果たすこと。そのためには力が必要だ。妖精達との戦いではっきりした。手始めにこの団体で一番になろう。軍刀を取り出し構えた。
「胸を借りよう。」
「オーガ。分かった。来い。」
こちらの意思を汲み取ったのか彼は胸から短剣を2本取り出した。
敵はリーチが短い。インファイトは避けるべきだ。じりじりと後ろに下がる。ウェポンが駆けた。彼の装備の数に対して非常に軽やかな動きだ。
横に軍刀を振る。轟音が響く。ウェポンはスライディングで斬撃を避け距離を詰めた。ウェポンは容赦なく首筋を狙ってくる。軍刀で一発目を弾くが、すぐに二発目が腹に襲い掛かる。無理やり体を捩って避ける。
素早い攻撃だ。だが宝石の王ほどではない。バックステップで間合いを保つ。直感で彼の初動を読む。彼の短剣が動き出す前に軍刀で叩いた。
不敵にウェポンが微笑んだ。手数が多くて反撃の隙がない。
不意にウェポンが俺から距離を取った。好機だ。空絶を縦に放つ。彼は横に転がりかわした。
短剣を投げつけきた。首を捻って避ける。空絶を放つ。これもまた避けられた。さらに空絶を放つが悉く避けられる。仕方なく刀の間合いまで持っていこうとするが残った短剣を投げつけられて距離が詰めれなかった。
彼は胸から追加でトマホークを取り出し振りかぶって投げた。先程より速い。が、直感で狙いに当たりをつけてあらかじめ躱しておく。
トマホークとのすれ違いざま、軍刀を掴んだ左手を上から下に振り抜き空絶を放つ。あえて彼には当てない。逃げ場を無くした。脇差を居合の要領で勢いよく振り抜いた。