決戦前の炎
意識を取り戻し毒消しを念じる。毒消しの薬草が直接口の中に現れたので、無理やり飲み込んだ。
指先の感覚が戻ってきた。しかし体を起こそうにも到底起きそうになかった。しまった。血を流しすぎたのだ。それに体を休めず無理をしてきたのが祟ったようで、ここに来て体はついに限界を迎えたのだ。
残ったポーションを口の中に直接出現させる。一気に飲み込み、無理やり体を動かす。壺を押し開け辺りを見回すと木造の建物の中だった。麻痺の果物はすべて無くなっていた。
分からない。作戦は成功してるのか?もしかしたら異変に気づいて全て廃棄したのかもしれない。
ご丁寧に脇差と軍刀は並べて棚に保管されていた。ポーションを飲んだとはいえ万全とは程遠い体調だ。脇差と軍刀を腰に刺し服は粘膜に覆われていて重くなっていたので脱いだ。半裸の状態に袴という奇抜な格好になった。
本来の作戦では麻痺の果実を食べて痺れてる妖精達を襲い殺してからボスと万全な状態でタイマンを張る予定だった。
しかし今までいなかった男妖精たちの規格外の強さにより退けられてしまった。
それが今奇跡的に蘇りなんとボスの喉笛まで迫っている。この扉を開けたら誰も麻痺しておらず地獄が広がっているかもしれない。それでも競り上げてくる笑いを抑えられなかった。
そうだ。これを求めていたのだ。強者をねじ伏せる。俺が強いと認めさせる。
強敵との戦いを前にしてぼんやりと輪郭を描いていた欲望がはっきりと浮き彫りになった。
木造の建物の中に転がっていた乾いた葉っぱに向かって脇差と軍刀を無理矢理叩き合わせて火花を散らした。葉っぱは勢いよく燃え他の葉っぱに燃え移る。
どんどん大きくなる火を見て軍刀を突き刺して宣言した。
「死者は黙って見ていろ。」
炎は大きく燃え盛り木造の建物へと本格的に引火した。
退路は絶った後はひたすら突き進むのみ。右手に軍刀、左手に脇差を持ちドアを蹴破った。




