召集
それからの日々は朝から昼までパラディンと稽古をし帰った後は教会でファザーの手伝いをするという日々を続けた。
初めてのミッションをこなしてから二週間ほど経ったある日、いつものようにパラディンからの扱きをうけた帰り道、意識が遠のく感じがした。
最初は軽い立ち眩みかと思って耐えていたが引っ張られるように意識が持っていかれる。その場で座り込み地面を睨みつけた。
気づけばあの小部屋に座り込んでいた。召集されたのか。今度は白い壁に囲まれた四角い部屋に人々が無言で待機している。部屋はある程度ランダムに決まるらしい。
張り詰めた緊張の中で俺は武器とアイテムを一通り確かめる。一つずつ手に取り確認するが忘れ物はない。
大きく息を吸い込み、一息に吐く。大丈夫だ。自分のこれまでを信じれば今回も生き残れるはずだ。最悪仲間が強ければ逃げ回るだけでミッションはクリアできるのだから、無駄に恐れることはない。
ドアが開いた。なんの変哲もないドアが禍々しく見える。実際、地獄へのドアなのだからそう見えても致し方ないだろう。
小部屋の住人たちが次々とドアから外へ出る。周りの雰囲気に流されるように立ち上がりドアの外へと踏み出した。
外界は緑で埋め尽くされていた。唐突に広がる緑の世界にたじろいでしまう。今回のステージはどうやら森らしい。森のどこか冷たく草と土とが混ざり合った青い香りがする。
振り返るともうすでにドアはなく巨大な樹が横たわっていた。樹皮を良く見てみると何者かに刻まれた跡がある。文字が書かれている。
ミッション<妖精の楽園> 難易度E 参加者1名