武器
武器屋は意外にも近くにあった。何回か前を通ったかもしない。こうして認識しようとして初めて確認した。古びた木造の建物で表には看板がかけられていた。
建て付けの悪いドアを大きな音を立てながら開けると中には数人の推定人がいた。カウンターの奥には可愛らしい少女がいて客を捌いているようだった。
あんなに小さい少女もこの世界に生きているのか。
「こんにちわ、麗しのレディー。刀を買いたいのだがどこにあるか分かるかね?」
レディーと言われたことに気を良くしたのか、元々そういう性なのか、少女は愛想良く返事をし俺を剣がたくさん浮いている店の一角に連れていった。
「こちらはホログラムになっております。重さも感触も忠実に再現した幻のようなものです。ご購入の際は私にお声掛けください。」
どうも、と軽く声をかけると少女はカウンターに戻って行った。
所持ポイントは105p、一月、食費生活費合わせて贅沢をしなければ2pで生きていけるらしいので使えるのは103p。
そう考えていると、目の前に100p台の刀のホログラムが浮き上がる。
しかし、100p全てを刀つぎ込むのは愚策だろう。刀の他にもサブウェポンや防具も必要であるし、この世界には毒消しや痛み止めなどのアイテムもあるらしい。
刀に20p、サブウェポンに10p、防具に60p、残りをアイテムに使おう。
目まぐるしくホログラムが出てたり消えたりした後、20p台の刀が現れた。
その中でも一際俺の目を引きつける刀があった。手に取ると確かな感触と重さがあった。これは軍刀か?
軍刀といえば儀礼的で紋切り型、実用には向かない粗悪なイメージがあるだろう。
しかし廃刀令で衰退した刀産業は、西南戦争を経て近代技術を取り入れた刀も生み出していた。江戸時代の日本刀を超える刀は確かに作られていたのだろう。時代と共に物は進化する。
また意味不明な知識が想起される。要約するとこの刀はいい刀だ。メインウェポンはこれでいいだろう。サブウェポンはどうするべきか。グレネードなどはないのだろうか。
ホログラムは剣コーナーであるのにもかかわらずお試し程度と言った感じで一つグレネードを浮び出した。しかし一つ500pという表記を見て諦めた。
とりあえず脇差にしよう。短剣程度の長さの脇差を追加で選び少女へと持って行った。