ツクモ
まったく納得がいかない。なぜノンダクレが枕がわりにしていた物の弁償などしなくてはならないのか。
「よし!資金も得たなら武器屋に行くが良い!良いドロップ品はすぐに売れるからな!タイムイズマネーだ!」
パラディンが合っているのか分からない慣用句を言った。
「ファザー。ちゃんとこの金は返すし、聖書はきっと弁償する。」
「生き残ることを第一に考えるのですよ。ポイントに目を眩ませて命を安売りしないように。」
ファザーは優しい笑顔で告げた。
昨日聞き忘れたことをふと思い出したので尋ねてみる。
「そういえば君たちの派閥に名前はないのか?」
パラディンが背筋をピンと伸ばし、声をいつもより張って答えた。
「私たちはツクモという!偉大なる彼の名前から取ったものだ!」
そうか、ツクモというのか。いい名前だ。
「ツクモに幸あれ!」
パラディンに負けじと大きな声でそう告げ、石造のドアから武器屋へと足を進めた。
ファザーは男が去ったドアを数秒見つめた後パラディンに向き直り尋ねた。
「どうです?彼は生き残りそうですか?」
パラディンは笑顔で答えた。
「おそらく次のミッションで死ぬだろうな!」
ファザーは自信満々に言い放つパラディンを見て秀麗な眉を顰め苦々しく言った。
「あなたそういうところありますよね。」
「なに!心配するな!人間の底力など多少痛い目にあったぐらいでは分からんよ!人間は死の間際、虚無と向き合うことで本当の自分を見つけるものだ!」
ファザーは深くため息をつき、第二の生を送る男のことを神に祈った。
1pで10000円くらいの感覚です。