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刀を天井に透かしてみる。構えも握り方も知らない刀だがなぜか知識にはある。
パラディンがこちらに歩み寄る。どうやらやる気はないらしい。もう一度パラディンの足を見るともう傷は治っていた。
本当に化け物だな。そう思う俺をよそにパラディンは笑顔で告げた。
「君がその武器に適性があるとは思いもしなかった!しかし私の教育が君の才能を花開かせたのだな!やはりこの教育は間違っていなかった!」
「そんな訳ないでしょう。」
後ろから声が聞こえた。ファザーの声だ。振り返ると石造の椅子に座りこちらを呆れながら見る神父がいた。いつからいたのだろうか。まったく気づかなかった。
「そんなリスキル紛いのことをするやり方では、才能を審査する前に心が壊れるのが先ですよ。」
パラディンは得意げな口調で言い返した。
「結果をだしてから言うのだなファザー!私は彼に才能を開花させた!それがすべてだ!」
才能と言ってもがむしゃらに振り下ろしたのがまぐれで当たったのだ。それで適性ありと言えるのだろうか。いや、パラディンの言う通り結果がすべてだ。パラディンに一発かましたこの刀を信じるべきだ。
「過程はともかく、ありがとうパラディン。君の善意に心から感謝する。おかげで買う武器が決まった。」
本心でそう思う。
「気にすることはない!私は私の正義に従ったまでだ!それに久々に肉を砕く感触は気持ちよくて苦ではなかったしな!」
こいつやはり楽しんでたな。
「それはそうとファザー!何のようだ!君がわざわざここに来るなど珍しいではないか!君も私とやりたいのか??」
ファザーは鷹揚に手を振って答える。
「あなたに用はありません。あるのは初心者君です。」
まずい、聖書をゴミにしたことがバレたのか?内心どぎまぎしていると、ファザーは布袋を出した。
「この中にあなたへの融資があります。ポイントを物質化したものです。100pあります。これだけあれば武器屋である程度のものは揃えられるでしょう。」
なんと、本当にこの男は根っからの善人なのだろう。いつ死ぬかも分からない男にポイントを融資するなんて。いや、これも彼との約束なのだろうか。
「重ね重ねありがとう。ファザー大切に使わせてもらうよ。」
あと聖書は弁償してくださいね。そうファザーは渡し際に俺に告げた。