適正あり
パラディンが短剣を投げつけてくる。頭狙いで一直線の短剣を首を捻ってかわした。
「あったまってきたな!さぁバシバシ行こうか!」
パラディンが興奮気味に言いさらに俺はリンチしようとする。少し待てと言う暇も与えられずに俺は顔面を殴りつけられた。必殺のパンチは俺の頭を跳ね飛ばした。
パラディンのリンチを受けながら考える。意識を集中させると敵の攻撃する場所が分かるがあまりにパラディンのパンチが早すぎて避けれない。
俺は反射神経が優れているわけではないのでこの距離で戦われると一方的に殴られるだけだ。肉弾戦は俺に向いていない。
リスポーンした瞬間に長くて細い剣をイメージする。長いが長すぎず重すぎず、細いが敵の攻撃を受け切れないほど細すぎず。そんな理想の剣をイメージしてパラディンと距離を取る。
パラディンに距離を詰めさせない。それがファーストステップだ。
パラディンは急に攻撃の手を止め、目をぱちくりとして俺の剣を見る。
「なんと、刀を使うのか。」
珍しく覇気のない呟くようなパラディンの声に少し驚く。俺も釣られて剣を見るとそこには片刃の刀があった。
パラディンは冷静さを取り戻し、俺との距離を詰めようとする。パラディンは硬く鎧で包まれた拳を握っているがおそらく狙われているのは足だ。刀の間合いぎりぎりでパラディンはローキックを放とうとしたので無理やり抑えつけるように上からパラディンの足に刀を叩きつける。
しかしパラディンのローキックは止まらず刀は折れ、俺の足は文字通り破裂した。無様に転がる俺にパラディンは容赦なくサッカーキックを俺の頭に浴びせると俺の頭は綺麗な孤を描き入り口のドアに叩きつけられた。
リスポーン地点に立ち、意識を戻す。刀を作り出しパラディンと距離を取る。しかしパラディンは攻めて来なかった。どうやら先程俺の刀を受けた足を見ているらしい。
「ふむ…!刀、適正あり!」
パラディンの足を見ると鎧の間接部分に刀の破片が刺さって血が流れていた。
偶然を多分に含んでいるが昨日、今日を含めおそらく100を超える死闘を得てこの女に初めて一発返してやったのだ。
思わずガッツポーズをして地面に倒れ込んだ。