リンチ
大体彼女の審査は厳しすぎる。今の弓矢も的に掠りはしたのだから適性がまったくないと言うわけではないだろう。
パラディンが騎士の甲冑を着込んで奥の部屋から出てくる。不満そうな顔をしている俺を見つけこう言い放った。
「君にはあまり武器を扱う才能がないようだ!おそらくそこそこできる武器を極めようとしてもそこそこのレベルにしか到達しないだろう!」
厳しいことを言っているがおそらく事実だ。実際三年間片手剣と盾を使ったきたがパラディンには歯が立たなかった。
「君には優れた直感がある!それを生かした立ち回りをするべきだろう!」
そう言ってパラディンはこちらに短剣を投げてきた。恐ろしいスピードで投げてきたので思いっきり頭に突き刺さる。
審査場のど真ん中にリスポーンし見慣れた景色をみた。パラディンは言った。
「これから君をリンチする!それを君は死ぬ気で避けろ!ただ生存本能に従うのだ!」
そういってパラディンは短剣を手に襲いかかってきた。急展開すぎる。あの朝の爽やかだった会話を返せ。
パラディンが短剣を突き刺そうとしてくる。狙いはどこだ。首元に焼けつくパラディンの意識を感じた。身をかがめ走ってきたパラディンに逆に突進する。
パラディンの短剣は空を切り、俺に押し倒される。マウントを取った俺は一瞬で手にナイフを想像し作り出した。甲冑の隙間を狙って勢いよく降り下ろす。これまでの仕返しだ!死ね!パラディン!
しかしパラディンは冷静に左手の手の甲でナイフを弾き、右手のナイフで俺の顔を突き刺した。
「私を組み伏そうなど百年早いわ!」
パラディンは鼻で笑い高々と告げた。
そこからはただひたすらにリンチされた。死の回数が50を超えた時、段々と直感冴えてくるのを感じた。というより、直感の使い方が分かってきたと言ったほうが正しいか。