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修羅道  作者: サムライソード
邪悪な魔女の箱庭
120/129

戦い

「僕たちの任務は足止めだ!!オーガを信じてこいつをここに留めるんだ!」


ヴァンが半ば悲鳴のような声を張り上げて満身創痍の仲間に告げた。


巨大な竜との戦いは戦いと言えるようなものではなかった。ヴァンやツインにポニーが懸命に攻撃を仕掛けたが硬い鱗には傷一つ付かない。


リンクが巨大な竜を円環の腕輪で拘束しようとしたが無情にも腕輪は壊された。


腕輪を壊されて一瞬呆然としたリンクに襲いかかる竜の口からリンクを守る為にスネイクが身代わりとなって死んだ。丸呑みにされて彼は噛み砕かれたのだ。


仲間の死に嘆き暮れる時間も竜は与えず、攻撃を仕掛けてきた。各人が死力を尽くして戦ったが、竜によって飛ばされた瓦礫にポニーが下敷きになって二人目の死者となった。


ツインはもう心が折れてしまったのか曲刀を落として、頭のないポニーの死体をずっと揺らしている。


ヴァンがツインに攻撃が向かないように必死に一人で耐えていたが、限界を感じたのが彼は体を霧にしてその場から逃げ出した。


竜は一人残ったリンクをじっと見つめる。リンクも無言で竜を見つめ返すと竜は静かに空へと飛びたった。


「望遠の腕輪」


腕輪を増殖し、何重にも重ねて空へと飛んでいった竜を見ると竜は遮るものがないはずの優雅な空の旅路に体勢を崩した。


スネイクの毒だ。彼の体の毒を直接飲み込み、あの巨体を巡ってようやく全身に行き届いたのだ。


リンクはそれを確認すると、ポニーを揺らし続けるツインの肩に手を乗せた。


<ボス撃破 参加者四名を帰還させます>


<Aランクアイテム 不死鳥の息吹>


<ボス撃破 参加者五名を帰還させます>









暗く静まり返った小部屋で激闘を制した参加者は虚ろな瞳で白い壁を眺めていた。視界に強引に割り込むか如く結果が表示される。



<邪悪な魔女の箱庭>


リザルト


 侍   魔女 1


10000p


ヴァンパイア 魔法少女 1


2000p



ドロップ品 なし

 

バウンティミッションクリア報酬


赤の鍵


部屋のドアは空いている。それでも参加者は動こうとしなかった。取るに足らない彼女の仕草が頭に浮ぶ。いつものように手を隣に伸ばしたが、そこには何もない。彼女の体温も柔らかさもすべて無に帰したのだ。


残酷な実感が彼女を襲った。張り裂けるような声を上げて壁を殴る。肉が裂け、骨が見えるほど殴っても彼女は帰ってこない。天井を仰ぎ、血が噴き出るまで声を上げても彼女は帰ってこない。


悲しみは次第に怒りへと変貌していく。動物のような唸り声をあげた。


「続けろ。」


声は静寂に耐える小部屋を響き渡った。ドアは一人でに閉まる。参加者を一人部屋に残して。







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