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修羅道  作者: サムライソード
邪悪な魔女の箱庭
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怨力

そこからの日々はウィッチや他の少女達と新しい力の研究に明け暮れた。夜叉の仮面を媒体として出てくる赤黒い源力には怨力と言う名前をつけた。魔力のように摩訶不思議でどこか惹きつけるような魅力を持つ源力とは違い、どこまでも人を不安にさせるような赤黒い源力は怨みの名前を冠するのに相応しいだろう。命名はスネイクが行った。いかにも彼好みな名前だ。


怨力は呪空絶を放つ他には身体能力の強化に役立った。今まで戦闘中に意識的にしていた源力による身体強化を恒常的に行うことを可能にし、今までの源力による身体強化よりも遥かに強い力を得ることができた。


しかしその力の代償もまた大きい。また怨力の発動条件が負の感情である為に長時間怨力を纏わせていると負の感情が増幅していき自分では収められないほどの怨力が発生してしまう。自分の感情がコントロール出来なくなり溢れ出る力を見境なしには放出しようとするのだ。最後には死ぬまで暴れるようになるだろう。



今のところはウィッチが強制的にシェイドという魔法で俺を気絶させて押さえ込んでいるが最近では無意識でその魔法すら避けようとしている兆候もあるようだ。



また薄気味悪いことに怨力を体に纏わせながら戦うと俺の体から赤黒いオーラが出ると共に夜叉の仮面が俺の体に纏わりつくのだ。心臓の近くに夜叉の仮面が張り付き、体の内部へと侵蝕していく。最も長い時間怨力を纏って戦った後は皮膚と一体化し皮膚ごと引きちぎらなければ夜叉の仮面は取り外せなかった。



夜叉の仮面が体に一体化していくごとに体が造り替えられて行くような薄気味悪さを感じるが同時に新しい力を求める俺の体は怨力の暴虐的な強さへの愉悦を覚えてその体の造り替えを積極的に求めることとなった。


夜叉の扱っていた力、今思えば黒夜叉のあの力強さは目の前で仲間が惨殺されたことによるものであったのだな。彼は元々DランクのミッションのボスだったがCランクの上位くらいまで力をのし上げていたことを鑑みると怨力はランクを一つ上げるほどの力があるとみて間違い無いだろう。



人には余る力を手に入れてしまったような恐ろしさを感じつつも、怨力を鍛える研究をやめることは出来なかった。


他の仲間達は失った人を惜しみつつも互いに歩み寄っている様子で、最近ではヴァンが少女達にボコられその後ポニーとツインが白い少女のサラとよく遊んでいるのを見かける。


しかしそれも一種の現実逃避であり、ウィッチは着々とこの世界からの脱出魔法を創り出している。ただのミッションならばここで失敗しても次またゼロから挑戦すれば良いが今回のミッションはボスがウィッチなのだ。


彼女をもしこのまま野に放たれたらすぐさま全ミッションの廃止が通告され彼らが元の世界に戻ることは叶わなくなる。彼女の強い決意は揺るがないようで何度も説得にゆくリンクやスネイクに聞く耳を持たなかった。



彼の息子とやらの約束は長年の間彼女を縛り付けていたのだろう、まさに執念といっても良いほどの固められた決意を覆すことは少なくとも一年にも満たない年月では到底出来ない。そして俺たちがこのミッションの世界で暮らして三ヶ月目、とうとうウィッチがこの世界を脱出する魔法を編み出した。

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