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修羅道  作者: サムライソード
邪悪な魔女の箱庭
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交流

「あたし達は詠唱と杖で魔法を放っている。スキルみたいに確たる名前や動作を決めた方が失敗しないからね。もちろん慣れたら脳内のイメージだけで魔法は打てるよ。ルージュは元々炎の魔法を詠唱してたけど今では無詠唱でばんばん打ってる。ベールも無詠唱を出来てたらしいね。命の危険を感じて成長したんだろう。」


ベールは皮肉にも俺の脅しのおかげで成長したのだろうか。まぁ儚く死んだ今成長もクソもないのだがウィッチのどこか遠くを見る瞳に何も言えなくなる。


「その夜叉とやらに魔臓以外の源力変換器官があったのかね?それだったらどうしようもないけどあたしは魔臓持ち以外に上位スキルを持っている奴を知ってるからそいつみたいにあんたも何か使えるものがあるかもしれない。夜叉のことで何か心当たりはないかい?」


心当たり。そんなものは一つしかない。懐に忍ばせていた夜叉の仮面を取り出す。この仮面がいつか心臓への攻撃を防ぐことを密かに期待しわざわざ懐に入れていたが結局今の今まで邪魔な荷物だった。


「なんだか不気味な仮面だね。どれ、エイソウカンナ。」


老婆は俺が取り出した仮面に魔法を放った。慌てて仮面から手を離すと仮面は地面に張り付いて軋んだ音をならす。


いや、軋んでいるのは床か?仮面はびくともしていない。


「ふむ…。やっぱりこれはキャリアに近い何かが掛かってるね。上位スキルで間違いないだろう。」


乱暴な婆さんだ。壊れたら一体どうするつもりだったのだろうか。


「これに源力を込めたら変換されるのではないか?」


床に落ちた仮面を拾い、源力を込める。しかし仮面は軽く震えただけで魔力が出るようなことはない。


「ふむ。何か条件があるのかもしれないね。」


条件か。一体なんだろうか。二人で話し合って条件を探っていると部屋にスネイクが飛び込んできた。


「ウィッチさん!ちょっと来てくれ!ヴァンがボコられ過ぎて壊れちまった!」


老婆は重そうな腰を上げて返事をした。


「はいはい。今行くよー。記憶消しの魔法でなんとかなるかねぇ。」





二人で中庭に行くとヴァンが白目を剥き泡を吹いて倒れていた。ルージュが必死に回復をかけるが効いている様子はない。


「精神に回復魔法は効かないよ。こういう時はね忘れさせるのが一番なのさ。ビリー。」


杖を振るとヴァンは目を覚まして辺りを見回した。


「あれ?君たちなんで雁首揃えているんだ?まぁ良い。僕と模擬戦してくれないか?君たちも僕に思うところがあるだろう?思う存分僕を叩きのめしてくれ!」


「いや、もう十分だろう。」


慌てて彼を止めてスネイクに連れて行かせる。喚きながらヴァンはどこかに連れて行かれた。


「中々良い手慰み。翻ったカエルを痛ぶるのは王子をカエルに変えられた姫の怒り。」


サラ。そう呼ばれている白い少女は満足げに言った。


「優男がいじめられてるのはなんだか不思議な気分…。申し訳なさと気持ち良さが入り混じったような複雑な気持ち…。」


ポニーがそう呟くとサラがポニーを見た。ポニーも見られていることに気づき見つめ返す。


「貴方、サラと同じ星の元に生まれたような考え。魂が貴方に惹かれてるわ。」


そう言えばサラとポニーは確かに似ているかもしれない。話が合いそうだ。ツインが割り込んできた。


「へー!貴方!ポニーの良さに気づくなんて良いやつね!よく見たら貴方もかなり可愛いじゃない。良いわ!あたし達と遊ぶことを許可してあげる!」


そういうと三人もどこかに消えていった。


黒い少女が苛立たしげに地面に転がる石を蹴った。


「サラはバカですね〜!あんな奴らについて行くなんて!」


ルージュが彼女の側による。


「良いじゃない。これから長い事生活するのだからある程度の会話は必要よ。まぁクーが彼らと仲良くするのが嫌なら私と修行しましょうか。」


優しくクーと言う名前の黒い少女にルージュが微笑みかけるとクーは引き攣ったような笑顔で答えた。


「えっと〜…。今日はお姉ちゃんと修行するのも良いけどそれよりも遊びたいなぁ〜…。」


「あらそう。じゃあ今日は修行を兼ねた遊びをしましょうか!」


ルージュが楽しそうに手を叩く。クーが消え入るような声で言った。


「それって結局修行じゃないですか…?」


ルージュはクーを掴み空へと消えていった。


ふと気がつくとスネイクとウィッチが話し込んでいた。なにやら生贄だの怪しい話が聞こえて来る。陰気な二人は話が合うらしい。


源力変換を研究したかったが夢中になって話し合う彼らに割り込んでやろうという気はおきず手持ち無沙汰になってしまった。






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