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第11話「人狼君、再び①」

☆10月17日土曜日に、

スクウェア・エニックス様の刊行雑誌

月刊「Gファンタジー」11月号が発売されました!

『魔法女子学園の助っ人教師』コミカライズ版最新話が掲載されております。

ぜひ読んでみてください。

巻末目次ページには、東導のコメントもありますので何卒宜しくお願い致します。


東導 号 書籍化作品⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》

第1巻~7巻大好評発売中。


◎コミカライズ版《藤本桜先生作画》

スクウェア・エニックス様の雑誌月刊「Gファンタジー」に大好評連載中!

Gファンタジーコミックス

第1巻~3巻大好評発売中!

※第1巻、第3巻は『重版』


☆書籍小説版、コミカライズ版ともども、書店様、通販サイト様でぜひお取り寄せください。

 美しい花々が咲き乱れ……

 ハーブの放つ清潔で瑞々しく心地良い香りに包まれながら……

 互いの唇を重ね、愛を交歓したダンとスオメタル……

 ふたりにとっては、一生の想い出となるに違いない。


 その後も、ふたりは魔境の『散策デート』を満喫した。


 広大な美しい湖のほとりを散歩したり……

 その湖でたくさん魚を釣って、

 「鱒だ!」「大漁だあ」と「わあわあ、きゃあきゃあ」はしゃいだり…… 

 この近辺で、最も高い木の梢へ飛翔魔法で「ひょいっ」と登り、

 遠くに連なる美しい山々の景色を鑑賞したり……


 結果……

 甘いムードに酔った感もあるダンとスオメタルの心は「ぐっ」と近くなり、

 ふたりの愛は進展。

 更にしっかりと絆が結ばれた。

 まずは……

 めでたしめでたしである。


 さてさて!

 心底楽しい時ほど、あっという間に時間が過ぎる。

 それが世の常である。


 ……既に西の地平線に陽が落ちかけていた。

 広大な魔境の空は紅く染まり、眺めていると幻想的な気分となる。

 

 だが、ロマンチックな雰囲気に浸ってばかりもいられない。

 帰宅してもやる事がいっぱいのふたりは、城への帰還を急いでいた。

 

 しかし何故か……

 ダンは一瞬で帰還可能な、転移魔法を使おうとしなかった。


 その理由とは……

 心と心の会話――

 念話による、ふたりの会話で判明する。


『なあスオメタル、もう気付いているか?』


『はい、マスター、当然でございます』


『あいつ……デート中からずっと居たよな』


『はい、私とマスターが素敵な雰囲気でキスした後、ハーブ園から出て、歩いていたら、ひょっこり現れましたでございます』


『あいつ、俺達の事、見てたな、絶対』


『御意でございます。どこかに隠れてマスターと私の愛の交歓を、あろうことか、のぞき見していたと思われるでございます』


『だな!』


『超うざい、めちゃ気持ち悪いと思っていましたが……折角のデート中ゆえ、放置したでございますよ』


『でも、4時間くらいずっとだろ? まだ来るとはしつっこいな……それに尾行もだいぶアレだな』


『はい! あいつは姿もろくに隠さず……もう1㎞くらい、ず~っとくっついて来ているでございます。ドが付く超下手クソな最低の尾行でございますね』


 そうなのだ。

 ふたりの後方、100mくらいに一頭の大きな狼がつかず離れず、

 とことこ歩いていた。

 

 ダンが苦笑する。


『今は狼形態だけど……放つ波動で分かる。あいつ、俺が昨日、魔力抜いて転がした人狼の一体だよ』


『もう! ホントにっ! 気分は超が付く最低でございますよ! 更に更に地の底でございます』


『おお、スオメタル……その様子だと、相当怒ってるな?』


『当然でございます。私にとって生まれて初めて! 初恋のマスターと記念すべき初デートなのでございますよ! 一生の想い出なのでございますよっ!』


『おお、何か、スオメタルから凄まじい怒りの炎が立ち昇ってる。そんな光景が見える気がする……』


『当たり前でございます! 折角、マスターとの超甘初デートが出来てウキウキルンルンだったのに……うざいあいつのせいで全てぶち壊しでございますから!』


『ん~、でも困ったな、あいつ城までついてくるつもりだな』


『何故困るのですか? ……まだ距離がありますから、ぱああっと、転移魔法で跳んじゃうでございます』


 スオメタルは転移魔法で振り切る事を提案したが、

 ダンは難色を示した。


『う~ん……』


『マスター、何を悩むのでございますか? あんなザコ狼一匹、放置プレーで構わないでございますよ』


『いや、放置プレーしても良いけどさ……あいつ、相当しつこそうだぞ』


『御意でございます。超が付くしつこさだとの分析結果が出ておりますゆえ』


『スオメタルは知ってるだろうが、猫族と違い、狼を先祖に持つ犬族は基本的に、長距離走が得意なんだ。ず~っとついて来て、終いには、城の前で、ず~っと待ってるつもりじゃないのか? 徹夜とかしてさ』


『て、徹夜で待ってるでございますか!? 私達の家の前で座り込みございますか? うっわ、超うざ!』


『だな!』


『ず~っと家の前で待ってるって……変質者というか、ストーカーでございます。 そんなの冗談じゃないでございます。ぶっとばします? もしくは殺っちゃうでございいますか?』


 スオメタルは眉間にしわを寄せ、猛毒を吐いた。

 ダンは苦笑し、制止する。


『いやいや、スオメタル。殺っちゃうって……奴らは捕食者で人間にとっては敵なんだが……』


『はい! 私にとっても! 人の恋路を邪魔するクズの最低野郎でございます』


『まあまあ……俺達は魔境では新参者だ。何でついて来るのか、一応問い質してみよう』


『どうせ、マスターから魔力を抜かれ、気絶させられたのを逆恨みした、リベンジ狙いでございますよ』


『う~ん、そうかな?』


『きっとそうでございます! 絶対にっ!!』


 スオメタルの機嫌はとても悪そうだ。

 無理もないかもしれない。

 ダンとのデートの素敵な余韻を、人狼のストーカー行為&尾行でぶち壊しにされたのだから。


『じゃあ、こうしよう』


『どうするのでございます?』


『隠れ身の魔法を使う。姿と気配を消して、やり過ごし、隙を見て奴を捕獲しよう、束縛の魔法も併せて使う。良いかな?』


『御意でございます! その上で、マスターとの楽しい想い出を、思い切りぶち壊しやがったあいつを、報いとして万倍返しで粉々に打ち砕く! でございます……と』


『おいおい、万倍返しで粉々って、……殺すなよ』


『保証は出来かねるでございますが……極力、努力致すでございます』


 こうして……

 ダンとスオメタルは執拗に尾行する人狼を、

 生け捕りにする事を決めたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。

※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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