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人界黙示録  作者: 橘渚月
7/11

シェルターにて

こちらの方は約一年ぶりの更新になってしまいました…

なかなか物事が続かない性分でして、全部投げた訳ではないんですがほぼ放置状態になっておりまして…

向いてないなぁとは思いつつも自分で始めたことなので細々と続けていて、やっとの思いで書けました…

次の更新はいつになるかわからないんですけどできる限り頑張りますので期待せずお待ち下さいませ…。

「遅くなってゴメンみんな〜」

「あの、すいません…お待たせしちゃって…」

シェルターにユキとルミの2人が遅れて入ってくる。


ここにシェルターを使う機会は滅多に無いのだが、暴走を始めた者を一時的に幽閉するか、他の者達が避難するために使われることが多いことから、内部は広く頑丈である。


「おぉ、来たか」

「何かあったみたいだけど大丈夫だった?」

「おはよー2人ともー」

トモ、コウ、ハルの3人が順に声をかけた。


「うん、まぁなんとかね」

ユキは苦笑してそう答える。


「結局なんだったんだ?体調不良って訳でもなさそうだが…」

「えっと…その…」

トモはルミに視線を送り尋ねるがルミは何やら言いづらそうにしていたため、視線をユキに移す。

ユキはそっと視線を泳がせ何も無い空間を凝視していた。


トモは少々呆れながら次にハルへ視線を移し視線で問う。

「いや…僕を見られても困るんだけど…」

とは言うものの、大体のことを把握出来ていたハルは自分の口から言うのもどうかと思い曖昧に答えるしかなかった。

「なんか…まぁ大変だったみたいだね…色々と…」

「色々ってなんだよ…」

トモはそこまで言って諦め気味に呟いた。


ひとまず全員が揃い安堵し談話する中、一人難しい顔をしていた男性、が口を開く。

「もとからタイミングを見計らって伝えるつもりだったんだが…俺の口から説明しても?」

そう言って視線をルミとユキに送ってから確認を取った。


「あ…はい…わかりました…お願いします…」

ルミは一瞬迷ったような仕草を見せたが、自分の口から説明するのは難しいと思い、何より羞恥心が勝りその男に任せることにした。


「今回はギリギリでよかったが、ルミは暴走手前の状態だったんだ。下手をしたらまた1人仲間が減っていたかもしれない。」


その言葉を聞き、事情を知らなかったコウとトモの顔が驚愕に染まる。

ハルはユキとルミの心情を読み取りなんとなく把握していたが少なからず驚いていた。


「もともと、昨日来たハルを除く他の3人に比べ、ルミの力は強大なものだった。それが今回さらに高まったせいで今のルミの許容量を超えてしまったんだ。」

「しかしそれはルミだけじゃない、コウもトモもかなり限界が近いだろう?薄々勘づいてると思うが」


2人は視線を合わせて答える。

「まぁ…」

「そうだよな…」


「そこでだ、お前たち2人には今の限界を超えてもらう」


「そんな簡単な話じゃないと思うんですけど…」

「具体的には何を?」

男は無言でさっき来たばかりの2人に目を留める。


「2人がどうかしたんですか?」

コウとトモは男にならい2人に目を移す。


「ここに集まってもらったのは限界を超えてもらうためだ。心配するな、俺も手を貸すし、もしもの時は2人も協力してくれるだろう?」


男は視線で2人に問い、2人も了解を示す。


「それに、だ、上手く行けば少しの間ではあるがあっちに戻ることもできるぞ」


その言葉を聞いてその場にいる全員が目を見開き、絶句する。

中でも一番驚いていたのは意外にもハルだった。

ハルはみんなの視線が自分に集まっていることに気がつき、複雑な表情をしていたがすぐに元に戻り何食わぬ顔でシラを切ることを選択したようだ。


他の全員は言及したい気持ちになったがそんなことよりなぜいきなりそんな話が出てきたのかを言い出しっぺの男に聞くことにした。


「それは願ってもない話なんですけど…その…僕らが戻ってしまったら取り返しのつかないことにならないですか…?」


「元はと言えば力が制御しきれなくて暴走してしまうって話だったろ?制御できるようになってしまえば普通の生活ができるということだ。限界が近いということはそれなりに使いこなしてきた結果と言える。違うか?」


「まぁ一理あるか…それに実際の体験談な訳だし間違ったことは言ってないとは思う…でもな…」

トモは男の問いかけにそう答えたが途中で口ごもってしまう。


「お前の言い分もわかる。他と違ってトモの能力はは死という概念を相手に付与すると言ったところだからな、完全に制御できていない状態だと無防備な一般人は意図せずとも死にいたらしめることもあるだろう。それに俺とお前たちじゃ世代が違うから俺の経験が全て正しい訳じゃない。」


「だったら…」


「自分に自信を持て、そんな心持ちだとできるものもできないぞ。」

男はやや挑発するように告げた。


「わかったよ…どうなっても知らないからな」

少しの沈黙の後、トモは意を決したようにそう言った。


「僕は…いや、やる以外に選択肢がないのわかったのでやりますけど…残りの3人はどうするんですか?その…」


「あぁ、ルミとユキはさっきの騒動で元々の許容量を無理やり広げたみたいだったが、なんとか上手く行ったみたいだからサポートに徹してもらう。ハルに関してはまだ回復させる以外の能力はわかってないからその確認を行う。」


「は?いや、ちょっと待て、じゃあそっちの2人は…」


サラッと説明されたことにトモが疑問を投げかけると男はなんでもないように答える。


「お前たちより一足先に突破を果たしてるぞ。」


「んな…」「え…?」

トモとコウは愕然とした表情を浮かべて2人に顔を向けた。


「その…あんまり見られると恥ずかしいかなって…」

「す、すみません…?」

ユキは照れくさそうに、ルミは申し訳なさそうに肯定を示す。


「なんだ、気づいてなかったのか?」

男は素で驚いたような様子を見せたが、まぁ無理もないか…小声で呟き話を戻した。


「あ、あぁ…」「はい…全然…」


「っとまぁそういうことだ。じゃあ先にハルの能力から見ていくか。」


そう言って、男はハルの能力の確認を行うための準備を進め始めた。

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