新しい仲間、新しい希望
自己紹介をすることになった一同。
誰から自己紹介するか決めようとすると…
「それじゃ私から!!」
ユキは無邪気な子供のようにはしゃぎながら、はい!はい!と何度も手を挙げる。
「わかった、わかったから落ち着いて。」
隣のコウがなだめて、コホンと咳払いをしてから言う。
「はい、じゃあユキからどうぞ」
「はい!アタシはユキ!よろしくね!えっと…名前…なんだっけ?」
ユキが少し申し訳なさそうに尋ねると、彼(?)は自分が名乗っていないことに遅まきながらに気づいたようで、ポンと手を叩いて続ける。
「あ〜、ごめんね〜、そういえばまだ名乗ってなかったっけ」
頭を掻きながら少し照れたように続ける。
「ボクはハル。よろしくね」
「わかったハルね!」
「先生から話は聞いていて知ってると思うけど、ここにいるみんなは特別な能力を持ってるんだ。ちなみにアタシの能力は、活性と衰退だよ。よろしくね!」
ユキは他の三人へ、次は?と促すような視線を向けた。
「じゃあ次は俺が」
後ろの方でトモが手を挙げ、ハルに歩み寄りながら続ける。
「俺はトモ。能力についてはあんまり言いたくないんだが…これから一緒に過ごしていくのに隠し事も良くないか…俺の能力は簡単に言うと生と死を司ることだ。とは言っても実際はまだ死んだものを生き返らせることはできてない…とまぁこんな感じでいいか」
トモはコウに視線を向ける。
「じゃあ次は僕ね、了解」
「僕はコウ。能力は吸収と放出だよ。その2人に比べたらそんな大したことないんだけど…よろしくね」
コウは肩を竦めながら、簡単に自己紹介を終えた。
「それで、最後は…」
ユキとトモと同様にコウも視線を向ける。
「は、はい。」
返事をしながらも緊張したように落ち着かない様子で口をパクパクさせている。
「え、えっと、私は…ルミ…っていいます…の、能力は…ふ、付与と…は、剥奪…です…よろしくお願いします…」
ハルは、なるほどなるほどと何回も頷いて、続ける。
「じゃあボクももう少し詳しく自己紹介した方がいいかな?」
と聞くと、ユキ、トモ、コウ、ルミの順で続く。
「もっとハルのこと聞きたいな!」
「まぁこれから先一緒に過ごしていくわけだしな…」
「僕らは心読めないからそうしてもらえると助かるよ」
「わ、私も、きょ、興味あります…」
「わかった!じゃあもっと詳しく話すね!」
そう言ってハルは続ける。
「ボクの能力は心が読めること。
でもこれは生まれつきで、君たちみたいな能力はなかったんだ。
あぁ、違うな、最近まで気づかなかったんだ。
ふと、ね、野良猫と目が合ったと思ったら急に動かなくなってさ、その時は自分のせいだなんて思いもしなくて、可哀想だなって思って撫でてたんだ。
目が合った時には足が悪そうで、もうほとんど瀕死状態みたいだったんだけど、しばらく撫でてたら、何事も無かったかのようにその野良猫が起き上がって元気に走り去って行ったんだ。
それをたまたま先生に見つけられてここに来たって感じかな?あぁ、長々とごめんね。」
ここで、まさか…と全員が思った。
「ってことは…」
と思わずトモが口に出す。
「うん。あ、でもそれっきりで…他に試したことないからどうなるかはわからないんだけどね…」
こうして新しい仲間、ハルが加わり、新生活が始まるのだった。