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クロスゲート~このきに願いを~  作者: NAo
第1章 世界樹の乙女
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現状整理をしておこう

「ここがCG(クロスゲート)(オンライン)の中だとして……なんで俺はこの世界にやってきてしまったんだ?」

「クロスゲートオンライン?」


 アダムが呟くとマキのステータス表示が消え、新たに文字が浮き出てくる。


 ―――クロスゲートオンライン

 7つの世界を繋ぐとされる転生の門とそこに繰り広がれる世界観を元に創られたオンラインゲーム。

 世界観をそのままサーバーに見立てて別々7つの世界を形成する事で、違った物語りの繰り広げられる。

 この世界においての最大の目標は世界を繋ぐ門『クロスゲート(交差する世界門)』の完成、及び古より伝わる魔を超越した存在『邪神』を斃すこととなっている。

 7つの世界はそれぞれ『人間界(エフォリア)』『冥魔界(バンデニウム)』『天清界(オラトリス)』『樹幻界(ユグラドシェル)』『妖鬼界(シルジヤ)』『機鋼界(ギスバーグ)』『霊刻界(ガルフォゲータ)』となっており、それぞれ違った文化を形成している。


  この説明文はゲームを始めるにあたり公式サイトのあらすじにも似たようなのが書かれていた。サイトにはそれと同時にこの7つの世界のプロもージョンムービーなんかもあって好みの世界観を選ぶ重要な要素になっている。


「俺が最後にいた世界は樹幻界であの時の続きだとすると……」


 マキはあの時起きた不可解な現象について考える。

 あの時、他の仲間たちはあのイベントの前に集まった街に向かったとするならここからだとかなり遠い。

 つまり、仲間たちと合流して他のみんなが自分と同じ状態なのかとか確かめるのもかなり後になってしまう。

 何よりどういう訳か、持っていた技は消え、ステータスもいくつか半減してしまっている。

 この世界での生きかたもまだわかっていない正樹にとって、あまりにも不安しか残らない始まりであることがわかる。


「そうだ、これがゲームならチャットで……」


 そう思ってメッセージを打とうとしたとこで気づいてしまう。この世界でどうやってメッセージを打てばいいんだろうと。

 いろいろ試して見たがチャット用のコンソールは出てくる事も無く正樹はその場で膝をつき呆然としてしまう。


「あの……だいじょぶですか?」

「あ、ああ……大丈夫だ問題な……ってありまくりだ!!! クソォ!!!」


 突っ伏してしまいたい状態ではあったが、女の前でそこまではできないと自尊心が働き頭を抱えるだけに留まるが、アダムからは憐みに似た濁った笑顔をしている。

 現状誰かに助けを求められない状態であり、この世界に来た意味もこれからどうするかもわかっていない状態、言うなればまったく新しいゲームを説明もチュートリアルもなしにはじめてくださいと言われているようなものだ。


「あの……正樹君は」

「この世界ならマキって呼んでくれたほうがいいかな?」

「わかりました。マキ君はこれからどうするかきまりましたか?」

「いや……今の現状何をしたらいいかわからなくて途方にくれているよ」

「あの、でしたら」


 アダムはおずおずとした状態でラムを見つめたり周りを見たりした後、深呼吸を一回して意を決したようにマキを見る。

 顔を赤らめ緊張した表情を浮かべる少女に正樹はドキッとして少し体温が上がる感覚を感じる。

 部活の女子とも会話があるけど、こんな風に見つめ合うなんて事がなかった彼女いない暦=年齢の正樹には免疫のないことであった。


「良かったらしばらくの間僕たちのことを護ってもらえませんでしょうか!?」


 いきなり告白されるのかと、異世界転生もののハーレムを思い出していた正樹は一瞬でも期待した自分に恥ずかしくなってさらに顔が赤くなる。そんな正樹を見つめるアダムは正樹の変化に気付いていないのは返事が怖くて目を閉じているからであり、正樹はそのことに感謝しながら自らの体温を冷ましている。

 そしてアダムが告げたこの言葉にみんなとゲームしていた時の事を思い出す。


『良かったら私達のことを護ってもらえませんですか? YES/→NO』

『じゃあ、イベント世界樹の乙女をはじめるぞ』

『こっちは準備万端だよ』

『ふふん、我が豪腕は血に植えている』

『部長www変換ミスってるwww』


 あの時、マキたちがやっていたイベントと目の前の少女の言葉、関わりがないとしても気になってしまっている。それに、あの時果たせなかったイベントに似た状態なのだとしたらもしかしたら彼女を護りきった先に元の世界に帰る手がかりになるかも知れない。

 あの時と違い、仲間は誰もいない状況でキャラ事態前よりも弱くなっている。そんな状況でも何もしないで立ち止まるよりはと思い、マキは頷く。


「俺なんかで良ければ喜んで受けようと思う」


 そう言ってマキはアダムの手を握り握手をした。

 今出来る事をしようと考えた正樹の手をアダムは嬉しそうに握り返して、その手の柔らかさに改めて赤面する正樹であった。

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