森の守人
「まきのせいでおこられた……」
「俺だけのせいじゃねぇだろ……」
朝の騒動から逃げるように、マキとラムは朝食求めて森の中を歩いている。
朝から獣を狩るという訳にもいかず、手頃な果実はないかを木々を見上げながらラムとアダムは文句の言い合いしている。
「あだむもあだむだよ。おっぱいみられたぐらいであんなにあわてることないのに」
「お前、それ本人の前で言うなよ? 絶対また怒られるからな」
ラムはマキの言ってる意味がわからず首を傾げる。人と生活してるとしても魔物としての考えの方が強いらしくマキの言っている事に対していまいち理解していないらしい。
そんなラムに呆れながら上を見上げるといくつか果実を見つけ、ラムを呼び込む。ラムも果実を確認すると、木を登ろうと幹に近づき人型になって木に張り付く。
「そんなことしなくても、あの高さなら俺がお前を肩車したら届くだろ?」
「……やっぱりのぼってとる」
「……そっか」
ラムがいそいそと登る中、マキはいつか受け入れてもらえるようにがんばろうと思いながら、ラムが落ちてきてもいいように下で構える。
ラムが果実をどんどん採っていく、木の果実全て採るんじゃないかとはらはらしていると、殺気を少し感じ振り返る。マキの振り向いた瞬間、矢が頬を掠めて通過して木に刺さる。マキが振り返るために半歩動いていなければマキの頭に刺さっていたであろう。
「ラム何かいるぞ!!! そっちからなにか見えるか!?」
「どっちのほうこう!?」
「俺が向いてる方向だ!」
「まって、いま……はわぁ!?」
「ラム!?」
ラムの悲鳴に上を確認すると矢で撃たれたのかラムの体には矢が刺さっており落ちてくる。慌ててラムを受け止めてそのまま相手から隠れるように茂みに隠れる。
相手の場所も確認できない状態で、姿を晒すのはまずいと考えたのだが、相手の矢は的確にこちらがいる位置を撃ち抜いてくる。
「いったい誰だ!? 俺達を攻撃してるのは」
「うぅっ……たぶんきのせいのさとのとれんとたいだよ。やがぜんぶきでできてる」
「なんで、そんな奴が攻撃してきているんだ!?」
マキ達は今、その木の精の里に向かっており、こんな風に襲われるような事はしていない。
「おい撃ってる奴! なんで俺達を攻撃している!?」
「知れた事を! お前ら人間がこの森に良からぬものを連れてきたのは知っている」
「何の事を言っているんだ!? 俺達は……」
「そのスライムが動かぬ証拠だ! 森の民が教えてくれた……見境なく全てを喰らうスライムが出たとな!!!」
確かにスライムは連れているが、そんな見境なく何かを食べまくったりはしておらず、マキやアダムの作ったご飯や調理された物以外食べようとしなくなった。ラムのはずがない。
「らむはそんなことしない!」
「信じられるか!!!」
このままではらちが明かない。マキはラムと別々に相手を取り押さえるべく二手にわかれ、マキ自身はその身を晒す。
「観念したか、人の子よ」
「悪いが帰りを待ってる奴がいるんでな。お前を捕らえてさっさと帰らせてもらう」
マキは声のする方へ駆け出し、声のするところに掴みかかろうとする。いくつか矢が飛んできてマキの体に当たるが、矢は刺さることなく地面に落ちる。
マキは先ほどラムに刺さった時に、ラムを一撃で倒せない事を知り、あれではマキの服を貫けないという考えに至った。結果はマキに刺さることなく地面に落ちマキへのダメージも少ないものだった。後はマキがその痛みに耐えて相手を捕らえれば良いだけの事となる。
茂みから飛んでくる矢から相手の位置を予想してそこに飛びかかる。しかし、そこには誰もあらずマキはその場で辺りを見渡す。上空の方から物音がして見上げた瞬間、一人の男がマキにくみつき、地面に倒し拘束する。身動きのとれない状態になったマキの喉元に石の刃のナイフを当ててくる。
「掴まえたぞ、これで終わりだ」
「そうだな……ラム! こいつを頼む!」
隠れていたラムが茂みから飛び出し、マキを組み臥している男を自らの体でぐるぐる巻きにして捕らえる。男は髪が葉で出来ており、肌の材質は木の皮でできている。変わった見た目にゲームの時にこんな種族いたかと疑問が浮かぶ。
「ラム……こいつらほんとにトレントなのか?」
「うん、とれんとのきじんぞくだよ?」
ゲームの時にはそんな種族存在しておらず、新たな未知にマキは警戒しながら木人の男の武器を奪いとる。改めて観察して見るとその肌は木のようにできているようで人の肌に近く、武器と奪った時に触れて見たが人間と変わりなかった。
「とりあえず、話を聞いてもらえないだろうか?」
「ならまず、こいつを離しやがれ!」
「それは無理だ。お前がまた暴れたらたまんないからな、まずは俺達の話を聞いてくれ」
遅れてしまいすみませんでした。
なろうの小説読んでたりして書く時間が減ってしまいました。




