第三話 ステータスと弱みと
「【ダークネスゾーン】……闇属性の最上位魔法よ」
「……は?、からかってるのか?」
闇属性の最上位魔法【ダークネスゾーン】とやらをゲットしたらしいが、まったくもって心あたりがない。6回死んだがどれも一日以内の死亡で、そこまで能力をもってそうな人ではなかったはずだ。
「信用できないならう~ん……そうね!私から【鑑定】のスキルをあげましょう。えーい!」
俺の回りを光が包む。これはスキル付与するときの神様的なすごいやつなんだろう。それにしても「えーい!」って言って発動するのはどうにかならなかったのかね。
「ふみちゃんに付与したスキル、【鑑定】は自分のステータス、それと自分よりレベルの低い人やモンスターのスキルをみることができるスキルよ」
「なるほど、お決まりのチートみたいになんでも見れる訳じゃないんだな」
「そうね。最初っからチートだったら面白くないじゃない」
どうやら世界は甘くないようだ。俺的には異世界でチートわっしょいっていうシナリオが理想だったんだけどな。まぁ、このスキルも使い方次第で応用できるはずだ。
「自分よりレベルの低い人やモンスターのステータスは覗かせてくれないってことは、ステータスが見えない相手は自分よりレベルが高いってことでおk?」
「そういうこと。やっぱふみちゃん頭の回転だけはいいわね……とりあえず鑑定で自分のスキルみるといいわ」
「【鑑定】」
NAME:伊佐木史也
SEX:男
RACE:異世界人
PROFESSION:元自宅警備員、異世界の勇者
LV:3
HP:79
MP:127
STR:23
DEF:39
INT:4890
AGI:28
LUK:75
SKILL:鑑定、ダークネスゾーン
SPECIALSUKILL:スキル継承
「どう?なんか気になる点でもあった?」
「賢さがぶっ飛んでいやがるだろうが!!!どういうことだ!?」
どうも賢さがぶっ飛んでいる。これは俺の頭脳が最強だったってことか!?あと……自宅警備員って、職業になるんだね。やめてほしいね。
「賢さがすごいのはスキル継承に必要だからよ。今のふみちゃんの限界値まで振ってるからステータス振りはできないと思った方がいいわ」
ちゃっかりとゲームの楽しみの1つを奪って来やがった。っていうかここゲームじゃないんだった。あまりにも現実味がないからすっかり忘れてしまっていた。
「スキル継承になんで賢さが必要なんだ?」
「この世界での賢さっていうのは、その生物がものを覚えられる限界値よ。つまり、たくさん覚えるためには賢さを上げればいいってこと。ただ賢さをあげるだけじゃなにも覚えたことにはならないわ。ちなみに魔法の威力には影響してないわ」
「……つまり俺がどんだけ賢さが多くても今の俺じゃ、老人に容量は勝ってても知識量は劣るってわけか」
「容量はばかでかいのになんも入ってない宝の持ち腐れになるわね」
ちょっといらっときたがつまり、賢さ=脳の容量って覚え方が正しいらしい。後で魔法の威力はどうなっているか聞いたが、魔力っていうパラメーターがあるらしい。俺は0だったから見えなかったが。
ちなみに、俺が転生して、他のひとの体にいるときは、その人のパラメーターと俺のパラメーターを足した値になるらしい。しかも【鑑定】をかけても、俺の分のパラメーターは見えないとのこと。
単純計算でも普通の人の二倍の能力を得てることになる。
「さて、もうそろそろいいわよね?転生の準備できた?」
「ああ、もういいよ。わかんなくなったら死ぬから、っと1つだけいいか?5つの世界を救うって言ってたけど次はどこ飛ばされるのかなー?って」
「あ、すっかり忘れていたわ。ふみちゃんは、5つの世界を順番に行ってもらうことになってるわ。死ぬか、一週間たつかしたら次の世界に行くことになるわ。その間の時間は私が止めるからなんも違和感ないと思うわ。」
さらっとすげーこと言いやがりましたよ!?時を止める?だと……
「あ、あのディアナさんって、そんなすごいことできるんですか?」
「ええ、なんせ時の神様ですもの!!」
へぇ、時……ねぇ……
「では、時の女神ディアナさん?なぜあなたは私をここに連れて来ることができたのでしょうか?異世界転生なんて、時の女神にはいささか不可能かと……それとも、未来か過去の地球だとでも言いたいのですか?」
「………………」
「あのーディアナさーん?聞いてまーすかー?w」
いままでの鬱憤を晴らすように盛大に煽ってやった………が、
不味い。不味い。不味い。さっきから殺気が、あ、これ、だじゃれじゃね?とか考えてる余裕がない。何か気に触ることでもあったのだろうか?
「ふみちゃん……その事は……聞いちゃダメなんだよ?……秘密なんだよ。神々のルールとか破った訳じゃないよ。けっして、他の神の力なんて借りてないよ。」
と、半ば自白しながら震えている。
焦って損したわ。殺気だと思ってたのもただびびってるだけだったのかよ。
「わかったよディアナ。誰にも言わないから」
「ほんと?」
「ああ……あんたがへまさえしなかったらな!!!」
「そ、そんなー」
早速弱みを握った。……のか?これから楽しくなりそうだ。
次回転生します。