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スキル集め始めました  作者: 桜音羽瑠
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第十話 木こりの優雅な生活

話数を間違っているわけではありません。このまま読み進んでください

 えっさほいさと斧を振る。


 今日もこれで三本目。ゆっくり、少しずつ針葉樹に切れ込みを入れていく。


 えっさほいさ。


 もう少しで倒れそうだ。力を振り絞り、リズム良く何度の刻んでいく。


 えっさほいさ。


 よし、傾いてきた。これで最後だ。


 バタン。


 今日のノルマも達成か……


 俺はここ数日間はずっと斧を振っていた。生き残るために。それには深い訳がある。俺が次にディアナに飛ばされた世界は八回目の世界。俺が攻略する世界は5つだから今は三つ目の世界である。

 C3と呼ぶことにする。


 まだこのC3の全貌はわかっていない(そもそも村すら見つけていない)

 わかっているのは今俺のいるところだけ。といっても地名まではわからない。

 現在の俺は寒い山の中の小屋で独り暮らしをしている。ちなみに今日で5日目だ。


「ったく、ディアナの野郎め、こんな辺境に飛ばしやがって」


 独り言をぼやくも聞いているのは野生の獣とそこら辺の小さい魔獣だけだろう。もちろん意味は理解していないだろうが。


「あーもう、考えてもダメだ。はぁ、とりあえず帰りますか」


 今から帰る家は比較的平らで開けたところに建っている小屋だ。まぁ、見てくれは小屋と言うのにふさわしいほどおんぼろだが、大きさは小さめの洋館ほどと、それなりに大きい。


 木造の一階建てで、暖炉と煙突、作業場、木材や食べ物を収納する倉庫、そしてこれだけは譲れなかったのか、無駄に立派で広い風呂が備えられている家だ。

 帰り際に切った木を【木こりスキル】で木や斧を運ぶのはとても簡単だ。それが例え50キロの木だとしても片手で持ち上げられる。これは元々の俺の体の主のスキルだ。


 元々の体の主の名前はウォーブ・ジキュル。年齢は29で出身はクレストルチアというところらしい。彼の私室に残されていた手紙の中に親であろう人物の不幸の知らせがあったので、恐らくウォーブは独り身だろう。

 子供や嫁もいず、一人自由気ままに暮らしているといったところであろうか。


 俺的にこの環境はとても動き易い環境である。親しい人がほとんどいないし、近寄る人もいなければ、普段のウォーブを知る人もいない。だから普段通りの俺で動けるのだ。しかし、もしものために名前はウォーブ・ジキュルを使わせていただく。


 さて、そろそろ家が近付いてきた。もはや見慣れてしまったおんぼろハウス。倉庫にあった工具と木材で、少しずつ改修しているがまだ8分の1も終わっていない。ぼろなのですきま風がとても冷ややかである。


「ただいま」


 小さい頃から防犯のためだとか言われて、家に誰もいなくても、挨拶する習慣がついてしまっている。

 伐ってきた木を玄関に立て掛けて一旦家の中に入る。戸棚からコップを取り出し、近くの井戸から水を汲み出し、一気に飲む。気温が低いので水もキンキンに冷えている。


 コップを井戸の縁に置き、斧と木を持って作業場へと向かう。


 すでに日本の気がそこに置いてある。一番太い木を残しあとはすべて細かく薪にしていく。【木こりスキル】のお陰ですらすら流れるように木材へと変えていく作業ができる。

 残った太い木は端を削ぎ落とし、角材へと変えていく。これが今家に三本ある。これを利用して、日用品や、家の修復等をしているのだ。


 作業があらかた終わると腹が減ってくるころだ。

 昼間の間に捕まえて、下処理を終えておいたウサギの肉とゼンマイやフキに似た山菜を使って料理を作る。山菜は私室にあった図鑑で判別した。どうやら文字は読めるようだ。



 コンロなんてものはないが、スキル【火起こし】(本当に火を起こすくらいの火力しかでない)を使用し、火をつけていく。鉄製の鍋に水を入れ、火をにかける。

 沸騰してきたら山菜を茹でて灰汁あく抜きしていく。

 しなってきたら一旦山菜を取り除きウサギを煮込んでいく。調味料として赤ワインらしきものや、塩、貴重な胡椒などで味を整える。

 再び山菜ををほうり込み、謎の調味料Xエックスを入れる。

 これを入れるとなぜだかわからないがものすごく美味しくなるのだ。何でも。


 一時間かけじっくりと煮込み続ける。その間に作業場に行ってスキル【木工】を使い護身用の木刀を作り上げる。

 木刀とはいっても先端をギリギリまで細くすればそれなりの殺傷能力がある。

 昼間のウサギも同じようなもので仕留めたものだ。


 調理場へと戻り蓋をあける。ワインのような上品な薫りが漂ってくる。

 戸棚から食器を取り出し、きれいに盛り付ける。

 作りすぎたな、明日もこれでいけるぞ。


 いざ実食。


「いただきます」


 肉にフォークを突っ込んだ瞬間ホロホロに崩れ落ち、口に運ぶと一瞬でとろけていく。回りの山菜にも味が染み込んでいてとても美味しい。


「ごちそうさま」


 ついに、あの無駄に豪華な風呂に入る時。

 そう、そこは風呂というより、温泉という境地にまで入り込んでいる。整備されたパイプから出てくる暖かいお湯。そして温泉特有のあの香り、扉一枚を隔てて、外は完全に露天風呂である。源泉地なんてどこにあるんだよと突っ込みたくなる。


 風呂に入ってすっきりしたあとはもう寝るだけ。


 今日も1日頑張った。さて、寝るか。


「お休みなさーい」








「ってなんかちがくね!?」


 






こんな生活してみたいですね!

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