第3色
本日も無事投下、間に合ったので夜に。
考えたのですが、夕方から0時過ぎまでに投稿できればその時に、無理だと朝の7時前に投稿しようとってことに決めました。
門から町の中へ入ると、まだ日が出たばかりだというのに町は多くの人でにぎわっていた。視界の先に噴水が見える。とりあえずその大きな通りに沿って歩き、噴水を目指すことにする。通り沿いには、この先世話になるだろう武器屋や薬屋、宿屋が並んでいる。どれも心の惹かれる店で、気を取られて危うく通行人とぶつかりそうになる程だった。
町に入ってから妙に視線を感じる、通り過ぎる人たちが私の方を見ているようだ。私に変なところでもあるのだろうか、見られるのは恥ずかしいのだが。服装を確かめながら歩いていくと、噴水に着いた。
まず、今日から泊まる宿を決めようと噴水のそばに建っている地図に近づく。不意に電話のような音が鳴り始めた。周りの人には聞こえていないらしく、メニューを開いてみるとフレンドの欄が点灯している。フレンドからのコールのようだ、相手は「ゆー」。
ゆー『いきなりですいません。今どこにいますか?』
リリィ「今は町の噴水の前にいるよ、どうしたの?」
ゆー『そこで待っていてもらえますか、会わせたい人がいるんです。』
リリィ「んー、わかったよ。待ってるね。」
(会わせたい人・・・? まともな人ならいいけど、誤解が解けてないままだからちょっと不安だな。)
噴水のそばのベンチに座り、ゆーを待つ。ふと、おなかが減っていることに気づく。
(そっか、夜の間ずっと起きてたのか。ゆーに会った後に、一緒にどこかでご飯でも食べようかな。)
顔を上げる。
目の前に、ピンクアフロの変態筋肉男が立っていた。なぜかポーズを決めている。状況が呑み込めず、言葉も出ない。目の前のそれは私をにらんでいるように見える。どれだけ考えようとしても、頭が考えることを止めてしまっている。いったい私の身に何が起きているのだろうか。
(そうだ! この人もきっとおなかが減ってるんだ、そうに違いない!)
混乱した頭はすぐには正常に動かない、狂った思考回路が謎の答えを導く。私はバックの中を探るが、当然食べ物は見当たらない。なぜか目の前の相手なら石でも大丈夫な気がしてくる。私は石を取り出して葉を添えて男の足元に置いた。
変態男「んー、これはなかなか・・・。合格、だ。」
私を見つめたまま男がそう呟く。しばらくの沈黙の後、ようやく頭が回り始める。自分のした意味のわからない行動に顔から火が出る程恥ずかしくなり、それと同時に男の発言が頭の中で響く。
(合格? いったいどうゆうこと・・・?)
視界の端に、ゆーが見えた。状況が少しずつ呑み込めてくる。この男がどうやら、先の件の人なのだろう。
ゆー「撫子さん、どうでしたか?」
撫子「おう、いいじゃないか。紹介、ありがとよ。」
リリィ「え? はい? ごめん、ちょっと説明して?」
撫子「なんだ、伝えてなかったのか。立ち話もなんだ、どこかの店でもに入ろうじゃないか。」
どうやら食事処に向かうらしい、逃げようと試みるが挟まれていて、逃げられない。店に着くが、入りたくない。入り口で踏ん張っていたが、撫子に後ろから押し込まれた。
店内に入り、適当な注文をした後、撫子が喋り出す。
撫子「俺の名前は撫子だ、よろしくな。」
リリィ「えと、リリィだよ。よろしく(したくないなぁ)。」
撫子「率直に言う、俺の仲間に入ってほしい。」
リリィ「え、いや、私はゲームの経験がなくて・・。」
撫子「あぁ、ゆーから聞いている、俺は一向に構わん。どうだ?」
(うわ、すごい断りづらい・・・。しかもしゃべると意外に普通だ・・。)
リリィ「何が目的なの?」
撫子「おお、それを先に言わねぇとな。俺はこのゲームでトップを取るつもりだ。そのための仲間が欲しい。」
リリィ「どうしてこのゲームで? 何で私?」
撫子「前者の質問から答えさせてもらう。手短に言うぞ。俺は昔っからゲームが大好きで、だが子供のころは金がなくて好き放題ゲームをするなんて到底無理だった。悔しくて悔しくて頑張って勉強して就職して金を貯めたら今度は時間が無くなってたんだよ。そんな折にこのゲームを知ったんだ。俺と同じようなやつはいくらでもいる、すぐにこのゲームは規模に膨れ上がるさ。その時にトップを取れたらどんなに気持ちいいか。全力を懸けるにはこのゲームしかねぇ。だからこのゲームだ。」
撫子のゲームへの情熱が私の心を揺さぶる。気持ち悪い変態だと思っていたが、意外にまともなのかもしれない、少しは。撫子は言葉を続ける。
撫子「それで、何でお前なのか、だが。・・・勘としか言いようがねえな。ゲームへのやる気がある奴ってのは最低条件で、かつ面白い奴がいいと思っている。一緒にいて賑やかじゃないといけねぇよな。」
リリィ「私は面白くはないと思うよ?」
撫子「そうか? いきなり石を足元に置いたりする奴は、かなりおもしろい奴だと思うぞ?」
私がゲームに対して本気かどうか、もちろん本気だ。撫子の勘は当たっている。面白いかどうかは分からないが、彼が良いならまぁ、良いのだろう。話を聞いてみて、一緒にトップを目指したいとも思う。
リリィ「この30日間が終わった時に正式に返事をするのでいいかな? それまでは一緒に行動して、考えさせてもらうってことで。」
撫子「あぁ、それでいいぞ。改めてよろしくな。」
リリィ「うん、よろしく。」
話を終えると、ゆーが完全に蚊帳の外になっていた事に気付く。出てくる食事を食べながら、こちらを睨んでいて、なんだか申し訳なくなる。
ゆー「撫子さん、さっきの話、私聞いてないですよ。」
撫子「ん、言ってなかったか? すまんてっきり言ったと思っていた。ゆー、お前もどうだ、来てくれるか?」
ゆー「はい、よろしくですー。」
撫子「ああ、よろしく頼む。」
ひとまず、3人パーティが出来上がった。
撫子「それじゃあ、今後について話し合う・・・前に飯を食うか。冷めちまうと勿体ないからな。」
変☆態☆参☆上☆!
話中の撫子は結構真面目な話してますが、基本的に彼はいつもふざけるキャラです。今後にこうご期待!
男なのになんで撫子?→そのうち話中で、無理でも閑話で書く予定です。
出てきたキャラの簡単まとめ。
リリィ・・・常識的だけど、突発的に狂う。複数のことを同時にできない不器用な子。
ゆー・・・大人しいと見せかけて、実はその(変人的)才能を秘めているとかいないとか・・・。
撫子・・・見た目は変態、中身も変人。