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超短編2

高いとこ。

作者: しおん

高いとこに来た。

いままできたことないぐらい高いそこは、高すぎて少し現実味のないところだった。


地上に広がる私より背の高い建物たちがここでは私の遥か下に存在していて、それは細々とした細工まで施された模型のように見えた。動いている車も、電車も、船も、電車や車のおもちゃに見えてしまい、心の内でとても精巧にできているなとそれが現実であることを否定してしまった。


それに、きっと原因は私がそう思い込もうとしたせいだけじゃない。そこが室内空間だったから、その場所の本来の空気や風の音などを感じとることが出来なかったせいだと思うのだ。


その場の空気でそこの雰囲気は十二分に変化する。いくらガラス張りだと言えど、しっかりとした床に頑丈な作りの窓ガラスで囲まれてしまってはどんな高さでもその場の空気は大して変わらない。気圧の変化で耳がぼーっとするぐらいだ。風が通ってその場の危険性が増して、やっと自分が高いところに居るんだと実感することができるのにそこに関する要素がまるまる欠けてしまっている。それは実に残念だった。


でも、仕方がないのだ。

そこは本当に高くて、とても危険だということが私ですら理解できたのだから。

危険な思いをしてまで高さを実感したいわけではないし、世間一般もそれを望んでなどいない。ここに訪れる人々は今まで見ることが出来なかった世界を見たいというだけで、テーマパークのアトラクションのように恐怖を味わいにきた訳ではないのだから。


だからこそ、この作り物のような現実が心地いいのかもしれない。




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