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亡霊の日記

 暗い部屋に、一つの蝋燭の光が灯された。
 蝋燭の前に居る、一人の老人の横顔に弱々しい光があたる。
 はじめは弱々しかった蝋燭の明かりは、酸素を呑み込み、次第に強くなっていく。それに比例し、部屋を照らす明かりもよりいっそう強くなった。

 老人は白い口髭と白髪を生やしており、その白いそれは揺り椅子の上で、老いた人の雰囲気と同調するようにゆっくりと揺られている。老人の膝には温かそうな膝掛けに、湯気のたっている、これまた温かそうなマグカップが手と共に置かれていた。
 老人は思いふけているのか、懐かしいものを見ているかのような、穏やかな目で遠くを眺めている。
 不意に老人は、周りを見渡した。部屋は薄暗いのを考慮しても目立つものはなく、木製のテーブルと本棚の最小限の家具しかなかった。無機質な木の壁がさらに寂しさを強調している。
 老人は本棚に目を止めると、その本棚に手を伸ばし、一冊の本を取り出した。その本の表紙には『日記』と書いてある。
 老人は温かそうなコーヒーが入ったマグカップをテーブルに置き、『日記』という本を我が膝の上で開いた。
 しかし老人は本を開いた直後、内容を見ることなくまぶたを落としていた。

 寂しい部屋には、老人の小さな寝息だけが響きわたった。
日記
2015/10/03 20:27
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