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いさおの一歩

この汚い作業着も今では愛着さえ湧いてくる。


カラカラの喉をさしおいてタバコに火をつける。


「ふぅ、、」


地元の高校を卒業し、俺はとくにこれといって優れた要素はないのだが、全国に名を馳せる大手企業に入社できた。



まさかそんな所に入れるとも思わず、親父に迷惑をかけてきたぶんこれである種の恩返しが出来ると胸を躍らせていた、のだが。



まともに社会経験もなく、学生気分も抜けきれず面倒くさくなり3ヶ月耐えた末、無事に fly away。



そこから職を転々とし、今は派遣社員として工場のラインをしている。



派遣社員という肩書きにもはや嫌悪感を抱くのだがそんな事を言っている余裕はない。



と二年間、社会人を経験しようやく理解できた。



もちろん、面倒くさい。



今すぐfly awayしたい。



もはや全てが面倒くさい。



この年齢、といってもまだ21歳なのだが。



もう冒険するのはやめよう、



俺のワンピー⚪︎はここにあるんだと自分に言い聞かせとくにやり甲斐もない今の仕事をしている。



こんな性格だ、女性経験は皆無に等しい。



顔面偏差値は、まぁ悪くはないはずだ。うん、たぶん


女性と接する機会というのは社会人になると極端に減る。


今は毎朝、事務のおばさんに「おざーす」と言うぐらいだ。





休憩が終わるチャイムがなり吸いかけのタバコを消し作業に戻る。




「こんな人生で良いものか…」













面倒くさい業務が終わり、野郎どもの汗臭い更衣室で服を着替えて足早に帰路につく。



今日は早く帰って借りたDVDを見る!と意気込み足に力が入る。



加速する車、若気の至りで車高を下げ、無駄にバウンドする俺の車。



そして煽ってくるピンクの軽自動車。



俺は煽ってくる車は絶対に譲らない。

ただでさえ社会的に負け腐っている俺がここで譲ればさらに負けたよ感が俺を襲うからだ。



帰りは山道だからスピードが出せる。


若干の上り坂のカーブ手前で俺は減速をした。


朝工事をする用意をしていたのでこの先は工事をしていると思ったからだ。





カーブを抜けた瞬間。俺は察した。






あ、事故る。








その瞬間、俺の車は後ろから猛スピードで突っ込んできたピンクの軽自動車に掘られた。



反対車線にはみでる。ビンクの車。



ぺしゃんこになった俺の車。



エアーバックが俺を助けたが、頭を強く打ち意識が朦朧としている、




「大丈夫ですか!?」




微かに聞こえる女性の声、うっすらと見える華奢な足。



ニヤけたのを最後に俺の意識は飛んだ。








「ごめんなさい…」




「ごめんなさい…」




あー、また聞こえる。さっきの女性の声だ。

きっと責任を感じているんだろう、かわいそうに。



目覚めかけで意識がしっかりしない中、俺は考えてしまっていたのだ。







「この状況、嫌いじゃないwww」






うまいこといけば、恋愛の第一ステージにたてるかもしれない。




声も若々しい?し、あの華奢な足から考えるにきっと若いお姉さんだろう…





俺は目覚めて横にいた女性を確認した。












が、そこにいたのは女性ではなかった。















いや人間ではなかった。



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