ある日の夢
ジェルミ・アデーレと会ったのは付き合いで行った娼館であった。仕事で疲れていた私は彼女との会話もそこそこに横になって休んでいた。
それからしばらく経ったある日、私はアデーレと花の祭典で露天を冷やかしていた。
日の光の下で見た彼女の姿を級友と間違えて呼びかけたためである。
人違いであったことを謝罪して立ち去ろうとしたとき、娼館でまともにお金を落とさなかったことを理由に花の祭典名物の花飾りコンテストの開始までの暇を楽しませてみろと挑発され、ついのってしまったのだ。
どうしてこうして、彼女は見事な花飾りを作り上げた。
アデーレに付き合わされた私としても、道行く人が立ち止まる花飾りには会心の思いであった。
とはいえ、上には上がいるもので、コンテストでは本選進出を逃した。
どうやら彼女はコンテストの賞金を当てにしていたようで、ひどく憔悴した。
不憫に思った私が何もしないでいいから買うよと彼女に提案したが、彼女は気持ちだけ受け取るわと泣き笑いした。
そのような状態の彼女を放っておけず、記憶を頼りに店に向かうと、そこには廃墟があるだけであった。
理由を尋ねようと彼女の方に目を向けると、そこには花飾りがあるだけであった。